美容の国境をなくしたい 横浜からAsian Standardを!
サロン・アカデミー「sho & jeric」チーフベリファイア 久留原 昌一郎さん
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なぜ美容師になったのですか。
大学在学中に夜学の美容学校に通っていました。自立心が強かったのでしょうか、サラリーマンにはなりたくなかったのです。今から45年以上前ですが、35人のクラスで10人くらい男性もいましたよ。大学卒業後、赤坂の美容室で働きました。お客様は、ほとんど料亭の女将さんや芸者さん、日本舞踊のお師匠などでした。日本髪を結わせられて、とても勉強になりましたね。当時、給料と同じくらいのチップをもらっていたので、赤坂の時代に結婚しました。
美容室を持たれてから、会社員になったのですよね。
赤坂に4年くらい、その後横浜中区の関内の美容サロンに短期間勤めて、磯子区杉田に自分の美容室を出しました。そのときにはすでに子供が2人いましたね。
店は一生懸命やりましたよ。10年くらい経営していました。それ以外に取引業者に頼まれて6年目ぐらいから他の店の美容師を指導も始めていました。人に教えるのが向いていたのかもしれませんね。
また、美容関連会社から頼まれてセミナーの講師を務めたり、自分でセミナーを企画して海外の有名スタイリストを招聘し、その通訳をやったりしていました。美容室の経営との「二足のわらじ」が厳しくなってきて、その美容関連会社に就職しました。
英語はどこで勉強されたのですか。
特にどこかに行って勉強したわけではありません。しいていえば、私の英語は「本牧英語」ですね。少年時代に、ベース(米軍住宅)の若者たちとカフェやボーリング場に一緒に行って学んだものです。結構ワルガキだったのですよ。(笑)
その後、英国にアカデミーを創立されましたね。
会社員としては優秀だったらしく、年棒も1000万円を超えていました。
その当時(1980年代後半)、美容師は勉強に行くのは英国がメッカで、年間3000人を超える若者が美容の勉強のために英国に行っていました。日本が元気だったときですね。現在は1000人もいないかもしれません。私も仕事の関係で英国に研修や交渉に何度か行きました。そして現地での日本人の美容師の実態を見るにつけ、何のために行っているのか言葉もろくにできないので、技術を学ぶこともできない、遊んで堕落してしまう人間も多い、これではダメじゃないかという気持ちが強くなってきました。
そこで思い切って、イタリア人のビジネスパートナーと一緒に英会話を勉強しながら、美容技術を学ばせるアカデミーサロンをケンブリッジに創設したのです。午前中は英会話、午後は美容の勉強というカリキュラムで一年間のコースになっています。年間に100人くらいの日本人学生が在学しました。私の長男と長女も美容師で、このアカデミーで勉強させました。私は7年間、このアカデミーに関わっていました。
残念なことに、ビジネスパートナーの事情で、アカデミーを閉鎖することになってしまいましたが、アカデミーを巣立った弟子たちが日本全国で活躍しているのがうれしいです。私の長男はアカデミーで知り合った静岡県掛川市出身の女性を結婚しました。
日本に戻られてから横浜元町で美容室を開店されたのですよね。
1996年、私は50歳になったとき、横浜元町に美容室「CAM Hair」を開店しました。横浜の元町に美容室を開くのは若いころからの長年の夢でした。
「CAM」はケンブリッジ(Cambridge)と私の姓の久留原(くる)をかけてつけました。中華街・元町エリアには60軒以上の美容室がある激戦区です。開店当初はお客様がいないので、英国での経験を生かそうと、山手のインターナショナルスクールに行って、チラシをまきました。外国人用の美容サロンがなかったことも幸いして、外国人のお客様がボチボチ来店されました。そうすると、日本人には「英会話を楽しみに来て下さい」ということで宣伝しました。当時は店内で、ワインパーティーやクリスマスパーティーを開催したりしましたね。山手の横浜カントリー&アスレティッククラブ(YC&AC)に出張カットに行ってお店に誘導したりもしました。
外国人のお客様が多かったので「日本人はやるのですか」と言われたこともあります。今でも外国人のお客様が多いですね。
「CAM Hair」は繁盛されたそうですね。
2001年ぐらいにホワイトメッシュでギャルが集まってきました。口コミで広がって、月に400人以上の来店がありスタッフも8人までになりました。そして2002年に静岡県掛川市から長男夫婦が帰ってきてスタッフに加わりました。その後、縮毛矯正がブームになって月100人ぐらい新規顧客がくることもありましたね。
英国の職業能力評価制度NVQ(National Vocational Qualification)を日本で広める活動をされていらっしゃるそうですね。 英国では86業種がNVQの対象となっていて、美容も対象業種で、国際美容技能証明として通用しています。英国政府の支援のもとで、ヘアドレッサーやビューティセラピスト(ネイル・メイク・エステ等)のスキルスタンダード(技能評価基準)があります。英国では、美容業に携わる70%の美容師が「NVQ」を取得し、現場で活躍しています。 株式会社HABIA JAPAN http://www.japan.habia.org |
(画像をクリックして拡大写真をご覧ください) Habia本社にて Habiaのイタリアにて |
経営者として大切にしていることは?
