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「静寂な時間がいのちの根を養う」 神渡良平著 致知出版

by staff on 2011/9/10, 土曜日
「静寂な時間がいのちの根を養う」 神渡良平著 致知出版  

 「キリマンジャロの北の裾野に広がるサバンナに立ち尽くし、ただ呆然と見上げていた_。おまえの生き方はそれでいいのか_。」そう問いかけて著者は次のように語る。「人間があまりにも忙しくてしていて、天のメッセージに耳を傾ける余裕がないときは、天のメッセージは素通りしていく。そうではなく、受け入れる態勢ができていると、限りなく流入してくる。」

 「アフリカの大地は私たちを原点に立ち返らせてくれるものがあります。そういう場所にみなさんをご案内したい。」というミュージシャンとの仕事の打ち合わせの時の発言から始まった。三ヶ月の旅の中で「みんな何もない貧しい生活なのに、喜喜として生きている!」という感じ、満月の宴での祈りと歌声の中に「そうだ!踊りはもともと祈りだったのだ。」という感動。「それにしても・・・月光は凄い!月光にはすべてのものを癒す力がある!静かに落ち着いていて、すべてのものを受け入れ、活かしている。」という想い。サバンナでの丘からの眺望を楽しんでいた時のこと、案内してくれてい

るミュージシャンは語る。「アメージング・グレース」のこと。「奴隷貿易を今の価値観で評論家のように語るのではなく、自分のことと捉え、自分の懺悔と覚醒として歌っている。澄んだ歌声が響き、彼女が歌い終わると、沸き上がるように、みんなが歌い出した。その歌声は大合唱となり、天地をこだました。そして手と手をつなぎ合い、大きな輪になった。手をつないでいる隣の人の体温が伝わってくる」と。

 旅は自己との対話の時であり、自分探しの旅であると語り、民族の血を呼び覚ます熊野古道の仲間との旅も語る。「研修会での先生は羽織袴姿で威厳を正して講義されましたが、私はその姿を拝見して、教育は何よりも先ず教える側が威厳をたださなければならないものであって、教えというものは厳粛なものだと、教育の原点を見る思いがしました」「壮にして学べば老いて衰へず。老いて学べば死して朽ちず。」「先生の声は独特でした。先生の悠揚迫らぬお声を聞いていると、こちらもゆったりした気持になり、はれやかになっていくのです。結局、講義というものは内容もさることながら、声や動作や人柄など、全てによって講義されているのですね。先生の講義を聴くと、不思議に人間や人生に対して肯定的な気持になっているんです。だから人々はまた聴きたいと思うのです。」旅の中での出合いと思い出。著者は38歳の時に脳梗塞で倒れ、一時は半身不随になったが、必死のリハビリで再起。闘病中に起草した安岡正篤の世界がベストセラーになり、以後次々にベストセラーをうみだし、講演や執筆に大多忙なのである。今65歳である。「私の原点は主人公たちが立ったであろう場所を訪ね、そこで追想しながら往時を偲ぶことだ。そうした時、さまざまな資料に残されている彼らの思惑が蘇ってくる。だから私はゆかりの場所を歩きたいのだ。」

 「愛と犠牲という二つのものが、私の中で最も近いものとして、むしろ一つの物として感じられた、不思議な経験であったと思います。」戦時中の疎開先に時折訪ねてくる父が東京から持ってくる本が嬉しくて、惜しみ惜しみ読んだというエピソードを紹介する場面にでくわす。「一国の神話や伝説は、正確な史実ではないかもしれませんが、不思議とその民族を象徴します」

 「静寂の中で自らの運命に向き合うとき人は強くなる。」「行き詰まったり、苦しんだりするときは、天の恵みだといえる。」忙しいからこそ時間はつくらなければいけないのだと感じている。

(文:横須賀 健治)

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