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「横浜が生んだ世界一のパン職人」 株式会社ポンパドウルの佐々木卓也さん

by staff on 2012/5/10, 木曜日

 Coupe du Monde de la Boulangerie(クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・ブーランジュリー)2012年大会において日本代表チームが優勝しました。

 この大会は、フランスのMOF(国家最優秀職人)が中心となって設立された手作りパン振興会が主催する「ベーカリーのワールドカップ」で、1992年から開催されています。各地区の予選を勝ち抜いた12カ国が3人一組のチームになって参加します。3名はそれぞれ「バケット&パン・スペシオ部門」「ヴィエノワズリー(菓子パン)部門」「ピエス・アーティスティック(飾りパン)部門」を担当し、与えられたブースと限られた材料の中で、既定の品目を8時間以内に仕上げ、その技術・スピード・芸術性を競います。

 日本代表チームの優勝は2002年以来2回目の快挙です。
日本代表チームの一人である、株式会社ポンパドウルの佐々木卓也さんに横浜元町の本社でお話を伺いました。

株式会社ポンパドウルの佐々木卓也さん

C) 日本フランスパン友の会CDM実行委員会

 
お名前 佐々木 卓也(ささき たくや)さん
ご出身 横浜市戸塚区生まれ
年齢 42歳
ご趣味 パンについて考えること
自分の性格について 人見知り・引っ込み思案
(株) ポンパドウルHP http://www.pompadour.co.jp/

佐々木さんにとってパン作りの原点は・・・

 5~6歳の頃、パン作りをしている母を手伝って一緒にパンを作っていました。焼きたてのパンの匂いが大好きでした。母と一緒にパンの中にレーズンやチーズを入れたりして楽しみながらパン作りをしていたのが、今の私の原点になっていると思います。

小さい時からパン職人を目指されたのですか・・・

 手先は器用で、絵が好きでしたからデザイナーになるのもいいな・・となんとく思っていましたが、何の目的もなく他の人が行くからという理由で、大学に行きました。学部は経営学部でした。暇だったので、よくテレビを見ていたのですが、NHKで放映された「極める」という職人を紹介する番組がお気に入りでした。それを見ていると何だか血が騒ぐのです。自分は職人が向いているのでないかと、求人情報を見て「ポンパドウル」の就職試験を受けました。受験理由は、横浜にあって実家から近かったからです。(笑)適性試験では、販売と製造のいずれの適性もあったのですが、自ら希望して製造部門に配属になりました。

パン職人なってみてお仕事はいかがでしたか・・・

 予想していましたが、パン職人への道は厳しかったです。
研修後、平塚店で5年間働きました。早番のときは夜中に出勤です。新入はまず「仕込み」(パン生地を作る)を担当します。お店で販売できるフランスパンができるようになるまで3年かかりました。毎日必死で仕事していました。先輩達に追いつくのが大変でした。くじけそうになったことも何度かありましたが、元来、辛抱強い性格だったので、何とか持ちこたえられたのだと思います。

 「パンを作ることが好きで始めた仕事なのに途中でやめたら意味がない。」という想いで、ここまで続けてきました。今でも一人前になった気持ちはありませんね。100%のパンはまだできていません。一生勉強です。終わりがないのがこの仕事の魅力でもあります。
平塚店のあと上大岡店で1年間、逗子店で6年間働きました。逗子店は小さな店で、私は2番手だったので、何でもやりました。仕込みをやりながらパンを焼いてという具合で、オールマイティの力がつきました。効率よく作業を進めるにはどうしたらいいかということも学びました。

 その後、本社の製品開発課に配属になりました。毎月12日に発売する新製品を開発する部署です。ここに移ってから、製パン業界のコンテストに出したり、会社から3ヵ月のフランス研修に行かせてもらったりと、自分なりにパン作りの勉強をしてきました。

 これまで数多くの商品を開発してきましたが、自信作の一つは「クイニャマン」です。このパンはフランスの味を再現したもので、生地にバターと砂糖を練り込んで焼いたシンプルな菓子パンです。食感を現地のものに近づけるのに苦心しました。

世界一になるまでの道のりをお聞かせ下さい・・・

 ベーカリー・ワールドカップの日本代表選考会には、前回も出ました。その時は「バケット&パン・スペシオ部門」の二次予選で落ちました。自分のレベルはまだまだ未熟なのだと思い知らされましたね。
 2009年に、「ヴィエノワズリー(菓子パン)部門」で再挑戦しました。予選に出たのは110名くらいでしょうか。日本代表に選ばれた時は信じられない気持でした。

