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【新年のご挨拶】
みなさま、新年明けましておめでとうございます。
旧年中は大変お世話になりました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

ソーシャルメディアの正体(第二回)

by staff on 2011/9/10, 土曜日

デジタルハリウッド大学大学院/NVD株式会社 松本英博

1.ソーシャルメディアの企業戦略

 さて、前回はソーシャルメディアの特徴にちょっと触れてみた。今回は、その特徴を活かして企業からみて役立ちそうなポイントと陥りやすい間違いについて説明しよう。

 先ず、難しいところから見てみよう。企業戦略とソーシャルメディアがどう絡むか。企業戦略とは、多くの経営資源(人財(ヒト)、資金(カネ)、資産や設備(モノ)、情報)を如何に経営方針に従って効率よく使い、利益を得るかにある。さて、ソーシャルメディアなるものは、これら経営資源にどう関わることなのか。

 読者の多くは、「情報」を先ず挙げられるだろう。ソーシャルメディアは、自社に入ってくる情報(受信)と自社が出す情報(発信)、自社内に留める情報(企業情報、営業情報)のどの流れにも関係がありそうだ。例えば、製品やサービスのお客さまの評判や評価は、営業部門が手に入れる情報だが、ソーシャルメディアで、特にネット社会の情報は、営業部門に限らず、お客様相談室などのCRM部門や品質管理部門などにSNSやブログ、電話、投書などで飛び込んでくる。中には、経営幹部に直接届く内容もあるかもしれない。こう聞けば、クレーム処理の話かと思われるかもしれないが、クレームもソーシャルメディアで伝えられる一部の情報にすぎない。良いも悪いも自社に向けられた情報だと思ってほしい。そこで、第一番めの戦略は、この情報をどう扱うかを考える上で必要な現状把握だ。つまり、ソーシャルメディアの「傾聴戦略」。つまり、現状に聴き耳を立ててどう判断するかにある。

 次の戦略は、自社から情報を出すこと。ここには、2つのアプローチがある。1つは、一方通行で自社の製品やサービスの告知、つまり広告すること。もう一つは、お客さまとの対話だ。これまで、一方通行の広告は、マスメディアに頼っていた。広告の出稿料を払って宣伝をする有償メディア(paid media)だ。あるいは、自社のウェブで告知する自前メディア(owned media)である。ソーシャルメディアで一方的な広告はできる。だが、問題なのは、これまでの宣伝と同様にお客さま、あるいはお客さま候補に自社の情報が正しく伝わるかである。ソーシャルメディアは、口コミであって、押し付けた宣伝や広告で、お客さままで伝わるであろうか。反って、押し付けでお客さまに嫌われる可能性もある。つまり、ソーシャルメディアは有償メディアや自前メディアのように自社のアンダーコントロールに入る性質のものでないことが分かる。では、どうやって、お客さまと対話をするか。これがソーシャルメディアの「対話戦略」である。

 最後に自社内に留める情報はソーシャルメディアに無関係であろうか。極秘中の極秘だから無関係と言いたいところであるが、実はソーシャルメディアを有効に使えば、自社内に留まって資産化している情報を活性化して新しい商品やサービスを生む根源となる可能性もある。例えば、「傾聴戦略」で自社製品をお客さまが日々どう使っているかを観察していたとしよう。結果、自社の開発や企画部門では思ってもいなかった活用法や誤った利用などがあるかもしれない。顧客による活用法は、自社製品の新たな機能や性能を引き出して新商品を生む種を示してくれる。逆に誤った利用であれば、なぜ間違った使い方がされるのか、それを防ぐ改善ができればニーズを引き出せるかもしれない。このように、ソーシャルメディアに影響を受けて自社内にある様々な情報を違った視点で見ることで、新たな収益源を見出す可能性もあると言える。お客さまが自社製品を利用するということは、少なくともその製品に対して一瞬でも「ファン」となってもらった、との受け止め方もできる。つまり、ソーシャルメディアとは、自社が管理できるものではない。商品やサービスを通じて、自社の「ファン」になってもらい、働きかけることが、「口コミ」の基本である。これをソーシャルメディアによる「活性化戦略」という。ファンを増やし、自社や商品の良否を自由に評価してもらう場を提供することである。場と言っても、ネットでも良いし、現実の店舗やイベントでもよい。

2.ヒト、モノ、カネにも関わるソーシャルメディアに対する戦略

 経営資源の中で情報とソーシャルメディアとの関わりをみてきた。他の人財(ヒト)、資産や設備(モノ)、資金(カネ)は無関係だろうか?

