楽しい文字の世界(第24回) 面白漢字 耳編
第24回 面白漢字 耳編
第23回に続き、今回も「面白漢字」をテーマに進めて行きたいと思います。
前回は「生き物編」でしたが、今回は、体の部位「耳」を重ねた漢字についてお話いたします。
「耳」(みみ)
大変身近な漢字ですね。
この文字でちょっと気にしたいところがあります。最後の2画。つまり5・6画目です。
5画目が6画目の縦画から突き出るか出ないか。気にされたことはあるでしょうか。
「耳」ですと、突き出ますが、「聞」や「聴」などになると出ません。
重箱の隅をつつくようで恐縮ですが、折角なので確認しておきましょう。
さて、ここからが本題です。耳を重ねた文字を6つ見て行きます。
「聶」…耳三つ
(読み)じょう
(意味)耳に口を寄せてささやく。
三人寄れば文殊の知恵ということわざがありますが、「じょう」は三人が、寄り添ってひそひそと話している様子が想像できます。
「囁」…くちへんに耳三つ
(読み)ささや(く)
(意味)口を寄せてそっとささやく。
「聶」(ささやく)に比べて更にひそひそ感が増しますね。
「躡」…あしへんに耳三つ。
(読み)ふ(む)
(意味)やんわりと踏みしめる。転じて一歩一歩ふみしめて行く。
踏みしめて歩く音を耳で静かに聞きながら進む様子を想像します。
「攝」…てへんに耳三つ 「摂」と同じ。
(読み)せつ、と(る)
(意味)いくつかのものを合わせて持つ。散乱しないように手の中に収める。
推古天皇の「摂政」として聖徳太子は有名ですが、「攝」と同じ「摂」は、「とって変わっておさめる」という意味に使われています。
「懾」…心(りっしんべん)に耳三つ
(読み)おそ(れる)
(意味)耳と心(りっしんべん)が一緒になり、恐れたり、ひやひやしたりする。
「鑷」かねへんに耳三つ
(読み)けぬき
(意味)そっと物に添える金具の意味として「けぬき」
思いっきり抜くのではなく、あくまでもそっと抜くイメージです。
「耳」自身を古人は「柔らかい」ものとして捉え、それが合わさったり、他の文字と一緒になっても、その意味が現れていると感じます。
動画で筆順も確認できます。
筆者紹介
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