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書評「自分を許せば、ラクになる。」 宝島社 草薙龍瞬(著)

by staff on 2020/5/10, 日曜日
 
タイトル 自分を許せば、ラクになる。
単行本 255ページ
出版社 宝島社
ISBN-10 4800268915
ISBN-13 978-4800268914
発売日 2018/2/22
購入 自分を許せば、ラクになる。

「読むだけですべての悩みが消えていく」というカバーの言葉に興味をもった。2020年の4月はコロナウイルスの影響で自宅待機の状態となった。その時にどの本を手に取るかと思った。数冊のなかから「自分を許せばラクになる」を読み返していた。章立てが春・梅雨・夏・秋・冬・再び春へ・というのにも、なぜって興味がわいた。

主人公は「最近沸々と湧き上がってきた思いがある。それが、今の感情だー何かが、 “許せない” という思い。 仕事のプレッシャーか、人間関係のストレスか、このまま終わってたまるかという危機感か。はっきりしないが、とにかく心に余裕がない。何をしても満たされず、心はいつも渇いている。生きている気がしないのだ。」と語る。そんな主人公が久々にあった友人に刺激を受ける。友人がぽつりと言ったのだ。「 “あってみると、いいよ。たぶん、人生を変えるって、こういう静かな出会いから始まるんだって、わかると思う。” ボクは素直に頷けなかった。もとから他人の助言なんて聞けるたちじゃない。だからその場で、意地悪な反駁の言葉をぶつけた。宗教はイヤだとか、怪しい自己啓発セミナーだろうとか、人生を変えるだなんて、よほど追い詰められた人間が考えることだろうと、いったことを。だが友人は “自分もそう思っていたけどー” と少し笑って、真面目な口調で言った。 “人生を変えるのはというのは、そのどれでもない。いや、変えるという表現自体が、おかしいのかもしれない。人生というより心なんだ。僕がその場所で学んだのは、心を・・・・” 心を、なんだー?」友人続けた。「いや、それ以上は言えない。ボクがいま語っても、意地っ張りのキミは、絶対に納得しない。とにかく、会ってみるといい。キミがもうこれ以上、今の悩みを抱えていたくないならね」「友人は、いつのまにか成熟していた。」

しばらくして主人公は門の前に突っ立っていた。その最中にお坊さんに話かけられてしまった。「緊張したまま、その人の姿に見入ってしまった。妙な言い方だが、悪いことを企てている気配が、まったくなかった。仏教を勉強するーその言葉が腑に落ちた。そうだ、それでいい。そのためにきたということにしよう。」お茶の間に通されて緊張のなかで会話が進む。「怒りで、反応すると、怒りが生まれます。これは、言葉という音の刺激が原因ではありません。自分自身の反応が原因です。」「眼を閉じてなお見えるものは妄想です。あなたが勝手に創り出しているもの。客観的には存在しません。」「相手に起こっているのではなく、自分の妄想に起こっているのです。」「自分の心の問題と関わり方の問題は、分けて考えるべきです。」初日に瞑想の体験もした。意外な発見をたくさんして山を下りたのだった。

一日に体験するいらいらを書き留めることをするようになった。和尚が進める「自分の心の状態を観察する。」ことからが始まった。「こんなことをしても意味ないだろう、と最初は思わなくもなかったが、いつ何にいらついたかを振り返るのは、自分の心を観察することに、大いに役立った。小さな文字で書き込んでもびっしり埋まって、ページを開くと壮観だった。妙な言い方だが “かなり勉強した” 気分だ。だがその中身は、ただのイライラなのだ。・・」「自分がいかにくだらない感情に時間をつぶしているかが、はっきりとビジュアル化されてしまったのだ。」無駄といえば、たしかに無駄な時間でしょうね。でも一日にどれだけ、” 心の無駄づかい“をしているかがわかったのは、大きな収穫でしたね、と和尚は語った。そして朗らかに笑って、「一日の質―その日が幸せだったか不幸っだったかーを測る物差しって、何かわかりますか?それは” どんな反応を何回したか“できまります」と言った。

道に迷った時は “正しく考える” という項がある。
方向性を確認して、今何ができるかを考えて、行動に移すのは、正しい思考
方向性が見えない、何ができるかを考えない、行動しないなら、無駄な妄想
「たとえば、朝起きて、一日のスケジュールを思い出して、よし頑張ろうと動き出すなら、正しい思考だが、ぐずぐず布団に潜ってあれこれ夢想しているだけなら、無駄な妄想ということになる。方向性と、方法(具体的になすべきこと)と、実際の行動―この三つがそろった状態が、正しい思考なのだという。」

「里で目覚める朝は、心地よかった。鐘の音と同時に起き上がって、部屋を出る。渡り廊下の木目が、気持ちよい。」里とは道場のある所、金曜日夜から、土日と連泊して、月曜に直接会社に出ることをするようになっていた。「里を出るとき玄関で小僧さんが見送ってくれる。青々しい丸い頭で“いってらっしゃい”と声をかけてくれる。道中、小雨の中を渡るときさえ、空気の匂いや潤いを、全身で感じとりながら歩く。雨の日がこんなにありがたく感じるとはー心次第で、ずいぶん世界が変わるものだ。この生活、悪くない。まるで新しい人生がスタートしたかのような満足を覚えながら、その日初めて、山の駅から仕事に向かった。」

(文:横須賀 健治)

 

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