佐々木彬文の「四季・色・贅・食」 第18話 もうすぐ七夕様です☆・・・☆☆『葉蓋』のお話
「ええっ」って申されましたか? 何の話かと?! 今回は、七夕様のお祭りの頃に楽しんで頂く『葉蓋』というお点前(茶道)のお話です。
七夕のお祭り特製『お点前』?
このお点前、七夕限定では無いのですが、御簾を下ろし、少し薄暗くした茶室で、水差しの蓋に大きな葉っぱを使ってするお点前なのでございます。 はい、裏千家に伝わって居ります。
もちろん葉っぱは使いっきり、一回しか使いません。 夏の日差しの中、木下陰のひんやりとした茶室で『葉蓋』のお点前は格別の風情が有ります。
このお点前は、十一代玄々斎様の創案のお点前です。 ほんの悪戯心か・・・とても粋な計らいのお点前なのです。
と申しますのも、「葉っぱ」を使うだけでも『えっ!』と驚かれますが、その水差しが末廣籠の花生けの『受け筒』を使って居ります。 「花生け」の水差しに「葉蓋」なので、「ええっ」となります。
ですが、「花生け」の筒の上に「葉っぱ」ですから、考えてみれば『普通』のことなのです。
茶道具の見立て
『何でも茶道具にしてしまう』お茶人とは困った人種かもしれません。 このように別な使い道を工夫する事を『見立て』と申します(笑)。 使われる「葉っぱ」は、梶の葉や桐・蓮・芋・蕗等何でも良いのですが、紫陽花の葉など毒や匂いの強い物・汁が出るものは使わないで下さい。 紫陽花は、今の季節に丁度良い大きさの葉ですから、使い易い様に見えますが、紫陽花の葉を使うと『暗殺』の言葉を暗に添えている様で良くないのです。 |
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疎まれた紫陽花
紫陽花の人気が高まったのは近年になってから、鎌倉の東慶寺(アジサイ寺)が観光の人気スポットになりました。 そして、紫陽花を線路沿いに植えたことから『アジサイ電車』が走るようになり、車窓からの景色を楽しむ観光客が増え沿線も賑わっております。
品種も改良され、庭木として、切り花として楽しむようになりました。 しかしながら、アジサイ寺と呼ぶように、紫陽花はお寺で見かける花でした。 紫陽花の七変化を武士が好まなかったとも言われています。
そして、紫陽花で中毒症状がでることを忘れてはいけません。 料理に季節感を醸し出すために紫陽花の葉を飾りに使うのは避けられた方がよろしいでしょう。
御ままごとなどのわらべ遊びでお子さんが誤って口にしないようにと、古(いにしえ)の人達は紫陽花を庭木にしなかったのでしょうか?!
そうそう紫陽花にいるかたつむりは絵になりますが、本当は「ありえません」よ、紫陽花の葉の毒に敏感ですから(苦笑)
蓮の葉の『葉蓋』
何方かの御供養や偲んでの茶会などには、その方ゆかりの茶碗や茶杓など何か一つ添え、蓮の葉などを『葉蓋』とするととても素敵かと思います。
七夕祭りと『葉蓋』
この頃、下賀茂神社のみたらし池でお祭りが有ります。(日時要確認・土用の丑の日前後4日)夕方涼しく成ってから灯りを燈した蝋燭を持ってみたらし池の中を歩いて参拝します。
浴衣の裾を托し上げて蝋燭の灯りがゆれてお参りする姿は、誠に美しい風物詩で御座います。
お参りに行き、帰って来て茶室の縁側に腰掛け、裏山から引いた石清水に漬けて置いた冷酒を頂き、取り留めも無く徒然に話をする・・・誠に心安らかなひと時では無いでしょうか。
さて、横浜で大きな七夕のお祭りって何処に有るでしょうか? 皆さん誘い合ってお祭りに行き、帰ってから『葉蓋』のお手前でお茶を点き喉を潤す。夏の楽しみ方の一つとして如何でしょうか?
写真と文:佐々木彬文(日本画家・裏千家茶道講師)
佐々木彬文画伯の今月の絵『森の中』
P6号(たて 27.5cm よこ41cm) 金額 280,000円 (額なし※)
私が選んだ今月の絵は『森の中』です。 最近では都会の川でもカワセミを見かけるようになりました。 都会の川の水がきれいになって餌が豊富になったことも一理ありますが、人間の生活圏に暮らすことで天敵から守られるからだとも言われています。
この絵のカワセミは緑深い『森の中』に暮らしているのでしょうか? 深い瀞の水面(みなも)には渓谷の緑が写り、かわせみの美しさが際立ちます。 飛び立つ前の一瞬の静寂、静止しているようにも見える水そして時間。 森の木々が風に騒ぐと、すべてのものが一斉に動き始めます。
(紹介文:高野慈子)
※額はご希望に応じて作成いたします。価格は素材に応じて20,000円からです。
※絵のご購入に関するお問合せは、ヨコハマNOW編集長 辰巳までご連絡ください。
TEL 045-264-4939 FAX 045-264-4940 Email kabuki@waratte.jp
佐々木彬文プロフィール
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日本画家(彬文会主宰) |
佐々木彬文作品
佐々木彬文作品 「祈り」
佐々木彬文作品 「祭り」
佐々木彬文作品 「墨絵」
佐々木彬文作品 「遊」
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ランニングが大好きで、月に150kmほど走っているというヨコハマNOW編集長の辰巳隆昭が、お気に入りの新横浜公園のランニングコースを紹介します。 |
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