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書評 「天使になった男」 ディスカヴァー・トゥエンティワン ジョー・タイ 著 桜田直美 訳

by staff on 2013/8/10, 土曜日
 

 空色の羽根の入った130頁ほどの本である。

 「彼は、海から吹き付ける風の中に立ち、太陽が沈むのを待っている。太陽の沈んだら、最後の一歩を踏み出すつもりだった。」 突然死を予感させる。

 死ぬ気になってやれば。死んだつもりでやりなおしたら。なんでもできるではないか。そんな気で読み出したら、違った。ポールという主人公がいて、傍観するようにレイフがいる。自殺しようとしたポールを映写機でフイルムをバックさせるように、隣にいて出来事を検証していく。何故そうなったのか。その原因はなんだったのだろうか。何故そうしたのか。もともとは何がしたかったのか。「恐怖とは、たくさんの恐ろしい明日の中で生きることだ。まるでその明日が絶対にやってくるかのように考えている。

勇気を持つとは、すべての明日を締め出し、自分の気持とエネルギーを、すべて今日というこの日だけに注ぎ込むことだ。絶対に確実なものは、それしかないのだから。」「恐怖は批判を拒絶する。その批判が的を射ているときは特にね。大人としての分別を持って理性的に問題と向き合うよりも、怒りや罪悪感や自己憐憫の方向へ話を持っていこうとする。すべきことをしないという批判の声を聞きたがらない。むしろ、自分の苦境を誰か他の人のせいにしようとする。」そして、次のような言葉を自然の絵と共に送り続ける。

 「希望を失うとは、ただ十分に遠くを見ていないだけのことだ。」「恐怖は人を退け、敵をつくる。勇気は人を受け入れ、友をつくる。」「勇気とは、明日の心配をすることをやめること。そして、今日という日だけに意識を集中し、今日だけを生きること。」「恐怖を克服するためのもっとも有効な方法は、自分の人生に責任を持ち、自分の問題や失敗を他人のせいにしないことだ。」「旅の途中を楽しめないなら、目的地についても楽しいとは思えないだろう。」

 第二章は、第一章が夢だったことを知らせて始まる。経営に行き詰まり、膨大な借金を抱えている。何かしようという気持を押さえることが大切な時もある。逆境を受け入れれば、そこからいろいろなことが学べる。そして紙の真ん中に線を引き、左側に問題、右側に原因、次に原因の下に線を引き、その一番上に解決策と書く。そこに「助けを求める」と欄を埋めた。「人生をシンプルにするには、自分が得意なことは自分でやり、不得手なことは人に助けを求めればいい。なんでも自分ひとりでやろうとしないことだ。誰かに助けてもらえ。」

 ポールの夢は、問題のある子どもたちと一緒に過ごし、この厳しい世界で生きていく手助けをすることだった。しかし、学校を管理すること、お金の工面をすることで、自分の子や生徒達と一緒に過ごす時間はほとんどなかった。今、子供達を助けることに専念する事にし、学校管理やお金の工面では、援助者を求めることにした。父親はもちろん、競争相手だと思っていた人にも。

 「ほしいものを手にいれる最高の法則は、人がそれを手にいれるのを助けること。」これが最後の章の表題である。人はいつかは、飛ぶのだ。それまでのあいだは、「恐怖に勝ち、あきらめない。」いつか聞いた、夢は実現する、実現するまで、夢を見続けるのだ。

(文:横須賀 健治)

 

 

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