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横浜宝石物語(第14回) 三代目の私(バーゼルフェアとヨーロッパ出張)

by staff on 2015/12/10, 木曜日

横濱宝石美術館エメラ 代表 大島貴子
横濱宝石美術館エメラ
代表 大島貴子

 

横濱宝石美術館エメラ 代表 大島貴子

PROLOGUE 連載に寄せて

私は横浜でおそらく一番古い宝石商の三代目です。

創業者の祖父、二代目の父、三代目の私とそれぞれの時代で宝石商としての形態は違っていますが、良い宝石を選び、作りの良いジュエリーを製作して、ご提供するということについては、3人とも拘ってやってきたと思います。

祖父が宝石の製造メーカーとして地位を築き、父が小売店として皆様に愛されたからこそ、今、私が宝石商としてやっていられますので、いつか祖父のこと、父のことを書いてみたいと思っていました。

この度、横浜宝石物語の連載のお話を頂きましたので、念願が叶い、とても嬉しいです。横浜の歴史も交えながら、祖父、父、私の宝石物語を綴っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。

 

宝石商の三代目

私は現在、横浜の馬車道で「横濱宝石美術館エメラ」という宝石店をしております。

横浜の景色や思い出をジュエリーにした「横浜ジュエリー」などオリジナルジュエリーの製作と販売、デザイナーやアーティストの作品の展示販売、お客様のご要望をかたちにするリフォームやオーダージュエリーのご注文を承っています。

私の宝石商のルーツである創業者の祖父のことからお話しさせて頂きたいと思います。

 

 

三代目の私
(バーゼルフェアとヨーロッパ出張)

新宿ルミネ店がオープンしてから、バンコクや香港で石の買い付けやジュエリーを作ったりする父に同行させてもらえるようになり、少しずつジュエリーの仕事に関わらせてもらえるようになりました。

そんなある日、バブルの絶頂期の1989年の春に父から「バーゼルフェアに一緒に行かないか?」と話がありました。バーゼルフェアというのはスイスのバーゼルで開催される世界最大の宝飾と時計の国際展示会です。
取引先のダイヤモンド輸入業者から「一緒にベルギーのアントワープに行って、ダイヤモンドを買いませんか?」という話があり、それならば、バーゼルフェアも見て、パリ、ミラノにも足を延ばして、「ブランド、ブランド」と騒いでいる私に本場のブランドを見せようと父が思ったようでした。
当時、「オリジナルジュエリーを作ってエメラをブランド化したい」と父に直訴していたのですが、全く聞く耳を持ってもらえない状況でした。そんな時に父から夢のような誘いがあり、本当に嬉しかったです。

バーゼルフェアには3日間しか時間を取れなかったので、全てのブース見ることはできず、ヨーロッパの宝飾メーカーを主に回りました。ヨーロッパのメーカーには素敵なデザインが沢山あり、とても勉強になりました。
父にとってはデザインよりも石が綺麗なことが一番重要なので、アクアマリンが沢山敷き詰めてあるバングルとリングとイヤリングのセットを見ていたら、「それが気に入ったならば、買おうか?」と言いだしました。
とても綺麗でしたが、かなり高額商品だったので、どんな方が買って下さるか?考えていたら、「店飾りにすればいいから」との父の一言で買うことになりました。
それが写真のアクアマリンの3点セットです。ですが、中々ご購入頂けずに、父から「お前が欲しいというから買ったのに、売れない」と文句を言われてしまい、ようやくお嫁入りした時には本当にホッとしました。

バーゼルフェアを見た後、ベルギーのアントワープに行き、ダイヤモンドの買い付けをしました。ダイヤモンドの買い付けは色石とまた方法が違うので、現地での色石の買い付けに慣れている父も少し戸惑ったようでしたが、とても勉強になりました。
この体験で母から「女は勉強しなくていいから」と反対されていた宝石学の勉強をしたくなり、その後、米国宝石学会(GIA)でダイヤモンドの勉強をすることになりました。

アントワープからパリに行き、エルメス、ルイ・ヴィトンなど有名ブランドを沢山、見ました。店の内装やディスプレイ、色使いや商品の置き方、箱や袋など何でもとても素敵で、勉強になりました。
宝飾店は予約をしないと店内に入れないところが多く、外のショーウィンドーから素敵な商品をうっとり眺めました。今、うちの店は完全予約制にしていますが、あの時のパリの宝飾店の影響もあります。

 

(クリックで拡大画像)

エメラ店舗
エメラ店舗

ロゴマーク
ロゴマーク

 

バーゼルフェア会場で
バーゼルフェア会場で

アクアマリンの3点セット
アクアマリンの3点セット

ベルギー・アントワープでのダイヤモンドの買い付け
ベルギー・アントワープでのダイヤモンドの買い付け

【今月のエメラのジュエリー】
コンク貝のペンダントとリング

コンク貝のペンダントとリング
コンク貝のペンダントとリング

(写真提供:大島貴子)

パリもお洒落でしたが、最後に行ったミラノは街全体が芸術のようで、普通に歩いている人のファッションも雑誌から出てきたようで、とても素敵でした。
ミラノでは当時、まだ日本では有名ではなかったプラダがとても素敵で、思わずバッグを買ってしまいました。その後、プラダが日本でも人気が出て、先物買いをしたようで嬉しかったです。

パリのエルメス本店でも革の手帳を買いましたが、この手帳は10年以上使い続けました。今でも同じ型のエルメスの手帳を使っていますが、エルメスの手帳を使い続けることで、「また、仕事を頑張ろう!」と思えます。
このバーゼルフェアとヨーロッパ出張は私にとって、とても勉強になりましたし、オリジナルジュエリーを作りたい! エメラをブランド化したい! という思いが強くなりました。
あの時「エメラのジュエリーを買って下さった方が素敵な記憶を持って下さるようなブランドにしたい」と思いましたが、今でもそう強く願っています。

横濱宝石美術館エメラ 代表 大島貴子)

 

横濱宝石美術館エメラ
〒231-0011 横浜市中区太田町5-61 馬車道商栄ビル1階
TEL.045-681-0603 FAX.045-228-9828
Websie http://emera-yokohama.jp/

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