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横浜宝石物語(第8回) 二代目の父(海外編)

by staff on 2015/6/10, 水曜日

横濱宝石美術館エメラ 代表 大島貴子
横濱宝石美術館エメラ
代表 大島貴子

 

横濱宝石美術館エメラ 代表 大島貴子

PROLOGUE 連載に寄せて

私は横浜でおそらく一番古い宝石商の三代目です。

創業者の祖父、二代目の父、三代目の私とそれぞれの時代で宝石商としての形態は違っていますが、良い宝石を選び、作りの良いジュエリーを製作して、ご提供するということについては、3人とも拘ってやってきたと思います。

祖父が宝石の製造メーカーとして地位を築き、父が小売店として皆様に愛されたからこそ、今、私が宝石商としてやっていられますので、いつか祖父のこと、父のことを書いてみたいと思っていました。

この度、横浜宝石物語の連載のお話を頂きましたので、念願が叶い、とても嬉しいです。横浜の歴史も交えながら、祖父、父、私の宝石物語を綴っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。

宝石商の三代目

私は現在、横浜の馬車道で「横濱宝石美術館エメラ」という宝石店をしております。

横浜の景色や思い出をジュエリーにした「横浜ジュエリー」などオリジナルジュエリーの製作と販売、デザイナーやアーティストの作品の展示販売、お客様のご要望をかたちにするリフォームやオーダージュエリーのご注文を承っています。

私の宝石商のルーツである創業者の祖父のことからお話しさせて頂きたいと思います。

二代目の父(海外編)

父は1970年代初めからタイ、スリランカ、ブラジル、コロンビア、アフリカ、オーストラリアなどの海外の宝石鉱山にまで行き、沢山の取引先を開拓しました。

最初は宝石学者の近山晶先生と宝石学の勉強を兼ねてタイの宝石鉱山に視察に行ったのがきっかけだったそうです。
その後、ビルマ、スリランカ、オーストラリア、アフリカのケニア、タンザニア、中南米のメキシコ、コロンビア、ブラジルなどにも行きました。
1970年代の10年間、父は1年のうち、3分の1は海外に行っていたと思います。

ブラジルではダイヤモンド鉱山を発掘する為に資金を出しました。
私が中学生の時、急に父が家族会議を開いて、「ブラジルでダイヤモンドを掘りたいけれど、会社でなくて、個人のお金を出すからみんなの許可が欲しい」と言い出しました。
1975年頃だったと思いますが、当時、マンションが買えるお金だったそうです。
結局、ダイヤモンドは出なくて、写真の石が届いただけでした。

南米のアマゾンではマラリアにかかって死にそうになり、それから父は宝石鉱山に行かなくなりました。

香港は中間貿易の拠点で、石の研磨やジュエリーの加工も盛んだったので、宝石鉱山に行く前から父はよく行っていました。
今は大手になっている日本の取引先に頼まれて、香港の宝石会社の出資をしたこともありましたが、これも結局、上手く行かず、出資金は返ってきませんでした。

香港、タイ、スリランカの取引先の方たちとは40年近く、家族ぐるみのお付き合いをさせて頂いています。
私も高校生の時に初めてスリランカに家族で行って以来、何度か仕事でも連れていってもらいました。

スリランカやタイに行くと朝、ホテルに取引先の人が迎えに来て、夕方、ホテルに送り届けてくれるまで、宝石のブローカーが持ってくる宝石をずっと見るのです。
ロットという、1袋に10個近く入っているものもあるので、1日1000個近く見るのはあたり前でした。
それでも「これ!」という宝石と出会うことは1日何個もなく、それだけ厳選して集めた高品質の宝石を父が店でお客様に安く売るのを見て、「割に合わないな」と思ったこともありました。

バブルの頃は多店舗化していて、9店舗あったので、ジュエリーをタイの宝石工場で作らせたりもしていました。
また、知り合いに頼まれて、タイで海外向けにジュエリーを作る会社に出資をしたり、ジュエリーを入れる宝石ケースもタイで作らせて輸入していました。
出資したジュエリー会社はダメになり、またもや出資金は戻ってきませんでした。(笑)

父は海外の宝石展示会にもよく行きましたが、中でも私が27歳の時にスイスのバーゼルフェアという一番大きな宝石の国際展示会に一緒に行った時は「やはりヨーロッパのデサインは違う」と二人でとても感激しました。
バーゼルフェアに行くついでに、ベルギーのアントワープでダイヤモンドの買い付けをしましたが、当時はダイヤモンドの取引きは特殊だったので、とても緊張しました。

1990年代に入ってバブルが弾けると、宝石の需要も減りましたし、海外の取引先の方が日本に来てくれるようになり、海外に行くことは少なくなりました。

父は今年85才になりますが、ダイヤモンド鉱山の夢を見たブラジルにもう一度行ってみたいのだそうです。

 

(クリックで拡大画像)

エメラ店舗
エメラ店舗

ロゴマーク
ロゴマーク

 

 

タイ国境近くの宝石鉱山の父
タイ国境近くの宝石鉱山の父

1975年頃 ブラジルの宝石鉱山
1975年頃 ブラジルの宝石鉱山

ブラジルのダイヤモンド鉱山の儚い夢の石
ブラジルのダイヤモンド鉱山の儚い夢の石

1985年頃 スリランカの取引先の父
1985年頃 スリランカの取引先の父

スイス・バーゼルフェア会場で
スイス・バーゼルフェア会場で

(写真提供:大島貴子)

横濱宝石美術館エメラ 代表 大島貴子)

 

横濱宝石美術館エメラ
〒231-0011 横浜市中区太田町5-61 馬車道商栄ビル1階
TEL.045-681-0603 FAX.045-228-9828
Websie http://emera-yokohama.jp/

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