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由良の門を 渡る舟人 かぢを絶え 行方も知らぬ 恋の道かな

by staff on 2015/5/10, 日曜日

♪ 由良の門を 渡る舟人 かぢを絶え 行方も知らぬ 恋の道かな ♪


絵・千絵崇石
 

読み人:曽禰 好忠(そね の よしただ)

現代語訳は今回は省きます。が 舵をなくしてしまった舟を 恋の行方にたとえていて、私の好きな歌のひとつです。

一年前に横浜の大桟橋で友人とランチを楽しんだ時にちょうど入港していたのが外国からの豪華客船で、クイーンエリザベス号だったのかしら? あの大桟橋のクジラの背中を散歩しながら潮風に当たって久しぶりの開放感を味わったのを覚えています。

大きな客船はあまりゆらゆらとは揺れません。伊豆七島の島々をつなぐ舟は小型船もあってゆらゆら感があります。でも黒潮踊る太平洋なので30分もゆられていると、心もとなさ! よりも船酔いの方が際立って苦しくなる事も。

やはりゆらゆら感は川下りや、湖畔の小さな舟で味わうのがいちばんです。足の裏にいつも感じる大地の安定感がなくて何ともいえず漂う感じが、この歌の気分と正にぴったり。

この歌は時代を超えていて、今でもそのままで理解できるのですが、その当時の主流とはちょっと違っていた為に、当時の評価はほとんどなかったようです。その上 読み手の曾禰好忠は、偏狭で異端児的な変人 と見られていました。エピソードとして有名なのが寛和元年(985年)に、官位に関係なく歌人の和歌を鑑賞する趣向の催しが開かれた際、催しに呼ばれていないにもかかわらず、好忠は召された歌人方の席に強引に着席した所、当時のエリートたちに追い出されたという。ちょっと悲しい物です。

「和歌うた」を応援して下さる方の一人に この「曾禰好忠」がご祖先だったと言う方がいらして最近「曾禰好忠」をテーマに書かれた物語を出版され、私も読ませて頂きました。

*「暦 千年の孤独」著者 曽根昭十四 (日本文学館出版大賞ノベル部門特別賞受賞)

その物語の中でこの歌は、好忠が 丹後から京都へ赴く時に由良川で若い娘に出会って恋に落ち、その時に彼女に送ったものとされています。
この最初の句 由良の門 の場所は 万葉集でも歌枕として使われている紀淡海峡の由良と言うのが一般的ですが、彼の子孫である曽根昭十四氏はあえて若狭海峡の由良川での恋物語を紹介しているのも興味深いところです。この「暦 千年の孤独」は不思議な読後感があって何度も読み返すたびに「曾禰好忠」という一人の男性がじわじわと存在感を放って心の中に染み込んできます。私の曾禰好忠観は、歴史書等で語られてきていた彼の人物像とは全く違ったものとなってしまいました。興味のある方はぜひ一度読まれる事をお勧めします。

 

彼は生きている時には全くと言ってよいほど評価されていません。その頃の歌詠み社会の中では周りから軽視されていた。そんな印象があります。それが彼の死後に平安後期の革新的な歌人達から徐々に再評価されて、千年後の現在では百人一首の中でもひときわ斬新な光を放った名首と言われています。あまりにもオリジナリティがありすぎて、その時代には受け入れられない。そんな孤独な歌詠みだったのでしょう。

(早苗ネネ♪)

<LIVE INFORMATION>

  • 「東日本大震災被災地支援チャリティーコンサート in 春日大社」
  • 2015年5月14日(木) 受付時間:13時 開演:14時
  • 会場:春日大社感謝共生の館 (先着250名さま)
    〒630-8212 奈良市春日野町160
    TEL:0742-22-7788
  • 入場料:支援金としての志納をお願いしております
  • 出演:早苗NENE(和歌うた)、川内奈保子(ソプラノ)、金関環(バイオリン)、吉川純美(
    ピアノ) 他
  • お問い合わせは、川内まで。090-7099-3229

 

早苗ネネさん プロフィール

木々や鳥や魚や精霊…人間以外の存在達との交流が当り前に語れるくらい、いのちのひろがりに気づくと、共に生きている喜びや、苦しみや悲しみにもナイーブになる。

心と野生がひとつながりになると……こんな風に人は年を重ねられる。ひとりひとり、ユニークにもっと自分になれる。

早苗 Nene さんは、そういう人生の先駆者です。 感性を解放しながら、40代で高校生に仲間入り卒業後、マウイのカレッジに留学中、突然半生記が受賞しました。

そんな新たなシーズンを迎えて、今エッセンスを分かち合いたい。

<天性の歌い手>というだけでなく、その存在感、溢れる活性のバイブレーションは、光のシャワーのよう。彼女と語り歌い、魂の成長を旅している現在の、自分の位置を確かめてみませんか?

早苗ネネさんHP

 

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