Skip to content

ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第83回)

by staff on 2020/2/10, 月曜日

大浦総合研究所 代表/大浦勇三

ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第83回)

遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん
遊ぶ子供の声きけば、我が身さえこそ動がるれ

- 梁塵秘抄 -

東京・広尾には “博覧強記、書・万巻を暗誦。書物の精が生まれ変わった” といわれた失明の国学者・塙保己一史料館があります。その近くにあるのが日本画専門の山種美術館。 “山種” とは稀代の相場師で “売りのヤマタネ” といわれた山崎種二。生き馬の目を抜く世界で熾烈な仕手戦を勝ち抜いた “相場の神様” 。大半の相場師は、一攫千金を手にして花街に散財、最後は地獄坂を転げ落ちてスッテンテンに。給料などない小僧として回米問屋に入り、相場の軍資金は当時流行ったペストの感染源ネズミを捕獲して得た1匹5銭の報奨金。ヤマタネは花街で散財せず大好きな絵画を購入。贋作を掴む失敗もあり、絵を買う時は画家から直接購入。また、安宅産業破綻から速水御舟コレクションも引き受け、川合玉堂、奥村土牛、横山大観など近代の日本画一大コレクションに。ヤマタネの相場観は明解。 “売りにはヘッジ・銘柄分散せず絞る・相場の流れを捉える・徹底的な逆張り” 。米国の投資家バフェットにも負けない生き様。梁塵秘抄では “垣越に見れども飽かぬ撫子を 根ながら葉ながら風の吹きも超せかし” とあります。日本画も大和撫子も楚々として純粋。 “人生は一回きりの即興演奏” とピアニスト・山下洋輔。

“遊びをせんとや生れけん” 「遊」

強みを磨いた腕力で弱みを改革する 流行や雰囲気に気をつける
ほんとうの課題 生きる意味・知的好奇心・自律・楽しみ・墓標
自然の深さ 一切を忘れ観察に没頭するセンス・オブ・ワンダー
子供の言い分にも真実 百戦百勝するも一忍には如かず、と沢庵

沢庵和尚は、あの宮本武蔵の師匠で高名な臨済宗のお坊さん。但馬の国の武士の子供として生まれ10歳で出家、37歳で大徳寺153世住持になりました。あることから幕府に反抗し、羽州上山に配流。しかし、許されたあとは、その人徳に徳川家光や後水尾上皇も帰依したといいます。 “ぜーんぶひっくるめてのお前、それでいいんだ。認めてしまえ、ありのままのお前を。修業はそこから” との教え。一点集中は、事の成就に最優先されるべきこと。まさにセンス・オブ・ワンダーの世界。 “知的好奇心・自律・笑楽” がAI時代の基本スタンス。好き嫌い・得意不得意に関係なく観察に耽溺。 “経済は中国、政治は米国という楕円の時代に入った。楕円は不安定” とジャーナリスト西條都夫。

“仕事をせんとや生れけん” 「献」

自分の強みに磨きをかけ、個人のイノベーションを起す
貧困の先鋭化 昔はやせた土地、今はやせた身体と精神
信と不信の両方の目 振れ幅・ピンキリを押さえて考察
幸福よりはそこへ到達するための無限の努力、とジイド

昭和の時代、ジイドの “狭き門” と太宰治の “人間失格” は若者の避けて通れない通過儀礼といわれました。ジイドは、若き日には放校になったり神経を病むことも。また、アフリカに何度も旅に出て、娼婦との交流や同性愛にも溺れたとか。これらの体験は、ジイドに奥深い双曲空間を与えたかも。 “長い間、海岸を見失うだけの覚悟がなければ、新大陸を発見することはできない” 。自分の個性に磨きをかけ、個人のイノベーションに注力。1947年にはノーベル文学賞を受賞。AIの世界でも、めざましい応用をしていくには、すばらしい評価関数が不可欠。これらの設定にはAI以外の総合力が問われるのかも。 “寛容:報復・憎悪・殺戮・恐怖などをすべて飲み込む” とジュリアス・シーザー。

“学びをせんとや生れけん” 「学」

時間の使い方こそ最大の課題 全てを捨てて全てを得る
多様性の許容、何事にも逃げない 夢でジャンプできる
やることを決める 知識の詰め込みではなく洞察を磨く
執拗さと発想を放棄する勇気、とジェームス・ワトソン

