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本の楽しさ奥深さを広めていきたい。 株式会社紫式部 代表取締役 河野真さん

by staff on 2010/12/10, 金曜日

「ヨコハマこの人」第8回目は、1995年に日本初の古本検索サイト「本と文化の街スーパー源氏」を開設し、「ネット古本屋」の先駆けとなった株式会社紫式部代表取締役の河野真さんにお話を伺いました。

「スーパー源氏」では北海道から九州まで400店近い古本屋さんの在庫を検索して、書籍を購入することができます。本好きの方でこのWebサイトを知らない人はいないとまで言われているスーパーサイトです。

 
名前 河野真(こうのまこと)さん
出身地 鹿児島県
年齢 54歳
家族構成 妻、娘1人、息子1人
現在の住居 横浜市青葉区
職業 株式会社紫式部 代表取締役
趣味 ラーメン食べ歩き
自分の性格  - 
会社のHP http://murasakishikibu.co.jp/

「本と文化の街」スーパー源氏 http://sgenji.jp/

 

「紫式部」を起業するまで

学生時代は読書好きな方だったのですか。

そんなこともないですよ。マージャンばかりやっていました。大学時代に横浜港からシベリア鉄道に乗ってモスクワ、レニングラード等を旅行したりしていました。企業社会に積極的に飛び込んでいくタイプではなかったのですが普通に大企業に就職しました。

サラリーマン時代はいかがでしたか。

予想に反して(?)真面目に働きました。出世欲もあったし、一所懸命働きましたよ。社長賞をもらったこともあります。
ただ会社とは別に社会との接点を持ちたくて「横浜いのちの電話」というボランティア団体の活動にも参加していました。

30歳代後半に、IBMとの合弁会社に出向しました。ITの最先端をいっている会社で1990年代の初めでしたが、電子メールもWindowsも使いこなしていました。画像処理の会社でしたが意思決定が早くて仕事が楽しかったですね。

「スーパー源氏」はどのようにして生まれたのですか。

インターネットを仕事で使いだした頃、ある方から古本屋を開業したいと相談を受けたのです。それがきっかけでボランティアとして古本サイトを開設したのが「本と文化の街 スーパー源氏」です。1995年のことでした。
それまで古本業界や出版業界とは全く無縁だった私が、この業界に足を踏み入れたのは ”ひょんなきっかけ” からでした。

 
画像をクリックして拡大写真をご覧ください。
 

「スーパー源氏」では、ユーザーに蔵書を検索してもらい売買の窓口となることで、加盟店から毎月固定の会費を徴収しています。
加盟店が3店から始まった「スーパー源氏」ですが、古書店の経営者は高齢の方が多く、インターネットどころかパソコンもよく知らないという方がほとんどで、サイト開設当時は全く相手にされませんでした。そこで、既存の古書店ではなく、これから開業する人をターゲットにして「開業支援セミナー」を開いて徐々に加盟店を増やしていきました。

サイト開設後3年ぐらいして、インターネットが普及しだしてからは加盟店も増え、お客様からの問い合わせも急増して忙しかったですね。10年近く探していた祖父の本が、「スーパー源氏」で見つかったという喜びのメールを頂戴したのがこの頃です。大企業では味わえない仕事の醍醐味を感じ始めていました。

会社を辞められたのはなぜですか。

合弁会社から元の会社に戻って、意思決定の遅さにうんざりしていたのと「スーパー源氏」の仕事が忙しくなって健康を害したこともあり退職を決意しました。インターネットの可能性に賭けてみたかったのですね。
当時、家には高校生と中学生の子供がいたこともあり、妻をはじめとして周囲からは猛反対にあいました。独立してうまくいくかどうかはわかりませんでしたが、自分の人生で後悔はしたくなかったのです。悩んだ末、2000年7月に退職しました。それから収入も激減して家族に迷惑をかけました。

