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ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第81回)

by staff on 2019/12/10, 火曜日

大浦総合研究所 代表/大浦勇三

ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第81回)

遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん
遊ぶ子供の声きけば、我が身さえこそ動がるれ

- 梁塵秘抄 -

イノベーションは人間が生み出すもの。人間を鍛えることが基本。何よりも教育のイノベーションが不可欠。現在の教科書は30年後には使いものにならないとか。グローバル化・複雑化の中では細分化された学問では対応できそうもありませんよね。資産運用の世界はAI利用の最前線。AIとプロとの熾烈な戦い。プロは “世界がどうなっているかという発見の部分はAIに任せない。データマイニングは適切に使わなければ間違った結論を導く可能性がある” と断言。AIには過学習という弱み。過去の膨大なデータからその時限りのノイズを除かずに学習する致命的ミス。まるごとAIを信用することはご法度。AIが一般化する21世紀では、常に “デジタル技術+匠の技の感性” の融合こそが生命線。 “新しいものの見方の発見は新大陸の発見に相当する” と喝破したのはルネサンスを代表する哲学者モンテーニュ。16世紀の段階で21世紀のAI時代の核心を射抜く洞察。多様性を制するのは多様性。梁塵秘抄では “遊女の好むもの 雑芸 鼓 小端舟 おおがさ 翳 艫取女 男の愛祈る百大夫” とあります。遊女にも商売上必須の百神あり。 “人間の後半生は前半生で蓄積した習慣で成り立つ” とドストエフスキー。

“遊びをせんとや生れけん” 「遊」

勝負を早くする 踏み込みが鋭くなり、得意の体勢に早くなれる
どうしたらタイガーウッズの様になれるか 楽しむことに尽きる
どうしたらプレッシャーを克服できるのか 楽しむことに尽きる
致命傷は日々の消耗 やりたいことは、口外せず胸に抱きしめる

タイガーウッズは10月、日本での “ZOZOチャンピオンシップ” で快勝。今年のマスターズ・トーナメントでは2008年全米オープン以来の見事な復活優勝。プライベートでのトラブルや怪我から、43歳でここまで立ち直るとは。喪った日々の他にはもう喪うものはないということかも。どの世界でも、若い時に鍛え抜いたレベルまでは必ず戻れることの証明。基本を築いた源泉は、幼い頃からゴルフを始め“面白くない練習を繰り返しやり続ける”ことで修得したもの。 “届かないパットは絶対にカップインしない。もしオーバーしたら、その時点で次を考えればいい” とはビジネスにも直結する教訓。 “人から評価されるのは危険なこと。自分を見失わないようにしなければ” と女優・樹木希林。

“仕事をせんとや生れけん” 「献」

社会の仕組みを一から見直す やりたいことを自由に選ぶ
やりたいことを邪魔せず支援していく 人生を千度生きる
何もせずが安全とは虚構 暑苦しいほど本気で得手を磨く
知性を司る意志が最も強力な情熱を宿す、とはナポレオン

ナポレオンといえば、ルーブル美術館の “戴冠式” が有名。愛馬に跨る雄姿も。一方、モスクワ遠征の敗北で退却する悲痛な姿。また、上野で開催された “怖い絵展” で展示されたセントヘレナ島でのベッド上の無念の死に顔。ロンドン塔のマサカリでの処刑絵画より凄惨。戦場を駆けた重圧と緊張、激動の生活から無為の生活を強いられた孤島の幽囚によるストレス。ターナーが描いた “戦争:流刑者とカサ貝” に描かれた孤影。死因は胃癌。ヒ素による治療の影響とは別に毒殺説も依然消えず。 “一頭の狼に率いられた百頭の羊の群れは、一頭の羊に率いられた百頭の狼の群れに勝る”と いう戦略観。 “能力は能力を生む。能力の向上により、更なる能力強化に繋がる” と経済学者・ヘックマン。

“学びをせんとや生れけん” 「学」

どもりを直すのでなく平気でどもりながらしゃべる 本能を締め付けない
漢文の素養、あくまでも外国語 これが抽象的な思考の基盤、翻訳の基礎
日本において欠けているものは論理と自律 欲を捨て去るのはむしろ危険
異常な状況においては異常な反応こそがまさに正常な行動、とフランクル

ナチス強制収容所での体験をもとに著したフランクルの “夜と霧” は、日本語を含め17カ国語に翻訳されました。様々な調査で “私の人生に最も影響を与えた本” のベストテンに必ずといっていいほど入っています。フランクルはオーストリアの精神科医・心理学者。ユダヤ人であることから、アウシュビッツ強制収容所にも収容されましたが、1945年4月にアメリカ軍により解放されました。収容所の中での地獄のような生活、その中での人間の信じがたき振る舞い。異常な状況においては異常な反応こそがまさに正常な行動との冷徹な人間観察・分析。 “それでも人生にイエスと言う” との人間への絶対的な信頼。 “怖い人物を創れない人は優しい人物も創れない” と人形作家・辻村寿三郎。

「遊びは仕事、仕事は遊び」
「仕事は学び、学びは仕事」
「学びは遊び、遊びは学び」

今回とりあげた「遊・献・学」それぞれの4行文は、拙書「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)及び「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(九)」(全10巻)から抽出したものです。次回以降も「遊・献・学」から各々4行文を一つずつ抽出してご紹介していきたいと思います。

(第81回了)

 

大浦勇三(おおうら ゆうぞう) プロフィール

大浦勇三(おおうら ゆうぞう)  

大浦総合研究所 代表 (http://www.ne.jp/asahi/oura/ohura-research-institute/

石川県七尾市出身。
早稲田大学卒業、筑波大学大学院修了。
米国経営コンサルティング会社 アーサー・D・リトル 主席コンサルタントを経て現職。
主担当領域は、経営改革/企業再生、経営戦略/情報通信技術戦略策定、業務改革/組織改革、研究開発/商品開発マネジメント、マーケティングマネジメント、ナレッジマネジメント、イノベーションマネジメント、サプライチェーンマネジメント、人材マネジメント、コーチング/メンタリング、プロジェクト/プログラムマネジメント、ベンチャービジネス支援等のコンサルティング。

筑波大学大学院講師、城西国際大学客員教授、名城大学講師、産業能率大学講師、中小企業大学校講師などを歴任。

主な著作物:

  • 「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(九)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「イノベーション・ノート」(PHP研究所)
  • 「ITプロジェクトマネジャーのためのコーチング入門」(ソフトリサーチセンター)
  • 「図解 日本版LLP/LLCまるわかり」(PHP研究所)
  • 「IT技術者キャリアアップのためのメンタリング技法」(ソフトリサーチセンター)
  • 「よいコンサルタントの見分け方、かかり方」(清話会)
  • 「日本のモノづくり - 52の論点」<共著>(日本メンテナンス協会)
  • 「現場主導型の組織運営とスピード戦略」(日本監督士協会)
  • 「eコミュニティがビジネスを変える」<訳>(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメントが見る見るわかる」(サンマーク出版)
  • 「図解 ナレッジ・カンパニー」(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメント革命」(東洋経済新報社 )
  • 「図解 グローバル・スタンダード革命」(東洋経済新報社)
  • 「業務改革成功への情報技術活用」(東洋経済新報社)
  • 「情報化戦略と投資評価・システム運用管理の実際」<編著>(企業研究会)
  • 「会社改革実務辞典」<共著>(産業調査会)
  • 「プロジェクトマネジャー(PM)の育成・スキルアップのためのメンタリングの進め方と実践法」 (ソフトリサーチセンター:CD-ROM版)   など

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