横浜宝石物語(第2回) 創業者の祖父(戦後編)
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横濱宝石美術館エメラ 代表 大島貴子 PROLOGUE 連載に寄せて私は横浜でおそらく一番古い宝石商の三代目です。 創業者の祖父、二代目の父、三代目の私とそれぞれの時代で宝石商としての形態は違っていますが、良い宝石を選び、作りの良いジュエリーを製作して、ご提供するということについては、3人とも拘ってやってきたと思います。 祖父が宝石の製造メーカーとして地位を築き、父が小売店として皆様に愛されたからこそ、今、私が宝石商としてやっていられますので、いつか祖父のこと、父のことを書いてみたいと思っていました。 |
この度、横浜宝石物語の連載のお話を頂きましたので、念願が叶い、とても嬉しいです。横浜の歴史も交えながら、祖父、父、私の宝石物語を綴っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。
宝石商の三代目私は現在、横浜の馬車道で「横濱宝石美術館エメラ」という宝石店をしております。 横浜の景色や思い出をジュエリーにした「横浜ジュエリー」などオリジナルジュエリーの製作と販売、デザイナーやアーティストの作品の展示販売、お客様のご要望をかたちにするリフォームやオーダージュエリーのご注文を承っています。 私の宝石商のルーツである創業者の祖父のことからお話しさせて頂きたいと思います。 祖父を語る(その2)戦争が激化してきたので、横浜の根岸にある家を壊して、材木を運んで長野に家を建てようと計画しているところで祖父は終戦を迎えました。 父は長男ですが、戸籍上は三男です。上に女の子も含めて4人、兄と姉がいたそうですが、父が生まれる前に相次いで病気で亡くなったそうです。 父も体が弱かったので、戦前、父が小学校の頃に根岸の山の上に家を買い、週末、祖父は父と畑をしていたそうです。 そして、終戦の翌日、中学生だった父が近所の養鶏場に鶏を買いに行ったところ、オーナーが戦争が終わったので、養鶏場を家ごと売って、田舎に帰るという話を聞きました。 鶏が大好きだった父は早速、祖父に養鶏場を買ってほしいとねだったところ、なんと祖父はすぐにOKして、買うことになったそうです。 アメリカ軍が進駐してきて、山の家が米軍住宅に接収された為、養鶏場を家にして、しばらくして、根岸の家も売ったそうです。 仕事の方は戦争中に伊勢佐木町のデパートの松屋さんで国が供出させた宝石の鑑定をしていたご縁で、戦後は松屋さんで問屋として店を出すことになりました。 また、戦後は宝石がなかなか手に入らず、お屋敷町の鎌倉に店を出して、買取りをしていたそうです。 卸しの仕事も忙しい祖父は父が16才になった時に旧制中学を辞めさせて、父に松屋の仕事を任せて、全国を飛び回りました。 父が昭和30年に取引先から頼まれて、今「横濱宝石美術館エメラ」がある馬車道に共同ビルを建てて、「大島宝飾店」という店を出すと、祖父も松屋の仕事もまたするようになりました。 ところが、お得意様が皆、父の馬車道の店に行ってしまうので、松屋さんからも祖父からも戻って欲しいとの要望があり、父は馬車道の店を2年足らずで閉めて、松屋に戻ったそうです。 祖父は株や先物取引などの投資が好きで、証券会社の担当だった母を見初めて、父と結婚させました。 昭和37年に横浜駅ビルができると父は母に別会社を作らせて、「エメラ」という宝石の小売店をオープンさせました。 店名の「エメラ」は母の誕生石のエメラルドから命名したもので、これが「エメラ」の始まりです。 昭和39年に横浜西口にダイヤモンド地下街ができると、父は母の会社で「エメラ」を出店して、夫婦だけで好きなように店をやろうと思いましたが、資金面で祖父母に援助してもらった為、祖父がダイヤモンド地下街「エメラ」の初代社長になりました。 そういう経緯もあったからか、祖父はダイヤモンド地下街の店を出してからは、店には毎日、来ていましたが仕事は父に任せていました。 私は初孫で祖父との思い出も色々ありますので、それは次回の思い出編に続けたいと思います。 |
(クリックで拡大画像) (写真提供:大島貴子) |
(横濱宝石美術館エメラ 代表 大島貴子)
横濱宝石美術館エメラ
〒231-0011 横浜市中区太田町5-61 馬車道商栄ビル1階
TEL.045-681-0603 FAX.045-228-9828
Websie http://emera-yokohama.jp/
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