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ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第87回)

by staff on 2020/6/10, 水曜日

大浦総合研究所 代表/大浦勇三

ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第87回)

遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん
遊ぶ子供の声きけば、我が身さえこそ動がるれ

- 梁塵秘抄 -

以前、東京・赤坂の氷川神社近くで仕事をしていた時期があり、隣接していたのが氷川小学校で、江戸城・無血開城の立役者“勝海舟”の屋敷跡。坂本龍馬が海舟を斬るために訪れ、逆に人格識見にほれ込んだ屋敷。晩年、海舟はこれまでの生き方を“氷川清話”に残しました。幕末維新の激動の経済に関して“経済の活性化には待合・料理屋や踊り・三味線の師匠を繁盛させることこそ肝心”と洞察。実際に“江戸・丸焼け”危機の渦中ですら江戸は繁盛したとのこと。“一個人の100年は国家の一年。この時間の読みを間違えてはいけない”と語っています。パンデミックで世界は一変。いま何を考え、何をすべきかの多くのヒントがこの書に示されているのかも。晩年、別邸を立てて過ごした大田区・洗足池にある石塔の“海舟”の文字は15代将軍徳川慶喜の揮毫。歴史は繰り返さないが韻を踏むとか。梁塵秘抄では“春の野に 小屋掛いたる様にて突い立てる鉤蕨 忍びて立てれ下種に採らるな”とあります。下種な人間には負けちゃいけないよね。“この世には勝利よりも勝ち誇るに値する敗北がある”と思想家・モンテニュー。

“遊びをせんとや生れけん” 「遊」

戦後の不自由だけれども安定した温かい社会はもう戻らない
だとするなら、日本はあらゆる側面で脱戦後化するしかない
冷たいけど自由 そんな条件の下で個人が幸せになれる社会
日本流のやり方で受けとめて構築していかなければならない

これまでの不自由だけれども安定した社会はもう戻らないと覚悟する必要がありそう。これまで以上に“自分が心底から納得できる道”を進むしかなさそう。何でもいいから“やろう・やりたい”と思うことをやるだけ。大勢に受け入られることを目指すのではなく、自分の考え方・やり方を貫くしかなさそう。そのための“ルール・仕組み作り”にはソフトパワー。環境と双方向での“構想する力・提案する力・交渉する力”が命。自分でなければできないところを見せ続ける。“ブームを期待しない・乗らない・起こさない”。“人様が1円でも出して買ってくれるものをつくる”と医学者・北里柴三郎。

“仕事をせんとや生れけん” 「献」

平常時の安定した環境での業務プロセス 多くの企業では万全
だが非常時・異常時の場合 通常のプロセスは破綻して大混乱
求められるもの 誰の目にもはっきりしているものには安定感
答えが一つでないものには事前の想定もなく 思考停止に陥る

平常時の安定した業務プロセスは、ビジネスに限らず、日本の多くの領域でがっちり浸透済み。ところが、いつもながら“非常時・異常時”では通常のプロセスが通用せず大混乱。今回のパンデミックでも、日本人の硬直性が裏目に出ました。はっきりしているものには安定した力を発揮しますが“答えがあるかないかわからないもの・答えが一つでないもの”には思考停止。松や杉は海水に弱いが、雑木は枯れないとか。今こそリベラルアーツ。“超産業社会に進みつつあるという認識を重視する必要がある。変化への対応は企業の本質。変化に先んじて変化を創り出す必要がある”と経営者・土光敏夫。

“学びをせんとや生れけん” 「学」

日本はモノづくりが得意と言われる そこで求められる内容も日々変化する
設計や開発も大事 その前段階の構想・企画や、続く運営やサービスも重要
事業は一段と多岐 何をどうやるかでなく、何をどうやらないかの方が大切
自分でやったことを自分で評価する これが大きなインセンティブに繋がる

世の中はますます先が見えなくなり、“何をやるかだけでなく、何をやらないか”も一段と重要に。何より“自分でやったことを自分で評価する”力量が問われることに。生涯現役を貫くには“手に入れた仕事をこなす”だけでなく“仕事を自ら創りだす”ことが欠かせないのかも。輝くのは、成功を手にした時でなく、目標に向かって取り組んでいる時。大事なのは、将来役に立つかor見えないところですでに役立っているか。それには、10年20年先から見て“現状踏襲”と感じることが一番リスキーであることを自覚。 “人間として信用できるのはリベラルアーツのボリューム“と心臓外科医・天野篤。

「遊びは仕事、仕事は遊び」
「仕事は学び、学びは仕事」
「学びは遊び、遊びは学び」

今回とりあげた「遊・献・学」それぞれの4行文は、拙書「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)及び「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(九)」(全10巻)から抽出したものです。次回以降も「遊・献・学」から各々4行文を一つずつ抽出してご紹介していきたいと思います。

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http://www.syplus.jp/ooura/

(第87回了)

 

大浦勇三(おおうら ゆうぞう) プロフィール

大浦勇三(おおうら ゆうぞう)  

大浦総合研究所 代表 (http://www.ne.jp/asahi/oura/ohura-research-institute/

石川県七尾市出身。
早稲田大学卒業、筑波大学大学院修了。
米国経営コンサルティング会社 アーサー・D・リトル 主席コンサルタントを経て現職。
主担当領域は、経営改革/企業再生、経営戦略/情報通信技術戦略策定、業務改革/組織改革、研究開発/商品開発マネジメント、マーケティングマネジメント、ナレッジマネジメント、イノベーションマネジメント、サプライチェーンマネジメント、人材マネジメント、コーチング/メンタリング、プロジェクト/プログラムマネジメント、ベンチャービジネス支援等のコンサルティング。

筑波大学大学院講師、城西国際大学客員教授、名城大学講師、産業能率大学講師、中小企業大学校講師などを歴任。

主な著作物:

  • 「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(九)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「イノベーション・ノート」(PHP研究所)
  • 「ITプロジェクトマネジャーのためのコーチング入門」(ソフトリサーチセンター)
  • 「図解 日本版LLP/LLCまるわかり」(PHP研究所)
  • 「IT技術者キャリアアップのためのメンタリング技法」(ソフトリサーチセンター)
  • 「よいコンサルタントの見分け方、かかり方」(清話会)
  • 「日本のモノづくり - 52の論点」<共著>(日本メンテナンス協会)
  • 「現場主導型の組織運営とスピード戦略」(日本監督士協会)
  • 「eコミュニティがビジネスを変える」<訳>(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメントが見る見るわかる」(サンマーク出版)
  • 「図解 ナレッジ・カンパニー」(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメント革命」(東洋経済新報社 )
  • 「図解 グローバル・スタンダード革命」(東洋経済新報社)
  • 「業務改革成功への情報技術活用」(東洋経済新報社)
  • 「情報化戦略と投資評価・システム運用管理の実際」<編著>(企業研究会)
  • 「会社改革実務辞典」<共著>(産業調査会)
  • 「プロジェクトマネジャー(PM)の育成・スキルアップのためのメンタリングの進め方と実践法」 (ソフトリサーチセンター:CD-ROM版)   など

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