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ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第91回)

by staff on 2020/10/10, 土曜日

大浦総合研究所 代表/大浦勇三

ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第91回)

遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん
遊ぶ子供の声きけば、我が身さえこそ動がるれ

- 梁塵秘抄 -

東京駅の復元では、赤レンガのギャラリーも開館。先日まで開催されたのが “バウハウス展”。1919年にドイツが開校した造形学校。ナチスの弾圧で1933年に閉鎖されましたが、実験精神に溢れた革新的活動を展開、今日までアート&デザインに世界的な影響を及ぼしてきました。最終目標は建築であり “基礎教育・工房教育・建築教育” を通じて諸芸術を統合。先入観・既成概念からの解放と、さまざまな材料による形態・色彩の知識の習得。木・金属・陶土・ガラス・織物・石などに関する教育をすべて建築に収斂させること。合理(機能)主義的なものと表現(芸術・手工業)主義的なものを融合。教師としてカンディンスキーやパウル・クレーなど、時代を代表する芸術家も参画。21世紀の現在は、知的構造物の目標をリベラルアーツに収斂。哲学・AI・数学・芸術・言語・コミュニケーション。梁塵秘抄では “神ならば ゆららさららと降り給え 如何なる神か 物恥はする” とあります。神を降ろす巫女は神娼とも。 “室町時代はルネサンスに似た近代的世界。身分と関係なく個人の趣味が讃えられた” と劇作家・山崎正和。

“遊びをせんとや生れけん” 「遊」

貧困のループを抜け出すには、働くのが当然という自然の摂理
若者文化は、世界で同時性を高めている 同時多発文化の時代
何でも起きる 偶然を受け入れられるように自分を開いておく
人生は書物の外で聞く時には音色が違う、とロマン・ローラン

ロマン・ローランはフランスを代表する作家で、日本での夏目漱石のような存在とか。理想主義的ヒューマニズム・平和主義・反ファシズムを掲げて戦争反対を叫び続けました。20歳前後に読んだ代表作 “ジャン・クリストフ” はベートーヴェンをモデルにしたもので、 “学校と社会では鐘の音色が異なる” という言葉が不思議と記憶に残っています。どんな環境であれ、生き抜くことが大前提。 “望んだり生きたりするのに飽きない・敵は日々の消耗” であることを説きました。 “100点満点はとれない。徹底して基本を貫く中から何かが生まれる。上手に器用にやったらあかん” と義太夫節・竹本住太夫。

“仕事をせんとや生れけん” 「献」

最後は人間の勝負 技術や芸じゃない、それをはるかに超えたもの
鍛錬を積み重ねた人間には 刀を抜かなくとも相手の力量はわかる
必要な鍛錬と、必要でないものを判別する 強弱をつけて鍛え磨く
世界全体は人口激増の時代 社会システムは高度化、普遍と多様性

いつの時代も・どんな時代になっても、最後は人間の勝負。 “出る杭を打つ・脚を引っ張る” のは人間世界では日常茶飯事。しぶとく耐えて出過ぎた杭を目指すしかなさそう。アイデアを生み出し続けるには、技術と人間に関する自分なりの視座を確立することかも。それを異なる視座とぶつけ合うことで、異分子が混合して磨き抜かれた文化を産むことに。 “予期できない激変・不調和の拡大・プロセスニーズの変容・産業&市場の変質・人口規模&構成の脅威・共通認識の再興・新しい技術&知識の急速な堆積” を覚悟。 “ゾウと闘うのに、自分も象である必要はない” とサッカー指導者のイビチャ・オシム。

“学びをせんとや生れけん” 「学」

どもりを直すのでなく平気でどもりながらしゃべる 本能を締め付けない
漢文の素養、あくまでも外国語 これが抽象的な思考の基盤、翻訳の基礎
日本において欠けているものは論理と自律 欲を捨て去るのはむしろ危険
異常な状況においては異常な反応こそがまさに正常な行動、とフランクル

フランクルはオーストリアの精神科医・心理学者。フロイトにも指導を受け、ウィーン大学医学部精神科教授を歴任。しかし、ナチスにより家族とともに強制収容所に収容され、父母や妻は収容所で死亡。最後はアウシュビッツに。1945年、アメリカ軍により解放されました。代表作 “夜と霧” は人間の深奥を知る上では凄惨。ユダヤ人の皮膚でつくられたハンドバッグを手にするナチス将校夫人が弾く優雅なモーツアルトのピアノの調べ。人間のあらゆる側面を見てきた上で “それでも人生にイエスと言う” 重さと深さ。 “辛い時のことは忘れない。楽しい時のことは忘れます” と津軽三味線・高橋竹山。

「遊びは仕事、仕事は遊び」
「仕事は学び、学びは仕事」
「学びは遊び、遊びは学び」

今回とりあげた「遊・献・学」それぞれの4行文は、拙書「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)及び「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)から抽出したものです。次回以降も「遊・献・学」から各々4行文を一つずつ抽出してご紹介していきたいと思います。

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(第91回了)

 

大浦勇三(おおうら ゆうぞう) プロフィール

大浦勇三(おおうら ゆうぞう)  

大浦総合研究所 代表 (http://www.ne.jp/asahi/oura/ohura-research-institute/

石川県七尾市出身。
早稲田大学卒業、筑波大学大学院修了。
米国経営コンサルティング会社 アーサー・D・リトル 主席コンサルタントを経て現職。
主担当領域は、経営改革/企業再生、経営戦略/情報通信技術戦略策定、業務改革/組織改革、研究開発/商品開発マネジメント、マーケティングマネジメント、ナレッジマネジメント、イノベーションマネジメント、サプライチェーンマネジメント、人材マネジメント、コーチング/メンタリング、プロジェクト/プログラムマネジメント、ベンチャービジネス支援等のコンサルティング。

筑波大学大学院講師、城西国際大学客員教授、名城大学講師、産業能率大学講師、中小企業大学校講師などを歴任。

主な著作物:

  • 「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「イノベーション・ノート」(PHP研究所)
  • 「ITプロジェクトマネジャーのためのコーチング入門」(ソフトリサーチセンター)
  • 「図解 日本版LLP/LLCまるわかり」(PHP研究所)
  • 「IT技術者キャリアアップのためのメンタリング技法」(ソフトリサーチセンター)
  • 「よいコンサルタントの見分け方、かかり方」(清話会)
  • 「日本のモノづくり - 52の論点」<共著>(日本メンテナンス協会)
  • 「現場主導型の組織運営とスピード戦略」(日本監督士協会)
  • 「eコミュニティがビジネスを変える」<訳>(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメントが見る見るわかる」(サンマーク出版)
  • 「図解 ナレッジ・カンパニー」(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメント革命」(東洋経済新報社 )
  • 「図解 グローバル・スタンダード革命」(東洋経済新報社)
  • 「業務改革成功への情報技術活用」(東洋経済新報社)
  • 「情報化戦略と投資評価・システム運用管理の実際」<編著>(企業研究会)
  • 「会社改革実務辞典」<共著>(産業調査会)
  • 「プロジェクトマネジャー(PM)の育成・スキルアップのためのメンタリングの進め方と実践法」 (ソフトリサーチセンター:CD-ROM版)   など

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