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次代を担う子供達に公平な機会を創り出す活動を通じて新しい日本を創りたい。
生粋の濱っ子で若手起業家No.1 「フェアスタート」永岡鉄平さん

by staff on 2011/4/10, 日曜日

 「児童養護施設の子供達は高校を卒業したら無条件で社会に出て自立を迫られているということ、一旦就職するものの長続きせず、結果としてワーキングプアになってしまうケースが多く、4割がホームレスとになっているという現実に衝撃を受けました」と、永岡さんが起業するきっかけをお話して下さいました。
 児童養護施設の子供達に働くことの意義、働き方の極意などを伝え、企業者に彼らの就職の機会を開くよう説得する。一般学生の就職支援とは違う多くの課題を、NPOではなく法人という形でビジネスとして成立させて解決しようと活動していらっしゃる永岡さん。4月の「ヨコハマこの人」は、私たちが今一番注目している若手起業家、「フェアスタート」の永岡鉄平さんにお話を伺いました。

永岡鉄平さん  
名前 永岡鉄平(ながおかてっぺい)さん
出身 横浜市泉区
年齢 30歳
家族構成 独身
現在の居住エリア 横浜
趣味 寺巡り、御朱印集め
性格 前向き思考80%+運の良さ20%
精神年齢 3歳~50歳(?)

フェアスタートHP http://fair-start.co.jp/
永岡さんブログ http://ameblo.jp/nagaoka-teppei/
【永岡さんから。。。】
実はこう見えて?体育会系です(笑)。中学はバドミントン、高校はバスケットボール、大学は和太鼓をやっていました。そのおかげで、病気を滅多にしない健康体です。本当に多くの方に支えていただき今の僕があります。日々是感謝!

【受賞歴】
 ・2010年9月 内閣府地域社会雇用創造事業 第1回社会起業プランコンテスト グランプリ(最優秀賞)
 ・iSB公共未来塾横浜 1期生 http://www.isb-yokohama.org/

「フェアスタート」を始めようと思ったのはなぜですか

 大学生の頃から漠然と独立して起業したいと思っていました。そのため、大学卒業後は「営業力を身に付けることが大切」だと考えリクルートグループに就職し、法人営業を実践的に学びました。
 その後、当時の顧客に誘われて大学院生専門の就職支援会社を立ち上げ、生の人材の就職支援を行っていたのですが、その中で感じたことは、会社に出ることがイメージできないモラトリアムな学生が増えているということです。私はこの現実を目の当たりにして、「なぜ彼らのような若者が生まれてしまったのか?」と疑問を持つようになりました。

 その原因は、今の子供達へ人間性や社会性の教育が十分になされていないからだと私は思いました。子供達が一人の社会人としてきちんと成長していくためにも、彼らに対して人間性や社会性を養っていく教育が必要だと思ったことが私自身の独立の第一歩でした。まずは子供達にどんな教育が必要とされているのかを勉強するために、農業の世界に足を踏み入れました。
 私の住んでいる横浜市泉区は緑化推進が盛んな区で、リタイアされた方々を中心とした農業サークルがあります。まずはそれに参加させていただき、畑で実際に土を触り野菜を育てました。農業をしてみて、小さい種からおいしい野菜が生み出される「生命の力強さ」を感じました。不思議だと思ったことは、どんなに形が不恰好でも、どんなに苦手な野菜でも自分が作ったものだと愛着がわくので食べられることですね。同時に「もったいない精神」も養いました。このような経験は農業教育の醍醐味でもあり、子供の教育にも必ずいい影響があると思いました。

 
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 次に、私は仏教の世界にも関心を持ちました。鎌倉の円覚寺にいらっしゃる老師の元へ足を運ばせていただく中で、「人間は生きているのではなく、生かされている」「感謝の気持ちを持つこと」。これがとても大切な教えであることを痛感しました。そして今の若者にはこれらの気持ちが希薄になっていると感じました。

 このように、私は農業と仏教の両方を経験し、この両者が子供の教育にどのような影響を与えるかを知りました。しかし、実際に子供をもつお母さんたちはどのようなことを大切に考え子供に教育をしているのかとても気になり、生まれてから6歳までの乳幼児がいる「子育て支援施設」や「学童保育」の場に赴きボランティアをしながらお話を聞きました。お話をする中で学んだことは、子供達に後から何かを教えることも大切だけれども、0歳~6歳までの乳幼児期に親がきちんと愛情を注いであげられるか、受け止めてあげられるか、これがすべての教育の原点でありベースとなることが分かりました。この時、私の中でいったん教育の結論が出たのです。

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 そのような原点となる教育を受けられない子供達が日本に存在するのかと気になり、子供の貧困問題に関心を持ち、様々な場所に行くなかで「児童養護施設」の存在を知りました。最初、児童養護施設と聞いたとき、基本的には孤児の子供だけが生活する場所だと思っていましたが、虐待を受けて入所する子供が6割もいるということ、そのほとんどは親の愛情を満足に受けられず育っている事実にショックをうけました。さらに、児童養護施設の子供達は高校を卒業したら無条件で社会に出て自立を迫られているということ、一旦就職するものの長続きせず、結果としてワーキングプアになってしまうケースが多く、4割がホームレスとになっているという現実に衝撃を受けました。この現実を目の当たりにした時、私は心が奮えました。彼らの力になりたいと強く思いました。そして就職が課題なのであれば、今までの自分のキャリアも活かせると考えこの事業を立ち上げる決心をしました。

