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宝石をキャンバスに横浜の景色を描いてみました。
横浜ジュエリー業界の老舗「エメラ」の三代目社長 大島貴子さん

by staff on 2011/7/10, 日曜日

 「宝石をキャンバスに横浜の景色を描いてみました」 馬車道、山下公園、中華街・・・日々、移りゆく横浜に「ふるさと」を探して・・・時代の逆風の中「エメラ」を守り、育み、そして今、新しい未来を創ろうとしている。横浜ジュエリー業界の老舗「エメラ」の三代目大島貴子さんにインタビューいたしました。

大島貴子さん  
名前 大島 貴子(おおしま たかこ)
出身 横浜/馬車道
現住所 横浜市磯子区
生まれ 7月11日生(誕生石はルビー)
ご家族 父と弟
趣味 音楽鑑賞。歌舞伎観劇。美術鑑賞。
アロマテラピー。宝石が好き。
絵を描くことが好き
性格 負けず嫌いで完璧主義なところと、ボーっとしているところがあります。我儘なところと忍耐強いところも混在しているようです。自分では気付きませんでしたが、苦労が顔に出ないタイプで天真爛漫系らしいです。
エメラ http://www.emera.jp/
横浜市西区南幸1-4-B1
(横浜西口地下街ザ・ダイヤモンド)

大好きな横浜の景色や古き佳き横浜の思い出を宝石で絵画のように表現してみたい

 ボルダーオパールを見た時に、その自然な色や形の趣を生かして何か作れないかしら?と思いました。ボルターオパールは、石の中にオパール層が入り混んで不思議な模様を作りだしています。古代紫の上品な色、藍の紺、石の色に滲んでいる青・・・山下公園から見た横浜の海の感じに似ていると思いました。茶の色やワインレッドのボルダーオパールからは馬車道を連想いたしました。こうして一品一品手作りで仕上げたのが、オリジナルジュエリーの「横浜シリーズ」になりました。

 ジュエリーデザイナーは現在2名いまして、チーフデザイナーは山口智子です。20年前から私と一緒に仕事をしています。東京生まれの山口を横浜中連れまわしたこともありました。「私が作りたいのはこの景色なの」と言うと山口が数点のデザインを描いてくれます。石合わせをしてイメージが出来上がると、職人との打合せになります。「バチカン部分はカモメにしましょう」「窓はサファイア?」「ルビーが可愛いわ」と・・・絵を描くのが大好きだった少女の頃に戻ったようです。職人と細部にわたってチェックを交えながら仕上げるので3カ月ほど掛かって店頭にデスプレイされます。お陰さまで横浜を愛するお客様からご好評をいただき連作を重ねております。

 

YOKOHAMAノスタルジー

〔K18/WG/PG/ボルダーオパール・ダイヤモンド・ルビー・エメラルド・サファイア・パライバトルマリン・ブルートパーズ・シトリン〕

変わりゆく横浜をずっと見守ってきた開港記念館(ジャック)、横浜のシンボルとして親しまれてきた懐かしくも新しいマリンタワー、氷川丸。ノスタルジックな横浜の情景を、オパールの深く碧い海原をバックに配し表現しました。

(画像をクリックして拡大写真をご覧ください)

 

みなとみらい

〔K18/Pt/ボルダーオパール ダイヤモンド ルビー エメラルド〕

とても美しいコバルトブルーの石の色を見た瞬間に、新しい横浜の象徴「みなとならい」地区の光景が浮かびました。
沖合いにはベイブリッジとカモメの鳴き声・・・。
秀逸なバランスで横浜シリーズの代表作とも言えるこの作品は、横浜港の埠頭に立ち、その風に吹かれたような爽やかさです。

(画像をクリックして拡大写真をご覧ください)

人生は波乱万丈・・・傷ついたアコヤガイから生まれるのが真珠

 「エメラ」は私で3代目になります。正確に言うと「エメラ」はここ横浜西口地下街ザ・ダイヤモンドの店舗の屋号で、母の誕生石の「エメラルド」から「エメラ」と名付けました。「ダイヤモンド」と「エメラルド」・・・本当に高級感溢れる取り合わせでしょう。(笑) 私の名前の貴子も「貴石」から付けたのです。本当は翡翠の翠(みどり)と名付けたかったのですが、漢字が使えなかったから(苦笑)貴子になりました。

 7月11日馬車道で生まれました。誕生石はルビーです。伊勢佐木町、馬車道、山下公園、中華街・・・そして実家の宝石店が遊び場でした。もともと祖父の時代から、横浜で宝石商として海外から宝石の原石などを買いつけ国内の宝石店に卸していたので、家に大きな原石があるのが当たり前のような子供時代でした。父も若くして家業を継ぎ、親族が経営する店も増え、何事も順風に進んでいくかのように思えたのですが・・・バブルの崩壊、金融危機、価値観の変化、多店舗展開が逆風となって、私の行く手を阻むことになります。夢に描いた人生と違った人生を歩むことになりました。

  初代の祖父から贈られた誕生石スタールビー。
赤いスターが入るのが珍しい逸品です。
祖父は「貴子の石だ」と言いながらも
しばらく店頭に出したが買い手が無く
名実ともに私のものとなりました。