「紫式部」という社名の由来は何ですか。

ご存知のように「源氏物語」は世界最古の小説で「紫式部」はその作者です。インターネットの世界でも「和」の文化が評価されるようになりたいと思い、日本の文化の原点である「紫式部」を社名にすることにしました。当初はよく、ホストクラブに間違えられましね・・・(笑)

 

「紫式部」の強み。メガストアとのすみ分け

「紫式部」は順調でしたか。

大手が参入する2004年頃まではライバルもなく、加盟店も300店を超えアクセス者数も1日5000人を超えていました。
それがAmazon、楽天がインターネットでの古本販売を始めた頃から業績がガタ落ちになりました。2004年頃には本気で撤退を考えました。ただそんな時に社員も頑張ってくれたし、書店も頼りにしていると言ってくれたことが支えになりましたね。

集客力では大手にかなわない。でも別の部分で古書店のお役に立てること

 
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はないかと考えました。それで経営コンサルティングや仕入サポート、送料割引などのサービスを充実させ、様々なお助けサービスを開始しました。携帯サイトも始めました。
おかげさまできめ細かいサービスが評価されて加盟店も戻ってきて今は400店舗近くになっています。現在、「スーパー源氏」 には200万点の種類の本があり、600から700万冊の在庫があります。日本最大の古本屋だと思います。

河野さんは昨年、「ネット古本屋になろう!―無店舗で勝ち残れ!-」
(青弓社)というご本を出版されています。「ネット古本屋になろう!」については、横浜ブックスでもご紹介しています。http://yokohama-now.jp/home/?p=1995

大手書店と提携もされていると聞きましたが・・

創業130年の三省堂とタイアップして、共同で古書を販売しています。「スーパー源氏」の参加店舗の古本、古書を販売する三省堂古書館が神田神保町に2009年にオープンされました。
「古本の聖地」である神田神保町に自分のコーナーを出せるというのは加盟店にとっては夢のような話です。インターネットからリアルショップへの流れを作ったこのプロジェクトで、私の役割はコーディネーターとして、新しい市場を創出していくことだと確信しました。

最近、本屋さんが減っていると聞きますが、「紫式部」の今後の展開については
どのように考えられていますか。

Amazon等のインターネット販売により町の本屋さんはどんどん減っています。今後生き残っていくのは、総合書店か専門書店だけでしょうね。
そんな中で「スーパー源氏」は、専門分野ごとに古書だけでなく新刊も扱う電子書籍も扱うように進化していきたいと考えています。

電子書籍についてはコミックやビジネス書の世界では広がるとみています。環境問題の観点から紙じゃない点や、在庫を持たなくてもいい点等は評価していいと思いますよ。
ただ、どのような時代になっても、良書や優れた作家を発掘して提供する機能はなくしてはならないと思います。本の楽しさ、面白さ、奥行きの深さをしっかりと伝えていきたいですね。

「スーパー源氏」というサイトでいい本に出会って、本を通して生きる力を感じてもらえるようになりたいと思います。本に関するナビゲーションをする、本のソムリエ「ヨムリエ」も誕生させたいですね。
本と周辺分野に特化してAmasonや楽天にはマネのできない、お役に立てるサービスをこれからどんどん提供していきますよ・・

 

近代都市の歴史がある横浜。これからもずっと横浜でやっていきます

河野さんにとって「横浜」はどのような街ですか。

26歳から今まで28年間ずっと横浜市民です。横浜というのは古いのと新しいのが混じっているおもしろい街だと思います。横浜はイメージがいいですね。ブランドとか信頼感とか・・・

東京に出ていくメリットはないですね。東京は忙しいけれど中身がない、皆疲れている感じがします。これからもずっと横浜でビジネスをやっていきます。

 
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河野さんの淡々とした語り口からは「日本で初めて古書のインターネット通販を
開始した会社」としての自負が感じられました。出版業界を取り巻く環境は厳しいものがあるようですが、IT技術を駆使した新しいサービスを考えている河野さんは、きっと「ピンチをチャンス」に変えていくことでしょう。益々の活躍が期待されます。

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