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山里は 冬ぞ寂しさまさりける 人目も草も かれぬと思へば

by staff on 2016/2/10, 水曜日

♪ 山里は 冬ぞ寂しさまさりける 人目も草も かれぬと思へば ♪


絵・千絵崇石
 

読み人:源宗千朝臣(みなもと の むねゆき あそん)

現代語訳・・紅葉や桜の季節には訪れてくれた人たちも 冬には草と同じに見る事もない。冬の山里は本当にさびしいものです。

私の部屋の窓からみえる世界はホワイトグレー。雪は降っていませんが、灰色の冬空に染まって、あたり一面が灰色。2月は一年のうちでも一番冬枯れの季節です。
この所 寒波が厳しくて私自身も冬眠状態。自宅にある暖房器具、エアコンもファンヒータも目が乾いてしまうので、寒い部屋の中でコートを着て炬燵の中で原稿を書いています。

さて、作者の源宗千さんは、光孝天皇のお孫さん。それも第一皇子の是忠親王の息子です。でもその割には出世しなくて本人は悩んでいたそうです。いつの時代でも男性にとって組織の中で高い地位を取る事が大事なことなんですね。様々な文献を読んでもこの源宗千さんは自分の身の不遇を嘆いた。という文書が目立ちます。でも角度を変えてみれば、彼の地位は朝臣で正四位下。生まれおちた場所が天皇のお孫さんだから下に落ちてそのまま官位が上がらないのを嘆いているけど、正四位下という地位は、歴史に名を残している殆どの方々の記述には、正四位に昇ったという書き方をされている高い地位です。地方権守を歴任したという事も現在の県知事と同じほどの地位。まあ自分が天皇の孫だったら最下位にいると言う事なのかもしれません。私には、彼の出世がままならない事よりも彼のお父様、光孝天皇の第一皇子でありながら、同じ母から生まれた弟の第七皇子が宇多天皇になってしまった是忠親王の方が興味を覚えてしまいます。政治的に出来の良い、悪いと言うのがあるとしたら彼の父親の是忠親王がまったく天皇になれるようなタイプの人ではなかった。と言う事なのでしょう。第一皇子に生まれながら天皇になれなかった是忠親王の事を調べてみたのですが、あまり出てきません。タブーなのかしら? 謎です。

私は40代の頃から生まれ変わり説の転生輪廻を自分の人生観の中に取り入れたお陰で、自分はお姫様から、乞食まで、過去の人生でありとあらゆる立場の人生を生きて来て今の人生がある。と思っているので、現在の境遇で足らない所を嘆く事はとうの昔にやめてしまいましたが、この転生輪廻説。一時とても流行っていた頃によく出会うのが、自分は前世では誰それでした。と有名な方の名前を挙げるケース。奥ゆかしさ の文化が残っている日本では有名な方の名前を挙げる人はさほどいませんでしたが、外国人の場合自分をアッピールする事を良しとする方が多くて、よく出会いました。女性の場合はクレオパトラ、マリーアントワネット、マリアテレジア、楊貴妃等が人気で、いったい何人の女性の口からその名前を聞いた事やら。男性の場合はアレキサンダー大王、ナポレオン、ジュリアスシーザー等。つい上げ足を取りたくなって乞食人生はなかったんですか? とか春をひさぐお仕事の人生は無かったんですか? などと突っ込みを入れたくなる私でした。話がそれました。ごめんなさい。源宗千さん、官位は上がりませんでしたが、歌人としては素晴らしく、36歌仙の一人です。私の昨年のアルバム「高台寺 36歌仙」でも「春の祝い」と言うタイトルの中の一首として歌っていますが、大好きです。言葉を紡ぐ才能と立身出世って、合い入れない物なのかもしれません。そのへんの彼の境遇がとても普通っぽくて共感を覚えます。この和歌、未だ曲が付いておりませんが、良いメロディが付きそうです。

(早苗ネネ♪)

 

三十六歌仙CDアルバムによせて

 

10代の頃、じゅん&ネネのネネとして歌っていた時、多くの方から「北の政所のねね様と同じ名前ですね」と言われ、歴史上に残る方と同じ名前を頂いた事で直ぐに覚えて頂き、良い事が沢山ありました。時が経ち、50歳を過ぎた頃にやっと自分のライフワークを見つけ、「和歌うた」を歌い続けて13年程に成りますが2014年の京都高台寺音楽祭に出演させて頂いた折に、三十六歌仙が高台寺様に遺されているのを知りました。その時にぜひ三十六歌仙にメロディーを付けて同じ名前のねね様に奉納したいとの思いを抱き、2015年9月6日、ねね様のご命日に発表させて頂く事に成りました。

和歌のアルバムとしては10年ぶりでやっと二枚目アルバムです。一枚目のアルバム「花のいろは」は蟠龍寺スタジオの仲間に助けられて生まれました。そして今回のアルバムも製作費は今まで私の和歌うたを聞いて応援して下さった方々のご支援で賄われています。暗中模索と無我夢中で今までよろよろと歩いてきましたが、そんな私を支えてくれる大きな愛情に気が付いて、なんて幸せ者なのかしらと思います。有難うございます。これからも自分の道を信じて歩いてゆきます。

早苗ネネ/京都・高台寺 北の政所・ねねさまに捧げる三十六歌仙 『和歌うた』CDアルバムは、 ヨコハマNOWオンラインショップ で販売しております。

 

早苗ネネさん プロフィール

木々や鳥や魚や精霊…人間以外の存在達との交流が当り前に語れるくらい、いのちのひろがりに気づくと、共に生きている喜びや、苦しみや悲しみにもナイーブになる。

心と野生がひとつながりになると……こんな風に人は年を重ねられる。ひとりひとり、ユニークにもっと自分になれる。

早苗 Nene さんは、そういう人生の先駆者です。 感性を解放しながら、40代で高校生に仲間入り卒業後、マウイのカレッジに留学中、突然半生記が受賞しました。

そんな新たなシーズンを迎えて、今エッセンスを分かち合いたい。

<天性の歌い手>というだけでなく、その存在感、溢れる活性のバイブレーションは、光のシャワーのよう。彼女と語り歌い、魂の成長を旅している現在の、自分の位置を確かめてみませんか?

早苗ネネさんHP

 

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