ゆるマナー講座(第6回) 外国からのお客様へのおもてなし(2)
マナーアドバイザー/フレアLLP 柳田 圭恵子
前回は、海外からのお客様に自然体で接するのもおもてなしだとお伝えしました。ありのままの、普段着の日本人やその暮らしぶりは、実際に日本を訪れてみてこそわかるものです。インターネットでは伝わらない肌で感じた経験は、日本を離れても心に残るものですね。
今回は、海外からのお客様に対するおもてなしと異文化の尊重についてお話ししたいと思います。
安心して日本を楽しんでいただけるように
おもてなしには、まずは異文化を知ることが重要です。
例えば、イスラム教徒のお客様の文化を考えてみましょう。インドネシアやマレーシア、シンガポールからの旅行客には、イスラム教徒の方が多くいらっしゃいます。
ハラールもよく知られることとなりましたが、豚肉や豚肉由来のもの、アルコールは禁忌なので、どんな材料が使われているのかを明示する配慮をしているレストランもあります。提供する側の原材料に対する知識が確実でないと相手に安心していただけませんね。
礼拝をされるお客様のために礼拝のできる場所やモスクを伝えられる準備も必要です。
また、女性は頭や体をヒジャブと呼ばれる布で隠し、身内以外の男性に体に触れられるのを嫌うので、男性から握手を求めるのは避けるのがマナーです。
相手の国の慣習や宗教などによるタブーを知り、少しでも誤解を防ぎ、安心して日本を楽しんでいただけるといいですね。
過剰にならず必要なときに手を差し伸べて
日本の良いところを自信を持って伝えられるようにしておくことも、必要なおもてなしの心得です。そして、相手のことを知った上でどのように伝え、手を差し伸べるのがよいのでしょうか。
私たちは、ついつい先回りして親切な応対をしてあげたくなるものです。例えば、食事が食べやすいようにと、お箸の代わりにナイフ・フォークをお出しするのが良いおもてなしだと思ってしまいがちです。でも、実はお客様はお箸にチャレンジして日本らしさを体験したいのかもしれませんね。
日本にいらしたお客様は、日本の文化や習慣を理解している方も多いので、過剰な応対ではなく、相手が困っていると感じた時や必要な時に、手を差し伸べることが喜ばれるおもてなしになります。
異文化尊重から始まるおもてなし
現在、196の国があり、そこには文化や慣習、歴史、宗教などがそれぞれに異なる人々がいます。テレビのクイズ番組などでも、外国人と日本人との違いを話題にしていることがよくあります。日本の常識は、世界の非常識…そうなんだ~と、知らないことは多いですね。まずは相手の国のことを知ることから始めましょう。
人と人とのお付き合いは、お互いの違いに気づき、認め合い、尊重し合うことで徐々に信頼関係を築いていくことができます。それは、異なる文化的背景を持つ国の人々であっても同様です。言葉の問題以前に相手を尊重する心が重要なのです。はじめは多少の誤解やトラブルが生じたとしても、やがて関係は洗練されていくものだと思います。
“異文化尊重”は、「郷に入っては、郷に従え」の精神として、プロトコール(外交儀礼)上も重要なルールです。自国の文化などを理解していることが前提であり、自国のものを相手に押し付けない配慮も大切なのです。様々な国のお客様が安心して日本を楽しみ堪能していただけるように、異文化を尊重したおもてなしが必要ですね。
参考:『改訂版「さすが!」といわせる大人のマナー講座』 NPO法人マナー・プロトコール協会著
筆者プロフィール
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柳田 圭恵子(やなぎだ けえこ) |
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岡田 承子(おかだ しょうこ) |
本の紹介です |
「ゆるマナー 始めましょ」 |
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