座右の銘は「信じる者は救われる」です。出会った人たちとの関係を大切にしながら楽しく関わることが仕事につながっていくと思います。経営していると葛藤する場面はいろいろありますが、笑う門には福来る、の言葉通り、自分が楽しくいることが大事と思っています。
このあたりの地域は、昔から地縁が強いんです。父母の代からの信頼をベースに誠実に仕事をしていくことが大切だと思っています。「のりちゃん」と父母の代からのお客様にかわいがって頂くと、とてもうれしいです。
国際的に活躍されてきたわけですが、昨年新たなアカデミーサロンを始められたとか。昨年(2011年)長男夫婦が独立して、本牧に美容室「CAM Hair本牧」を開設したので、私はセミリタイアを考えていました。そのことをシンガポールの美容師仲間であるJericに伝えたところ、シンガポールに5店舗ある自社のスタッフ達を教育してほしいと言われたのです。 ちょうどその頃、長男の同級生で、横浜で手広く不動産業を営む株式会社三峰の繆雪峰 Setsuhou Miyo 氏から、中国広東省の中山に美容室を出したいという相談が持ちかけられました。繆雪峰氏の祖父様は孫文の後援者として有名な方で、孫文の生誕地である中山とも深い関係があります。 株式会社三峰のモデルハウスが、港の見える丘公園に向かう坂道の途中にあるので、そこを美容サロンにして、スタッフ教育も兼ねたアカデミーにしようという話がとんとん拍子で進みました。そして、昨年の10月に「sho & jeric」というアカデミーサロンを開設したのです。このアカデミーサロンはJericが出資し、株式会社三峰が保有不動産を提供し、私の美容技術を生かすという、シンガポール・中国・日本が一体となったGlobalなプロジェクトです。 「sho & jeric」は、サロンワークをOJTで勉強するアカデミーで、インターシップをベースにしています。「NVQ」のカリキュラムに基づいた技術を学び、日本独自の接客を学んでもらいます。 sho & jeric http://sjs-academy.com/ 中山(中国広東省)店は1月にオープンする予定です。中山店の店長候補は、ここに三週間研修に来ていました。今後はシンガポールのスタッフは、二週間くらいOJTで研修させて行く予定です。また自分でお店を持っている美容師については、10日間くらいの研修ツアーを組んでいくことになっています。 アカデミーサロン「sho & jeric」で目指すことは何ですか。 私は、「稼げる美容師」を育成したいのです。そのためには技術力・接客力をつけていなかいといけません。若い人たちには、もっともっと頑張ってほしいです。そして、美容の国境をなくしたい。日本の品質は高い、技術は世界一だということを誇っていたいのです。 |
(画像をクリックして拡大写真をご覧ください) 以上、sho&jericの風景 オープン当時の写真 中山に華僑の方々と行った時 |
久留原さんの今後の目標はありますか。
「想って行動すれば夢は実現する」というのが私の信念です。これまで色々なことにチャレンジしてきましたが、想いを持てば何でもできるという気持ちで臨んできました。これからも同じ気持ちです。それから今後ですか・・孫から美容師が出て欲しいですね。その可能性は十分ありますよ。(笑)
ご自身の横浜歴についてお話し下さい。
大鳥中学校三年生から横浜にいるので50年以上に横浜歴はなりますね。
私は家庭の事情で、小・中学校で8回も転校していますから新しいところになじむのが得意です。横浜にもすぐなじみました。海が大好きで横浜ではずっと海のそば、三渓園のそばに住んでいます。私の中・高校時代は、本牧にはまだベース(米軍住宅)があって、アメリカの若者たちともよく遊びました。本牧にはアメリカンの雰囲気が漂っていましたね。
横浜に対する思い入れは・・・
横浜の魅力を一言で表すとしたら、何?
横浜はインターナショナルな国際都市です、21世紀のアジアン文化の礎になると確信しています。
何でも最初の「横浜」から、日本の美容技術が世界に羽ばたいていくことを応援していきたいと思います。
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