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映画になったヨコハマ(第11回) 黄金町の日劇に事務所を構えた私立探偵

by staff on 2016/2/10, 水曜日
私立探偵 濱マイク DVD BOOK Vol.1  

私立探偵 濱マイク DVD BOOK Vol.1

制作 2002年 日本テレビ
脚本 大森一樹
監督 大河原孝夫
出演 永瀬正敏 中島美嘉 小泉今日子 阿部サダヲ 菅野美穂 香川照之 泉谷しげる樋口可南子
発売元 宝島社

かつて、横浜にもホームズばりの名探偵が、それなりに難事件も解決していたらしい。黄金町にあった映画館、横浜日劇の2階に事務所を構えていた濱マイク(永瀬正敏)。その名は、米国のハードボイルド探偵小説の主人公、マイク・ハマーのもじりだ。

今回紹介するのはテレビ・シリーズ(2002年放送)だが、それに先立つ3部作の映画が、1993年から1996年まで、林海象の監督・脚本で公開されている。映画から設定とキャストは一新されているが、フェイクファーのコートにサングラスと、チープなファッションで決めたマイクは変わらない。

ドラマ第1作は、『31→1の寓話』、1999年の大晦日に自殺した銀行員を巡る事件だ。
ペットの金魚が死に、埋葬しようと土のある所を求めて街をさまよううち、マイクは、偶然その遺体を発見する。追って、事務所には、「僕を探してください」という手紙と50万円が届けられる。実は、送り主の狭山(鈴木卓爾)は、自殺した所沢と同様、日本特殊銀行の社員で、リストラ部屋(2000年問題対策室)に追いやられた3人組のメンバーだった。
狭山の自宅住所を訪ねると、そこは市営住宅で、無農薬野菜で自活しながら15家族が暮らしている。バブル崩壊で、本格的な格差社会の到来か。さて、今は昔、Y2Kこと、2000年問題では、コンピュータが誤作動するのではないかと、世界中が大騒ぎした。日本特殊銀行(政府系?)ともあろうもの、リストラ組が取り組むには、いささか重すぎるテーマだろう。

突っ込み所は満載だが、小ネタは面白いし、マイクは金はないが、人情味がある。脇役も達者で、狭山の妻(菅野美穂)、リストラ部屋の同僚(香川照之)、銀行の警備員(泉谷しげる)、所沢の妻(樋口可南子)・・・と、豪華なゲスト陣。加えて、レギュラーは、マイクの妹(中島美嘉)、探偵事務所のバイト(市川美和子)、行きつけの喫茶店(横浜橋通商店街)のママ(松田美由紀)。さらには、パチンコ景品交換所のわけ知り女を、当時は永瀬の妻だった小泉今日子が演じており、先の展開に期待を持たせる。
日劇が2005年に閉館後、レトロなビルが2007年に取り壊されてから、マイクはどこで活躍しているだろうか。喫茶店には、今もファンが訪れる。

横浜度(横浜の露出度、横浜を味わえる度) 60%

筆者紹介

塚崎朝子(つかさき あさこ)

ジャーナリスト。世田谷生まれの世田谷育ち。読売新聞記者を経て、医学・医療、科学・技術分野の執筆が多いが、趣味の映画紹介も10年以上書き続けている。年に数時間だけ、横浜市内のキャンパスで教壇に立たせていただいている。

著書に、『慶應義塾大学病院の医師100人と学ぶ病気の予習帳』『新薬に挑んだ日本人科学者たち』(いずれも講談社)、『iPS細胞はいつ患者に届くのか』(岩波書店)など。「日経Gooday」で「その異常値、戻しましょう-STOP・メタボの12ステップ」連載中。

 

 


 

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