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高砂の 尾上のさくら 咲きにけり 外山の霞 立たずもあらなむ

by staff on 2016/4/10, 日曜日

♪ 高砂の 尾上のさくら 咲きにけり 外山の霞 立たずもあらなむ ♪


絵・千絵崇石
 

読み人:前中納言匡房(さきのちゅうなごんまさふさ)

現代語訳・・・はるか高い山の峰にある桜が やっと咲き始めた、どうか麓の山々の春霞よ、今は立たないでおくれ。

高い山の桜はきっと山桜だったのでしょう。八丈島に住んでいた頃、北の果ての我が家は、家のすぐ後ろが八丈富士につづく山で、春に海岸から山を見ると、高い所にある山桜はピンクと言うよりも白く見えて霞が立つと本当に見わけがつかなくなってしまいます。まさにこの歌の意味がよくわかる光景でした。

作者の前中納言匡房とは大江匡房の事。平安後期の歌人、と言うよりも学者の家柄から出た大秀才として非常に有名でした。11歳の時にはすでに神童と呼ばれていたそうです。

私の尊敬する作家 田辺聖子さんの「小倉百人一首」の中でも田辺さんが子供の頃「大江匡房」の名前は 日本の大学者の代名詞のような存在だったと書き記されています。
凡人として生きている私は、学者さんというと全く人種が違う様な気がして、自分の想像の範疇を超える人々。という感覚を持っています。でも傑出した人々を送りだす家系って在るものなんですね。一般の人間には計り知れないサラブレッドという言葉に畏怖の念さえ感じます。彼は学問を教える学者先生として、5人の天皇に仕えました。
後冷泉天皇―後三条天皇―白河天皇―堀川天皇―鳥羽天皇。 相当に偉い先生だったのでしょう。71歳で亡くなっていますが、イメージとしては矍鑠(かくしゃく)とした紳士を連想します。彼の若い時のエピソードで、私が大好きなストーリーを紹介します。

彼がまだ20代の頃、宮中の女房たちが大学者として出世コースに乗っている彼を、まじめな学者だからきっと風流な事には疎いでしょうと、からかい半分に「あずま琴」を見せて、弾いてみて下さいと頼みました。女房達からからかわれるなんて・・きっと彼はハンサムだったのでしょうね。でなければ鼻持ちならないくらいに気取り屋か・・・その両方か。
「せんせ~!このお琴どうやって弾くのか教えてくださいな~」みたいな感じでしょうか。
彼は即、歌で答えました。

♪ 逢坂の 関のこなたも 未だ見ねば あずまのことも 知られざりけり ♪
現代語訳・・・男女が逢って別れる逢坂の関でさえ越えた事がないのに 東方(あずま)のこと(琴)等 僕が知るわけがないでしょ!

男性の歌人の中で私が一番好きな男性は・・・柿本人麻呂さんです。が、
では 百人一首の中で一番好きな男性歌人は?と言うと 甲乙つけがたくて迷います。
その都度共感する事柄がちがって、心変わりが激しく一番を上げられません。
でもこのエピソードを知ってからは、大江匡房さんはだいぶ点数が上がりました。
彼のひいお祖母さんが 百人一首59番の赤染衛門。 彼女は私にとって 是非ともお友達になりたいと思う女性の筆頭です。男性歌人の場合は色々と甲乙つけがたいのですが、女性歌人の場合は同性だけあって迷いはありません。彼女には母性的な懐の深さを感じます。きっと大江匡房さんも 父性的な懐が深そうな・・・・そんな男性で在ってほしいな。

(早苗ネネ♪)

 

三十六歌仙CDアルバムによせて

 

10代の頃、じゅん&ネネのネネとして歌っていた時、多くの方から「北の政所のねね様と同じ名前ですね」と言われ、歴史上に残る方と同じ名前を頂いた事で直ぐに覚えて頂き、良い事が沢山ありました。時が経ち、50歳を過ぎた頃にやっと自分のライフワークを見つけ、「和歌うた」を歌い続けて13年程に成りますが2014年の京都高台寺音楽祭に出演させて頂いた折に、三十六歌仙が高台寺様に遺されているのを知りました。その時にぜひ三十六歌仙にメロディーを付けて同じ名前のねね様に奉納したいとの思いを抱き、2015年9月6日、ねね様のご命日に発表させて頂く事に成りました。

和歌のアルバムとしては10年ぶりでやっと二枚目アルバムです。一枚目のアルバム「花のいろは」は蟠龍寺スタジオの仲間に助けられて生まれました。そして今回のアルバムも製作費は今まで私の和歌うたを聞いて応援して下さった方々のご支援で賄われています。暗中模索と無我夢中で今までよろよろと歩いてきましたが、そんな私を支えてくれる大きな愛情に気が付いて、なんて幸せ者なのかしらと思います。有難うございます。これからも自分の道を信じて歩いてゆきます。

早苗ネネ/京都・高台寺 北の政所・ねねさまに捧げる三十六歌仙 『和歌うた』CDアルバムは、 ヨコハマNOWオンラインショップ で販売しております。

 

早苗ネネさん 和歌うたLIVE

 

早苗ネネさん プロフィール

木々や鳥や魚や精霊…人間以外の存在達との交流が当り前に語れるくらい、いのちのひろがりに気づくと、共に生きている喜びや、苦しみや悲しみにもナイーブになる。

心と野生がひとつながりになると……こんな風に人は年を重ねられる。ひとりひとり、ユニークにもっと自分になれる。

早苗 Nene さんは、そういう人生の先駆者です。 感性を解放しながら、40代で高校生に仲間入り卒業後、マウイのカレッジに留学中、突然半生記が受賞しました。

そんな新たなシーズンを迎えて、今エッセンスを分かち合いたい。

<天性の歌い手>というだけでなく、その存在感、溢れる活性のバイブレーションは、光のシャワーのよう。彼女と語り歌い、魂の成長を旅している現在の、自分の位置を確かめてみませんか?

早苗ネネさんHP

 

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新横浜公園ランニングパークの紹介動画

 

ランニングが大好きで、月に150kmほど走っているというヨコハマNOW編集長の辰巳隆昭が、お気に入りの新横浜公園のランニングコースを紹介します。
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横浜中華街 市場通りの夕景

 

横浜中華街は碁盤の目のように大小の路地がある。その中でも代表的な市場通りをビデオスナップ。中華街の雰囲気を味わって下さい。
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