Skip to content

楽しい文字の世界(第22回) のし袋の御

by staff on 2020/4/10, 金曜日

第22回 のし袋の御

筆ペン講座の時、「のし袋の表書きがさらさらっと書けたらいいなと思います。」と良く言われます。
手書きの機会はめっきり減っているでしょうが、こうしたいざと言う機会は意外に減っていないので、普段書かない分、こういう時に、より一層戸惑ってしまうでしょうね。

御礼、御祝、など決まった言葉とお名前なので、取りあえずそこを集中的に覚えてしまうと良いと思います。
さて、一文字目の「御」が失敗すると心が折れてしまいます。是非この文字をマスターしましょう。
早速先ずは「御」を近くにあるペンで良いので書いてみましょう。

いかがでしょう。
下の左右の「御」を見比べてください。あなたはどちらタイプでしょうか。

私は仕事柄、非常に多くの方の文字を見てきていますが、8~9割方の方が、1タイプです。
「御」のように、3部構成の文字は、横並びにせず、真ん中を上に上げた2タイプで書くと、文字に立体感が出て、大人っぽい字形になります。他に「術」「樹」などもそうです。男性のお名前に「樹」が付く方がいらっしゃったら、是非参考にしてください。

さて、話は変わりますが、ほんのお礼の現金を包むとき、表書きはどのように書くでしょう。
「御礼」という言葉が一番先に思い浮かぶかもしれません。また、「寸志」も使われるでしょうか。書いて字のごとく、「ほんの僅かな気持ちです。」という意味です。特に改まった祝儀袋でなく、白い封筒に書いても良いです。
とても便利ですが、気を付けることがあります。「寸志」は目上の方へは失礼にあたるので、避ける必要があります。
そんな場合、私はよく「松の葉」を使います。「松の葉」は針葉樹でとても細いです。松の葉に隠れるほど少ないという意味です。目上、目下両方に使えるのでオールマイティで、相手を選ばす便利な言葉です。

また、「心ばかり」も良く使います。表書きは、楷書で書くことが一般的ですが、書をされている方には、変体仮名を使ってこのように書くこともしばしばあります。「心ば可里」先生のお教室のお手伝いをしていた頃、「僅かばかりですけど、ありがとうね。」という言葉と共にいただいた封筒にこう書かれていて、学生だった私にとって、とても大人で素敵な封筒に憧れたものです。
今、この言葉を書いて渡すとき、あの時の先生と自分を毎回思い出すのです。

筆者紹介

 
書家名 粟津 紅花 KOUKA AWAZU
本 名 粟津 絵里 ERI AWAZU
略 歴 愛知県生まれ。 横浜市在住。
3歳から筆を持ち、書を学ぶ。
銀行勤務を経て紅花書道塾を主宰して26年。
現在10か所の教室で門下生を指導。
また古典書道の作品制作に加え、店舗ロゴ、商品ロゴ、ポスター等のデザイン書道を手掛ける。
書道パフォーマンス、障害をお持ちの方への書のボランティア指導、セミナー講師などにも力を入れるなど、国内外で幅広く活動中。
読売書法会会員。
謙慎書道会会員。
横浜書人会審査員。
日本デザイン書道作家協会正会員。
カルチャーセンター講師。
著 作 法華経書写書き込み練習帳―釈尊の究極の教え
ヨコハマNOW関連記事
変わらない伝統美を基に時代に合わせて変わっていくものの美しさを表現し次世代に繋げて行きたい。 書道家 粟津紅花さん

 

Comments are closed.

ヨコハマNOW 動画

新横浜公園ランニングパークの紹介動画

 

ランニングが大好きで、月に150kmほど走っているというヨコハマNOW編集長の辰巳隆昭が、お気に入りの新横浜公園のランニングコースを紹介します。
(動画をみる)

横浜中華街 市場通りの夕景

 

横浜中華街は碁盤の目のように大小の路地がある。その中でも代表的な市場通りをビデオスナップ。中華街の雰囲気を味わって下さい。
(動画をみる)

Page Top