ジェームズ・ワトソンは米国の分子生物学者。DNAの分子構造、二重螺旋構造の共同発見者の一人で、1962年にノーベル生理学・医学賞を受賞。この発見は分子生物学の飛躍的発展に繋がりました。ワトソンは子供の頃から明晰で探求心旺盛、好きな言葉が “なぜ?” 。単純な答えでは満足せず、世界年鑑を読み、膨大な知識を蓄えたのだとか。AIへの斬り込みも “なぜ?” が基軸。非線形なもの・変数が多いものは人間にとって不得意分野。AIインパクトのトップ3はビジネスモデル・交通・医療の世界とか。単純でないものを単純でないままに分析。肝心なのは、単純化しないで特徴ベクトルを抽出すること。 “売りにくいものほど実は売れる” とタイタン(爆笑問題)代表・太田光代。

「遊びは仕事、仕事は遊び」
「仕事は学び、学びは仕事」
「学びは遊び、遊びは学び」

今回とりあげた「遊・献・学」それぞれの4行文は、拙書「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)及び「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(九)」(全10巻)から抽出したものです。次回以降も「遊・献・学」から各々4行文を一つずつ抽出してご紹介していきたいと思います。

「ビジネス梁塵秘抄」「続・ビジネス梁塵秘抄」購入ご希望の方はこちらからどうぞ!
http://www.syplus.jp/ooura/

(第83回了)

 

大浦勇三(おおうら ゆうぞう) プロフィール

大浦勇三(おおうら ゆうぞう)  

大浦総合研究所 代表 (http://www.ne.jp/asahi/oura/ohura-research-institute/

石川県七尾市出身。
早稲田大学卒業、筑波大学大学院修了。
米国経営コンサルティング会社 アーサー・D・リトル 主席コンサルタントを経て現職。
主担当領域は、経営改革/企業再生、経営戦略/情報通信技術戦略策定、業務改革/組織改革、研究開発/商品開発マネジメント、マーケティングマネジメント、ナレッジマネジメント、イノベーションマネジメント、サプライチェーンマネジメント、人材マネジメント、コーチング/メンタリング、プロジェクト/プログラムマネジメント、ベンチャービジネス支援等のコンサルティング。

筑波大学大学院講師、城西国際大学客員教授、名城大学講師、産業能率大学講師、中小企業大学校講師などを歴任。

主な著作物:

  • 「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(九)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「イノベーション・ノート」(PHP研究所)
  • 「ITプロジェクトマネジャーのためのコーチング入門」(ソフトリサーチセンター)
  • 「図解 日本版LLP/LLCまるわかり」(PHP研究所)
  • 「IT技術者キャリアアップのためのメンタリング技法」(ソフトリサーチセンター)
  • 「よいコンサルタントの見分け方、かかり方」(清話会)
  • 「日本のモノづくり - 52の論点」<共著>(日本メンテナンス協会)
  • 「現場主導型の組織運営とスピード戦略」(日本監督士協会)
  • 「eコミュニティがビジネスを変える」<訳>(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメントが見る見るわかる」(サンマーク出版)
  • 「図解 ナレッジ・カンパニー」(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメント革命」(東洋経済新報社 )
  • 「図解 グローバル・スタンダード革命」(東洋経済新報社)
  • 「業務改革成功への情報技術活用」(東洋経済新報社)
  • 「情報化戦略と投資評価・システム運用管理の実際」<編著>(企業研究会)
  • 「会社改革実務辞典」<共著>(産業調査会)
  • 「プロジェクトマネジャー(PM)の育成・スキルアップのためのメンタリングの進め方と実践法」 (ソフトリサーチセンター:CD-ROM版)   など

Comments are closed.

ヨコハマNOW 動画

新横浜公園ランニングパークの紹介動画

 

ランニングが大好きで、月に150kmほど走っているというヨコハマNOW編集長の辰巳隆昭が、お気に入りの新横浜公園のランニングコースを紹介します。
(動画をみる)

横浜中華街 市場通りの夕景

 

横浜中華街は碁盤の目のように大小の路地がある。その中でも代表的な市場通りをビデオスナップ。中華街の雰囲気を味わって下さい。
(動画をみる)

Page Top