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2014年9月 三ツ池だより 「老舗の味」

by staff on 2014/9/10, 水曜日
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急に夏が去って行ったように感じながら書いています。こんな夏はなかったのではないかと言われている。こんなことはなかったという言葉のなかに大変なことが隠されている。それは何事も予測できるなかで生き、生活しているというということになる。それでいいのだろうか。生きている、生かされていることすら不思議なこと、感謝すべきことなのです。

9月はどんな月なのであろうか。俳句に見てみよう。

火だるまの秋刀魚を妻が食わせけり
秋元不二男
あす死ぬるいのちかもしれず秋刀魚焼く
三橋鷹女

秋刀魚の季節になったが今年は海流の関係で少し水揚げが遅れているようです。今年も口に入れた秋刀魚のうまいこと、あいかわらずはらわたに大根おろしをあわせて食べた、顔がほころんだ。

日曜の空とコスモスと晴れにけり
久保田万太郎
秋霧や河原なでしこりんとして
小林一茶
すわればまだ咲いているなでしこ
山頭火

秋の空に合わせて花が際立つときだ。暑さを通り越してやっとほっとするときでもある。

女こびて秋海棠に何思う
正岡虚子
書を愛し秋海棠を愛すかな
山口青邨
病める手の爪美くしや秋海棠
杉田久女

愛しさを感じる季節になって、自分を見つめ、時には手の爪を見やる。秋海棠というと鎌倉の浄智寺をなぜか思い出す。

虫なくや我れと湯を呑む影法師
前田普羅
葉鶏頭遅速もなくて日和かな
飯田蛇笏

自分の近くに誰かいてほしい季節である。虫の声に季節の移ろいを感じ、時のながれに自分の今を映してみることが多くあます。

やることが見えてきて、充実する、させる、取り組む時です。

さて何時何が起こるかわからないといわれるなかで、仕事づくり、人づくり、夢づくりをしながらの「はかり」事業を私はしてきました。あるときに私はありがたい言葉をかけられました。そこから新しく見えてきたことがあります。

「お宅の会社は創業50年だよね。老舗っていうんだよね!」 「はぁ!」

老舗の条件を考えてみると(1)先祖代々の業を守り継ぎ、 (2)長年の営業で顧客の信用・愛顧を得、(3)今なお繁盛している店のことです。 “永続”と”繁盛”が二大条件になります。

今老舗といわれる企業の規模からみると、売上は5億円以内の会社が7割をしめる。従業員は9人以下の小企業が50%を超え、地場で家族を中心に地道堅実にやってきた家業レベルの小商いが50%を占めています。京の老舗についてつぎのような文を見つけました。

老舗もまた最初は新店です。そこから何世代にもわたって、変動する情勢を読み、激しい競争を勝ち抜き、天災や戦乱にもめげず、 時代を乗り切ってきました。ある時には、「新しがり屋だ」「無謀だ」と叩かれても、 思い切った発想で改革を断行しなければならない。 それが”若返り”を生み、次の時代へ向けての生命力となるからだ。京の老舗は目先の利益に走らないで、稼業の商売を細く長くいつまでも続くことに最大の重点をおいてきたようだ。「商いは牛のよだれのようなもの」といわれるゆえんだろう。

牛の涎を汚いとみるか、よく噛み砕いてじっくり消化していく行動とみるか。ただ続いているからいいというのではなく、もちろん利益は必要である。そこでは不義、不当な利得を戒めているのだ。お客様に喜ばれた事業で、正々堂々と商いをし、やがて信用を得て老舗となる。それは社会の役に立つことに存在価値を置いていることなのだと。

「お宅老舗だよね?」と本当に言われたとしたら嬉しい。「老舗」を目指してきたわけではなく、日々どのようにか「役に立ちたい」の一心で生きてきた。お客様のお叱りもなかった訳ではない。失敗がなかったわけではない。これからも平坦な道ではない。創業50年を迎え、ここにきて「老舗」を意識するときが来ているのだと思う。意識できることに誇りを持ちたい。ある方が昨年次のような文を出してくれた。「はかりのはかり屋 株式会社メジャーテックツルミ」の系譜は“三代前から計量士”伝統を持つ京浜工業地帯を支えるメジャメント会社である。

さて、外に目を向けてみると心配事がやまずみである。国際平和などほど遠い。異常天候が世界中に起こっている。ところで文明の発達したところは間違いなく、衰退し、砂漠化している。短いスパンではみえないことである。外交のなかに老舗という考えを入れてみる。老舗の国がどこで、新興の国がどこかと区別してみる。双方の調和は難しいとしても、少なくとも死の連鎖は止めなければいけない。自国の発展を犠牲にしてでもこの死の連鎖に異議を唱える国が表れないといけない。日本の森を残す運動も経済発展には逆なのかもしれない。しかしこれからの時代は良質な酸素を持てる国が優位に立つ。だから70年前の戦後に、食糧の輸入に踏み切った舵を真剣に戻す政策が求められる。高度な近代化が進んでも、その発展の先にとんでもない衰退が訪れるのは歴史が示している。立ち止まる勇気が求められる秋が来ている。地域で農業を営む人たちが森も手入れしてきた。それらに目もくれず地域振興の名のもと、都会資本があちこちに入り込み、農業というコミュニティ社会に侵略していった。酸素をキーワードにして地域間交流と経済交流の発想をするべきではなのだろうか。秋の夜は長い。日の出る国、日本のあるべき姿を語る時間もぜひ取りたいものである。

 

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(文・写真:横須賀 健治)

横須賀 健治プロフィール

メジャーテックツルミ 代表取締役
はかることのプロとして50年です。
食品の放射能測定のアークメジャーを設立しました。
「計量から見える幸せ」をライフワークにしています。

 

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