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日本人の底力 世界は「わが民族の叡智」を求めている PHP 北尾吉孝著

by staff on 2012/2/10, 金曜日
「日本人の底力」PHP  北尾吉孝著  

 この本は時を得ている。しかし冒頭に書いているように世の大勢とは反している結果になっている。だからこそこの本を今一度読み直してみたい。

 「今日大衆の勝利がもっとも高度に達している諸国家を吟味してみると、驚くべきことに、その国の人々は政治的にはただその日暮らしをしていることが明らかになる。この政治の中では、未来はまったく予知されておらない。」スペインの哲学者であり文明評論家の1929年の文章を北尾さんは紹介し、次のように切って落とす。「大衆が社会的権力を直接行使する場合には、権力は古来いつでもこのような性格を帯びてきた。そもそも大衆は目標なく生き、風のまにまに動く人間であるからだ。」

 「個人が努力を重ねてこそ維新がおこる」「まず忙を癒やす」「読書で精神を磨く」そして「自己維新の三つのプロセス尽命、知命、立命」これを知るべきと語ります。安岡正篤、森信三がベースになっている。注目したいのは「経済的国際化は日本人の特質をなくすことでない」「民族の特質をしれば、なすべきことも見えてくる」大事なことは日本人としての自信と誇りを取り戻そうということだ。「日本民族の特質は西洋のものを取り入れ、吸収し、それを生反合でさらに偉大なものにつくりあげていくことだ。それを生かし、世界文明の中に貢献していけばいい」

 それは可能なのであろうか。
 日本語の特質と島国に育まれた伝統として、その枠を乗り越えて諸政策を進めていくこと。人・もの・金の開国を提案される。森信三さんの東西文化の懸け橋になる、を紹介している。「われらの民族の使命はいかなるものと言うべきであろうか。それは端的には、人類がそのはるかなる未来において、何時かは成就するであろうところの、東西文化の融合という究竟目標に対して、一つの縮図を提供すること、少なくともそのために一つの”架橋”になることこそ、われわれの民族に課せられた、おそらくは唯一にして、かつ最大の使命と言うべきであろう。」

 北尾さんは「主体性を確立せよ」といいます。幕末の坂本龍馬をはじめ幕末志士がそうだったといいます。「一国の安全や防衛を他国に依存しているが故に、おもねたり、へつらったり、こびたりするのです。そのような甘え心やもたれ心を、人においても、国においても一切なくすことが非常に大事であるとおもいます。いずれ憲法改正も必要になってくるでしょう。」自分の国は自分が守るというような気概が必要だと尖閣列島の報道をみてとして述べます。

 「危機の内包を自覚せよ」といいます。日本語を禁止されたらどうしますかと問われます。「そのような危険なくしては、前進の可能性のないところに、この地上の現実界の冷厳さがある」という森信三さんに共感されます。人の問題では移民政策と介護分野から徐々に始めることを提唱されます。TPPの問題に触れています。鶏卵の96%は国内生産ですが、飼料を輸入しているため、自給率は5%とカウントされているといいます。生産額ベースでいうと自給率役70%といいます。「仮に参加するとしても、いかに農業の生産性を向上させて、生産額ベースでの自給率の大幅な低下を避けるかを数値化により厳密に管理することを並行すべきと考えています。」問題は何の青写真も持たず現状のままに参加すれば将来に大いなる禍根を残す可能性を指摘しています。

 金の開国にも触れています。そしていままでのODA(政府開発援助)のやり方を変え、対象国の産業づくりに官民共々がダイレクトに貢献すべきと考えている。そして、観光と留学で人の交流を活性化することも提唱されます。さらには日本からの海外留学生の減少を心配されます。語学力を磨くためでもあり、視野を広げるためです。北尾さんは「これからは、あらゆる面で通念を打破、ことなかれ主義や日和見主義の徹底排除が必要だ」と最後を締めくくられています。

(文:横須賀 健治)

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