 人財戦略で企業が最も情報を必要とすることの1つに採用人事がある。ここでも「傾聴戦略」と「対話戦略」が重要だろう。例えば、自社が採用する学生像と実際の就職希望の学生の間はどうであろうか?就職活動をしている学生から見て自社はどう見られているのか。あるいは、本当に来てほしい学生たちから自社はどうみられているのか。最近、ネットを使って採用人事活動が盛んな理由は、こうした「傾聴戦略」の一環で、自社の採用像と学生の希望とを効果的にマッチングする手段として使われいるからだ。マッチングができれば、「会話戦略」で、採用以前に自社の経営方針やビジョンに対する理解、さらに「ファン」として関わってもらうことまで進むことができる。

 モノやカネは、一般的に株主や従業員を除いて非公開が前提だ。しかし、時には、ソーシャルメディアとの関わりで、その規模や目的、用途などを自社の経営方針やビジョンで説明する必要も出てくる。いわゆる、企業の社会的責任(CSR)で、自社が社会にどのような貢献を行うために、モノやカネは使われているかも示す時代になってきている。もちろん、有償メディアや自前メディアでも告知できるが、ソーシャルメディアによれば、「活性化戦略」をはじめ、ファンを支援する「支援戦略」、ファンも含めて商品化活動に関わってもらう「統合戦略」といった活動で、CSRの証左を示すことも効果的だ。

3.現在どんなソーシャルメディアのネットツールがあるのか

 では、どんなネットツールがあるのか? 表1は現在のネットツールである。現在とわざわざ断っているのは、未だこれらのツールは発展途上であって、今後さらに違ったツールが出てくる可能性もあるからだ。


( 表1 )

 ここで陥りやすい間違いは、これらの技術を詳しく見るあまり、これらのツールで一体何を意図しているかといった大局的な流れ(これを「グランズウェル」という)を見失うことだ。技術を追うのではなく、技術を使って実現することを注目するのである。

 整理すれば分かるように、これらのツールは、多くが人と人とのつながりを構造的に持っている。ソーシャルメディアの相手は通常「ヒト=自然人」だ。このヒトの輪に「法人」が入ることで、企業活動との関わりが出てくるというものだ。生身の人との会話に法人が入ることの「違和感」が、実は大きな問題であると同時に、これまで示した、「傾聴」や「対話」、「活性化」、「支援」、「統合」の各戦略の根幹となっている。


( 図1 )

 次回からこれらの戦略を順に追っていくことにしよう。

次回の予告:
次回は、「ソーシャルメディアで聴いてみよう」と題して「傾聴戦略」の実際を考えたい。

松本英博 プロフィール

 

松本 英博(まつもと ひでひろ)

デジタルハリウッド大学大学院 専任教授/NVD株式会社 代表取締役

 京都府出身。18年にわたりNECに勤務。同社のパーソナルメディア開発本部で、MPEG1でのマルチメディア技術の開発と国際標準化と日本工業規格 (JIS)化を行い、MIT(マサチューセッツ工科大学)メディアラボで画像圧縮技術を習得のため留学。帰国後、ネットワークス開発研究所ではWAPや i-モードなどの無線インターネットアクセス技術の応用製品の開発と国際標準化を技術マネジャーとして指揮。

 NEC退社後、ベンチャー投資会社ネオテニーにおいて大企業の新規事業開発支援、社内ベンチャーの事業化支援を行い、2002年9月にネオテニーから分離独立し、NVD株式会社(旧ネオテニーベンチャー開発)を設立、代表取締役に就任。大手企業の新規事業開発・社内ベンチャー育成などのコンサルティング 実績を持つ。

 IEEE(米国電子工学学会)会員、MIT日本人会会員。神奈川県商工労働部新産業ベンチャー事業認定委員、デジタルハリウッド大学大学院 専任教授、現在に至る。

 

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