 日本代表チームとしての最初の大会は、2011年5月のアジア地区予選でした。これを勝ち抜かないと世界大会に出られないのです。幸いなことに他の二人が神奈川県内にいるので、三人で集まって何十回も合宿をしました。会社(ポンパドウル)もバックアップ体制をとってくれましたし、「日本フランスパン友の会」の方々も合宿に参加してアドバイスしてくださいました。

 アジア地区予選大会は、前日1時間、当日8時間の時間が与えられ、その間に7品のパンを作りあげるという厳しいルールの下で戦います。これまで日本は、シード権が与えられていてアジア地区予選に出たことがなかったので、必ず勝たなければいけないプレッシャーがありました。

 大会は中国の広東省広州で開催されました。パンを焼く窯の蒸気が出なかったり、ホイロの温度が調節できなかったりというハプニングもあり、出来上がった作品は満足できませんでしたが、なんとか時間内に作品を仕上げ、日本代表は一位になりました。アジアを突破することが第一目標でしたので、肩の荷がおりました。

 フランス・パリ北部で開催される世界大会はアジア大会よりも厳しい条件になります。アジア大会の作品に加えて自由作品が2品目増え、さらに3人での共同作業のサンドイッチの製作も加わりました。粉と水など主な原材料は現地(フランス)のモノを使用することが義務付けられています。日本での合宿からフランスの小麦粉を使って練習してきました。世界大会前も現地で直前合宿をして、大会に臨みました。

 フランスでの世界大会は3日間で、1日4チームずつ登場します。日本代表チームの出番は最終日で、他のチームの作業を見られましたので運が良かったですね。3月6日朝4時に集合して、午前5時から大会がスタートしました。12時45分に何のトラブルなく規定時間内に、すべての作品を作り終えたときは涙が出そうでしたね。自分達3人が今までやってきて、これで終わったんだという満足感で結果のことは頭にありませんでした。

 

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 結果発表は翌日でした。表彰式で3位から発表されて、最後に「Le JAPON!」と言われた時は、言葉になりませんでした。チームメンバー・監督と抱き合って喜びを爆発させました。何度も合宿して3人で一緒にトレーニングしてきたことが思い出され目頭が熱くなりました。

 

(クリックで写真拡大)

 日本代表チームは、チームワークの良さや技術や作業の正確さ、そして作品の出来栄えなどが高く評価されました。作業中の清潔さも評価ポイントとなります。ミキサーも窯も1台しかないブースの中で、お互いに譲り合いながら作業を行わないと規定時間内に作り上げることはできません。作業中にぶつかっていた国もあったようで、「和」を尊ぶ日本人の本領が発揮できたと思います。

 世界一になれたのは私達の力だけでなく、応援して下さった多くの方々のおかげだと思います。「日本フランスパン友の会」は、会社の壁を超えてサポートしてくださいましたし、会社(ポンパドウル)には、自主トレーニングをバックアップしていただきました。日本のパン業界全体の想いが、今回の結果につながったと思っています。

 

(クリックで写真拡大)

世界一になった作品は食べれないのですか・・・

 世界大会で作った作品を、順次お店用に作り直して販売する予定になっています。第一弾として、クロワッサンとパン・オ・ショコラを考えています。

世界一になって周囲の反応はいかがですか・・・

 想像以上の反響で驚いています。テレビ番組でも大きく取り上げられましたし、新聞・ラジオの取材が目白押しです。凄いことをやったのだと感じています。

 

(クリックで写真拡大)

佐々木さんの次の目標は何でしょうか・・・

 世界一に恥じないように自分の技術をあげていきたいですね。パンについての勉強も続けていきたいと思います。そしてこれまで応援してくれた会社(ポンパドウル)の売上につながることをしていきたいと思っています。(笑)若い人たちへの講習会も積極的にやっていこうと考えています。

 アジア大会・世界大会に出場してみて、日本のパンのレベルの高さを実感しました。
日本のパンは種類が多いです。フランスパン・イギリスパン、お惣菜のパンなどこんなに種類の多い国はないのではないでしょうか。これからも新しい美味しいパンの商品を創り出していきたいですね。

横浜について一言・・・

 横浜にはスマートなイメージを持っています。
みなとみらいの近代的なビルや海の公園など、どれをとっても洗練されたイメージですよね。
その横浜の元町商店街というハイセンスなところで働けるのは、私の誇りになっています。

 

(クリックで写真拡大)

株式会社ポンパドウルHP http://www.pompadour.co.jp/

とても40歳台には見えないほどお若い佐々木さんでした。引っ込み思案だと言われましたが、淡々とお話になる語り口には引き込まれました。きっと想像を超える精進を重ねてこられたのでしょうが、それを感じさせない爽やかな方でした。「パン職人」の道をこれからも極めていかれることだと思います。
「横浜が生んだ世界一のパン職人」にお会いできてうれしいひと時でした。

(インタビュー・文:渡邊桃伯子)

 

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