「宝石」が好き・・・磨かれてこそ耀くのです

 大学生時代、米国でファッションジュエリーに出合いました。ジーンズを履いた若者たちが気軽に買うのを見て「これならやってみたい」と思いました。ところが「それは宝石ではないアクセサリーだ」と家族の強い反対に合い、「宝石」をあきらめて保険会社に勤めました。それでもやっぱり「宝石」が好きで、家業を手伝うことになります。この頃からエメラだけの「オリジナル」を作りたいと思っていました。祖父、父の代からの古参の従業員にとっては、私は幼いころから知っている「お嬢ちゃん」で、新しい提案をしてもなかなか受け入れてもらえませんでした。人間関係の中で悩み、苦しみました。今の私がここにいるのはこの時に多くを学んだからだと思います。

スケッチブックとクレヨンの香り、横浜の景色の中に少女の頃の「わたし」を探しています

 ボルダーオパールを使った「横浜シリーズ」は一点物で手作りのため、もっとリーズナブルで楽しめ、満足度が出せるもの・・・プリカジュール・エナメルを使った「横浜ジュエリー」を発表いたしました。

 19世紀のガラス工芸家でジュエリー作家のルネ・ラリックが愛した手法がプリカジュールエナメルです。光が鮮やかな色をまとって透過します。まるでステンドグラスのようなロマンチックな耀きです。そこに横浜の景色を描きました。横浜の古き佳き時代のノスタルジックな香りに思いを馳せるのも、移り行くみなとみらいの景色に遊び心を見つけるのも「横浜ジュエリーシリーズ」の楽しみ方のひとつです。職人の高い技術がそこかしこに見られます。これも私のイメージを山口たちデザイナーや職人と一緒に形にした作品です。

 私は「良いデザイナーとは?」と訊かれると「お客様のご希望を形にできる人」だとお答えしています。自分の考えたデザインをお客様に押し付けるようなデザイナーは世の中には大勢いらっしゃいます。完璧に計算され、完成したデザインをお客様のご希望に合わせて「変える」ことを嫌うデザイナーもおります。私はお客様の「思い」が大切だと思います。お客様のお話しを伺いながらデザインを考えるのが「エメラ」の新しいコンセプトになりました。

 宝石のリフォームも積極的におこなっております。宝石は形を変えながら代々受け継いでいけるものだと思います。私も母の形見の翡翠のネックレスをパールや金のパーツを入れてブレスレットにリフォームして身につけています。新しく再生するので「リメイク」とか「リモデル」とかという言葉を使うこともあります。

 

観覧車とみなとみらいのホテル

〔K18/K18WG/ダイヤモンド/ガーネット/七宝/透胎七宝〕

アンティークな窓に浮かぶのは、透胎七宝の深い藍の夜。観覧車とみなとみらいのホテルが輝いています。観覧車は可動式です。ときめきをのせてゆっくりと廻ります。

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クィーン(横浜税関)とベイブリッジ

〔K18/K18WG/ダイヤモンド/透胎七宝〕

カモネが飛び交う鮮やかな夕日に映えるクィーンとベイブリッジ。歴史ある横浜からベイブリッジを越えて遠い世界へ。そしてまた帰ってくる。スケールの大きな時間と空間が美しく凝縮された作品です。

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マリンタワーと氷川丸

〔K18/K18WG/ダイヤモンド/透胎七宝〕

丸い船窓から見えるのは氷川丸とマリンタワー。横浜の海のシンボルです。海の色は懐かしさを感じさせる優しい色合いで表現しました。昭和から続く横浜の風景。沢山の思い出が浮かんできます。

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ホームページにギャラリーを作っています

 エメラ手作りオリジナルジュエリーは「横浜シリーズ」だけでなく、「アニマルシリーズ」「プレシャスシリーズ」などテーマをつけたシリーズを前後して発表しております。

「横浜シリーズ」では開港150周年を記念して、「赤い靴」を発表し、初めてシルバーとエナメルを使ってみました。お陰さまで若い方々にもご好評をいただいております。  
  アニマルシリーズの中の「フロッグ」はメキシコ産のオパールの原石の形と、オレンジ色の中に緑の色が浮かぶのを見た時に「カエル!」と思ったのがきっかけで作りました。

 「プレシャスシリーズ」は石の良さを際立たせる為にシンプルなデザインですが、他では見られない一点物のデザイン性と作りの良さで、多くの方に愛されているシリーズです。

 こうして出来上がったものを作品として見ていただこうと思いホームページに写真をアップいたしました。バーチャルギャラリーとして見て頂きたいと思っています。皆様にいろいろな宝石の楽しみ方をお伝えできたら嬉しいです。

ホームページギャラリー:http://emera-yokohama.jp/

大島貴子さんにとっての横浜とは

 横浜が都会化されていくのが嫌でした。「みなとみらい」も最初は人工的で好きになれませんでしたが、最近はだいぶ昔からの横浜の景色と馴染んできて、大桟橋や万国橋から見る「みなとみらい」の景色がお気に入りになりました。でも、やはり生まれた馬車道や子供の頃によく遊んだ伊勢佐木町、山下公園の方が愛着がありますね。山下公園から見る海・・・辛い時は良く海を眺めました。横浜で生まれたので横浜に田舎を感じていたいのでしょうか? 自分が帰る場所「ふるさと」横浜が大好きです。

 
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(取材・原稿:高野慈子

 

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ヨコハマNOW 動画

新横浜公園ランニングパークの紹介動画

 

ランニングが大好きで、月に150kmほど走っているというヨコハマNOW編集長の辰巳隆昭が、お気に入りの新横浜公園のランニングコースを紹介します。
(動画をみる)

横浜中華街 市場通りの夕景

 

横浜中華街は碁盤の目のように大小の路地がある。その中でも代表的な市場通りをビデオスナップ。中華街の雰囲気を味わって下さい。
(動画をみる)

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