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ヨコハマ・ディスコグラフィティー 第36回 第6章 社会人編 8

by staff on 2015/6/10, 水曜日


 
 

 

HEART&SOUL代表 原 正行

1958(昭和33)年9月7日横浜生まれ、12歳よりギターをはじめ17歳からミュージシャンとして活動。39歳の時に念願だったライブハウスを開業、現在は関内駅北口駅前に60年代から80年代の洋楽ヒット曲を演奏するライブハウス、ハート&ソウルの経営者。他にもミュージシャンとして演奏活動、作曲、プロデュース等、幅広く活動している。

 

横浜、街と風(社会人編) 22(37)

男気

念願のハーバーガイズ(以降ハーバー)に入りヤル気満々でステージをやっているとお客さん達は不満顔。何をやっても空回りで受けません。ある年配の女性客などは入ってくるなり「HSちゃんはいないの? いないなら帰る!」といって出て行ってしまいました。唖然、、、

HSちゃんとは、私が入る前にハーバーガイズにいた弾き語りで歌が上手くシャンソンやカンツォーネや布施明の歌を得意としていて来生たかおに似た甘いマスクで深夜は彼のファンの女性客で一杯だったのです。その後釜に来たのが私でした。

彼のファンたちは彼がいないと分かると足が遠ざかり、1ヶ月もすると段々私の時間帯は暇になっていき、演奏をする回数も減っていきました。カウンターで一人時間を持て余す事も多くなりました。

さすがに私も落ち込み、ある時経営者のMさんに「最近お店も暇で演奏する回数も少なくなりました。私にはHSさんの後釜は厳しいかも知れません。もし必要なくなったらいつでも言ってください」といったのです。するとMさんは「お前は心配するな。HSはHS、お前はお前の良さがある。うちはちょっとやそっとの事では大丈夫だ。頑張ってやってみろ!」と言ってくれたのです。

それからは自分の得意なアメリカンポップスやビートルズ、そして流行歌をいち早く取り入れ、お客様の伴奏もやって少しずつ新しいお客様を掴んでいく事ができるようになり、深夜のお客の少しずつ増えていきました。あの時のMSさんの男気に今でも感謝しています。

ハーバーのオーナーMさんは昭和21年生まれ、大学生の頃カレッジフォークをやっていてギターの弾き語りという職種が生まれた頃この仕事を始めた人でした。当時、すでに売れっ子で何軒もの店を掛け持ちし稼いだチップで生活し給料はそのまま貯金して家を建て福富町に伝説の店アラフィンを仲間のKさんと共同経営で開店、まだ20代だったそうです。

アラフィンは何度か行きましたがジュウタンの店で奥にバンドセットがありさっきまで水割りを運んでいたスタッフがみんな時間になると演奏を始めます。そして合間には近所のお店で演奏している弾き語りが代わる代わるやってきては演奏しだします。みんなK、Mさんを慕ってくる若いミュージシャン達で、東京からも芸能人が駆けつける程の店でした。この頃Mさんは、自分で作詞作曲したシングルレコード「ゲランの香り」をリリース。地元横浜の夜の世界ではちょっと知られた名曲でした。そして独学でピアノをマスターし、若い頃から夢だった白いグランドピアノがあるお店を開店する為、Kさんと別れて関内南仲通1丁目に1980年ハーバーガイズを開店しました。因みにKさんは前出のマジックのオーナーの一人になります私はこの二人共に雇われていたわけです。世の中は狭いですね。

夜の流行歌

1982年~85年頃の日本の流行歌と言えばタノキンに聖子ちゃんなんかが流行っていましたが、夜の世界には夜の世界の流行歌がありました。一般的には北酒場などの演歌系ははずせませんが、ハーバーあたりではあまりド演歌はやりません。おしゃれな大人の世界にあう歌詞の曲が受けていました。洋楽以外当時私のお得意はと言うともちろん定番のサザンははずせませんが、稲垣潤一の「ドラマチックレイン」やダウンタウンBWBandの「身も心も」。一番大好きだった山下達郎は「潮騒」以外はサウンド的に再現は難しいし夜には合いませんでした。

p class=”top2″>当時は陽水のアルバム「ライオンとペリカン」が大ヒット。その中から「とまどうペリカン」、「リバーサイドホテル」がよくリクエストきました。

p class=”top2″>そして来生たかおが「セーラー服と機関銃」の曲で注目を集め同じ曲ですが、自身で出した「夢の途中」もヒット。彼の「Goodbye Day」は夜の世界で超人気曲でした。どこのお店にもエンディングソングというのがあって、昔はどこの店でも必ず「そっとおやすみ」を演奏していましたが、へそ曲がりな私はアップテンポの元気なナンバー、井上陽水の「Good Goodbye」をエンディングソングに使っていました。これはこれで当時受けていましたが、ハーバーに来た頃「Goodbye Day」に変えたのです。この曲で歌手はどのように詩に心を込めると人に伝わるのかという事を少し学びました。

月刊歌謡曲

ハーバーの時間帯は深夜でしたからクラブの客がホステスを連れて飲みに来るアフターと呼ばれるケースが多く、それらの客の歌の伴奏もよくやりました。弾き語りを始めた頃は、伴奏する曲も単純な曲がほとんどでコード(和音)も曲の構成もシンプルでした。大体赤本(前出の歌謡曲のすべて)があれば大抵の曲は伴奏できましたが、知らない曲は最初の所歌ってくださいといって、4小節位無伴奏で耳元で歌ってもらい、その曲はマイナーなのかメイジャーなのか? どんなリズムでテンポなのか? を瞬時に判断し適当なイントロを付けて「はい、どうぞ」と歌わせ、あとは歌を聞きながらコードを想像して付けていきます。私の得意技でした。

しかし、ハーバーの頃になるとホステスも若くなり、新しい曲を歌いたがると、曲が複雑になって難しくなりもう赤本ではとてもついていけません。月刊歌謡曲というのを買っては毎月新曲を勉強しました。流行歌も単純なコードでは弾けなくなっていました。この後「フォークソングのすべて」、「ニューミュージックのすべて」、「ポップス歌謡のすべて」なんて楽譜集が出版され重宝しました。更に少しずつカラオケが普及しだした頃で、客の方も伴奏なれしてきて歌も上手な人が増えてきました。

歌の伴奏はお客様への愛情であり心のこもったサービスです。そう思っていなければ出来ません。気持ちよく歌ってくれれば嬉しいし、こちらも楽しい。しかし、たまにカラオケなれした客に機械みたいに扱われると嫌な気分になりました。

(続きは次号へ)

HEART&SOUL代表 原 正行)

 

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