「フェアスタート」誕生までの道のりはどのようなものでしたか

 早速児童養護施設のボランティアを志願し、職員の方々と交流をさせていただきながら、同時に施設退所者を支援しているNPO法人や当時者団体へ足を運び情報収集をさせていただきながら、ビジネスモデルを徐々に創り上げていきました。

 しかし、起業する熱意や目標があってもスタートアップ時の資金は本当に頭の痛いものです。何かこうした事業への資金助成の話は無いものかと思っていました。そんな時、内閣府の事業において、社会起業家の支援制度が始まったのです。これは願ってもいないチャンスだと思いました。私はその中の「iSB公共未来塾」に通ったのですが、そこでは社会起業家を志すうえで必要な基本的な知識を丁寧に教えてくださり、さらには最大500万円までの起業支援金をいただけるチャンスが用意されていました。私はこの第一期生として様々なことを学び、また、平成22年の9月に開催された社会起業家プランコンテストに出場し、見事最優秀賞を獲得することができました。そのことで、具体的な資金助成もいただくことができ、おかげさまで円滑なスタートアップが図れています。今後も全力で取り組んでいきたいです。

「フェアスタート」の取引先はどのような方々でしょうか

 基本的には施設の退所者を紹介させていただく中小企業がメインクライアントとなりますが、事業を円滑に行う上で、施設の職員さんや学校、そして行政の方々との関係性もとても大事で、ネットワークは幅広いです。しかし何よりも大事なのは、施設の子供達を理解してくださり、大切な社員として育ててくださる企業の発掘です。この事業における収益のメインは企業に施設退所者をご紹介し、マッチングの報酬をいただくことなのですが、素晴らしい企業と多くご縁をいただき、ビジネスをさせていただきたいと考えています。児童養護施設を出た子供たちは社会に一人で出ていくので、不安な子供たちがほとんどです。そんな子供たちを生活の面でも気にしてくれて、温かく接してくれるような企業と積極的にご縁をいただきたいですね。

 先日、相模原の製造業へ施設退所者を一人紹介させていただきました。本当に面倒見の良い素晴らしい企業様で、働いている本人も楽しそうに毎日会社に通っています。とても良い仕事ができました。

お仕事の魅力と大変なところはどこでしょうか

 就職支援の世界って、放っておいても自力で就職できる人をわざわざ支援してビジネスとしているケースが少なくありません。僕はそのような「1を1+α」にする価値の出し方に魅力を感じません。やはり自助努力ができない方々の支援を行い「0を1」にする価値の創出に魅力を感じます。そういう意味では、この仕事は本当にやりがいを感じさせてくれます。

 情報格差の影響で十分に情報が得られていない子供達が施設には多くいます。「知らない」「機会がない」ということは本当に残酷なもので、そのせいで彼らは同世代より遅れた位置からのスタートを余儀なくされます。私は、企業とのマッチングのみならず、彼らが施設にいる間の長期間にわたる社会教育、そして施設を巣立ち就職した後のアフターフォローにも力を入れていきます。長期で支援をしていくので活動の幅は広いですし、時間もかかると思いますが、インターンシップや職業体験なども含め丁寧にサポートを行い、その上で理想的なマッチングが起こったとしたら、言葉では言い表せないほどの充実感を感じることができると思います。そして、新社会人となった退所者から、「社会に出てよかった、仕事が楽しい」なんて言ってもらえたとしたら、感動して涙が止まらなくなるかもしれません。

 
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今後の展開についてどのように考えていますか

 まず今後は3年を目途に神奈川と東京でモデルを創り、その後全国規模に広げていきたいです。

将来の夢は何ですか

 少子高齢化が叫ばれていますが、これからの社会を担っていくのは若者たちです。彼らの可能性を十分に発揮させてあげられる機会を日本は作り上げていかなければならないと思います。私は全ての子供達に公平な機会を創り出す活動を通じて、そのような社会を日本に創り出します。自分が何のためにこの世に「生」をいただいたのかを考え、社会に対して恩返しをする姿勢をいつまでも大切にしながら使命を全うしていきたいですね。ただ、折をみて世界遺産めぐりをしてみたいという夢もあります。世界を見て回ることで視野が広がり、より一層社会に貢献できるきっかけになるのではないかというのが理由です。

横浜についてお話し下さい

 横浜歴は30年という生粋の濱っ子ですが、過去2年ほど東京の白金に浮気をしました。
 横浜は人生の節目節目で自分に元気をくれる場所ですね。悩んだときは横浜の有名スポットでもある大桟橋や山下公園に行きます。そこで海を眺めて癒されます。
 横浜は暮らしやすさ、居心地の良さ、人の良さ、どれをとっても全てが丁度いい場所だと思います。また「浜っこ魂」の団結力は東京に限らず日本一じゃないですか。(笑)

 
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