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ヨコハマ・ディスコグラフィティー 第32回 第6章 社会人編 4

by staff on 2015/2/10, 火曜日


 
 

 

HEART&SOUL代表 原 正行

1958(昭和33)年9月7日横浜生まれ、12歳よりギターをはじめ17歳からミュージシャンとして活動。39歳の時に念願だったライブハウスを開業、現在は関内駅北口駅前に60年代から80年代の洋楽ヒット曲を演奏するライブハウス、ハート&ソウルの経営者。他にもミュージシャンとして演奏活動、作曲、プロデュース等、幅広く活動している。

 

横浜、街と風(社会人編) 18(33)

流し

マジックの後は弾き語りの仕事を短い期間でフリーターの様に市内のあちらこちらに出ていました。街外れのスナックとか鉄板焼き屋を改造した店とか変わったお店も幾つかありましたが、福富町のジュウタンスナックに出た時は、とある大親分がお忍びで来ていて、一曲伴奏するたびに若い衆が一万円持ってきます。頬にでっかい刀傷があったり、顔がひしゃげていたり、お札を持ってくる指が1、2本なかったり、何しろ眼が違う、近くで見ると凄みは半端じゃありません。「その曲できません」とか言えないし、間違えたら大変です。緊張の連続でした。ある時、この店で歌っていたら、入口からクラシックギターを抱えた人が入ってきてお客さんの席の前で演歌を生で一曲歌い始めました。私、歌っているのにですよ。もうビックリです。この人はMちゃんと呼ばれた地廻りの “流し” で何十年も福富町で一杯飲み屋の暖簾をくぐって演奏するベテランでした。(日活映画で石原裕次郎が主演の『嵐を呼ぶ男』の主役の仕事は最初 “流し” でした。北島三郎も売れる前は本当にやっていたそうです。昔は横浜にも沢山の “流し” という職業の人がいたようですが、時代とともに赤提灯や縄暖簾が減り、お店と契約する弾き語りが増えて彼らの仕事もなくなっていったのでしょう。彼らにしてみれば我々は後から現れたにっくき商売敵だったのかもしれません。この当時福富町には3人の “流し” がいると言われていましたが他の人は見たことがありません。

エルエラ

伊勢佐木町の日活会館の地下にあったグルッペは大きいお店で、5本位の大きい柱を利用してそこをバーカウンターがぐるっと囲み、中にバーテンダーが2、3人いて接客します。テーブル席もあって、この手の店はコンパとか言われてよくありました。元はディスコだったそうで、そこの店長が「昔キャロルになる前の矢沢が出てたんだ」と自慢げに話してました。この店では出たばかりのビリージョエルの『マイライフ』や『オネスティ』のリクエストが来ていてよく歌った記憶があります。オベーションギター片手にこの手の店を転々としましたがどれも長くは続きませんでした。

ある時、桜木町の川沿いにあった読売新聞新聞社ビルの地下に “エルエラ” と言うお店を紹介してもらいました。30坪位のこのお店は、基本的には喫茶店で昼はランチ、夜になるとお酒も出て食事も出来る、小さいステージには白いグランドピアノがあってオフィス帰りの男女で結構賑わっていました。経営者やスタッフもみんな品があって感じが良く、それに惹かれて集まるお客様達もやはりみんな上品で、お店というものは経営者の雰囲気や考え方が反映されるんだなとこの時感じました。ここで沢山のステキなお客様に出会いました。今でもお付き合いしている方も居ます。ここではお客様の年齢も近いし仕事帰りの女連れやカップル、課長が部下を引き連れてくるようなホワイトカラーがほとんどで、フォークもOKだし、ビートルズも受けました。最初はピアノのまえに座って弾いていましたが。お客様の熱気に応えるためやがて立って歌うようになり、いつも汗ビッショリで歌うので、汗止めのバンダナをおでこに巻いていたりしました。マッチのギンギラギンみたいに、、、時代ですね。

エルエラに入るといつも引き立てのコーヒーをたててる匂いがして、今日も頑張ろうという気持ちにさせてくれるこのお店が本当に大好きでした。ここには弾き語りとして少し長く使ってもらいました。

ファルセットボイス(2)

前号に引き続きファルセットのお話。ファルセットを使ったボーカルは世界各地にあります。まずはヨーデル! アルプスに伝わる伝統民謡で、ファルセットと地声の低音を交互にひっくり返す高度な技。日本で広まったのは昭和26年に灰田勝彦さんが歌った『アルプスの牧場』が最初だそうです。我々横浜人にはつい数年前まであった山下町のバンドホテルのナイトサパークラブ “シェルルーム” で歌っていた “ウイリー沖山” さんの『山の人気物』が有名です。その凄さは裏声と表声を返す速度と回数で、その超絶テクニックは驚きで、空いた口がふさがりません。一歩間違えるとギャグになってしまいそうです(若い人にはアルプスの少女ハイジのテーマソングで使われてたあれですよと言えばわたってもらえるかもしれません)。このヨーデルがアメリカに行き独特のものに発展したのがカントリーヨーデル。ハンク・スノーなどが有名ですが、カントリーシンガーは裏声に返す唱法を使う人が多いですね。多分それがハワイに行ったのかわかりませんが、ハワイアンミュージックは柔らかいファルセットを多様します。クラシックやオペラでは花形になるのが女性のソプラノ! 私はあまり詳しくありませんが、あれはほとんどファルセットで歌われていると思います。又、ジャズの世界ではソロの歌手はメロディでは基本使いませんが、ジャズにはアドリブでスキャットがあります。アル・ジャロウなどは見事な裏表合わせて3オクターブ以上の音域を縦横無尽にスキャットします。楽器顔負けです。

ファルセットと言えばやはりコーラスで、教会音楽でコーラスする必要性から発展していきました。男女混声が基本ですが、それが大衆音楽に影響を与えることによって、様々なスタイルが生まれました。男性グループではバス、バリトン、テノール、トップテノールと最初は表声だけでしたが、ファルセットを用いる事によって3オクターブ以上の音域をカバーし幅を広げることができました。以前は主旋律のメロディを歌うのはテノールでしたが、ジャズコーラスの世界で発展したのがファルセットで、歌う一番高いソプラノがメロディを歌い他の三人が複雑なコードの音をハーモニーするというオープンハーモニーで、これで有名なのがフォーフレッシュメンです。複雑で高度なハーモニーを見事なコーラスで、しかも全員楽器を演奏しながら歌うという超絶バンド。真ん中で半音がぶつかってもその不協和音が心地よさに変わってしまう。複雑だけどまったくそれを感じさせない凄さ。アマチュアが真似したら合ってんだか間違ってんだか分からずただ気持ち悪いだけのコーラスになってしまいそうです。このトップボイスは、多分ヘッドボイスではなくファルセットの区分に入ると思いますが、更にこのコーラスの手法を取り入れて60年代から70年代にかけて人気を博したのが先日映画で話題になったジャージーボーイズのモデル “フォーシーズンズ” す。リードボーカルのハリのあるファルセットが特徴のリードボーカル “フランキーヴァリ” は、多分ミドルボイスだと思われます。ヒット曲『シェリー』のあの声ですね。白人でこの歌い方を確立してヒットさせたのは彼が最初ではないかと思います。

しかし私が一番最初にファルセットに目覚め大好きになったファルセットはやはりソウルミュージック、次回はこの辺を書いてみたいと思います。

(続きは次号へ)

HEART&SOUL代表 原 正行)

 

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