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2016年7月 三ツ池だより 「龍と玉」

by staff on 2016/7/10, 日曜日
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七夕ようの竹が近所に見当たらなくなったのはいつの頃からだろう。そんなことを話しながら竹取物語の映画をテレビで見た。かぐや姫は結婚を申し込む3人の一人に、龍の首の珠を持って来て下さいと伝える。龍の首の珠とは、龍が首のところに隠し持っている神秘の宝玉のことで、龍の宝珠と呼ばれる。水晶の真球の中心に真紅の珊瑚珠不可思議な力を持つ至極の宝玉です。この龍の宝珠を持つと、ほしい物を願うと、その願いが叶って手にすることができる等など魔法のような宝物です。

龍は中国の書籍では九つの動物と似た部分を持つとされる。

十二支の中で唯一の架空の生き物である龍は、中国皇帝の象徴であったように、権力の強大さや地位の高さを表しています。そしてその龍の大好物が玉なのです。玉自体もあらゆる幸運や運気を引き寄せるものとして古来より信じられてきました。つまり龍と玉は、世の中の全てのものを手に入れるという人間の究極の欲望を表現したといわれます。

竹取物語のあらすじはつぎのようです。

八世紀の末。都に近い美しい山里。・(中略)・・竹取の造は竹林へ行き、加耶の墓のそばで金属物体を見つけた。墓に向かって光線が走り、物体の中にいた赤ん坊が見るまに加耶そっくりの少女に変身する。だが、その瞳は青かった。小さな水晶球を握って離さない少女を、田吉女は天からの授かりものとして育てようと言い出す。・(中略)・・加耶が一日で、十七、八の娘になり、竹取の造は山里を離れた場所に豪荘な邸をたてて移り住む。加耶の美しさが近隣の評判になり、かぐや姫と呼ばれるようになった。

竹取物語(1987)
http://movie.walkerplus.com/mv17688/

竜の首の玉を持って来た人に嫁ぐという条件も出された。大伴の大納言は竜に襲われてしまう。水晶球から通信が入り、次の満月に月から迎えにくるという。
龍の玉が気になった。そういえば「龍の子太郎」にも龍の玉が出てくるのです。

龍の子太郎は山の中の小さな村でおばあさんと二人で暮らしていた。・(中略)・・ある日、おばあさんは太郎にお母さんのことを話した。太郎の母は太郎がお腹の中にいるとき、空腹でたまらず、村のおきてを破ってイワナを食べてしまったばかりに龍になってしまった。やがて生まれた太郎に龍はお乳代わりに美しい玉を残し、遠くへ行ってしまったのだ。太郎は母をさがしに村を出る決意をするが、その頃、仲良しのあやが黒鬼にさらわれてしまう。黒鬼をやっつけ、あやを助けだした太郎は、それまで鬼に苦しめられていた村人におむすびをごちそうになった。米を食べたことのない太郎はたくさん食べたが、貧しい自分の村の人に食べさせられたらと思うと涙が出て来る。村の人に貰った美しい鏡と一日百里を走る小馬をあやに渡し、太郎は旅を続ける。・(中略)・・太郎は“おかあさん!”と声を限りに叫び、あやは得意の笛を吹いた。静かだった水面がザワザワすると、水面が二つにわれ、目のつぶれた龍が姿をあらわした。太郎が子供の頃乳代りにしゃぶっていた玉は実は龍の目だったのだ。太郎は泣きながら龍の首にすがりつく。母がこんな姿になったのも、村が貧しいためだと悟った太郎は、湖の水を海に流し、お米の作れる新しい土地を作ろうと思いついた。龍は太郎を背に乗せ、血を流しながらも岩山に何度も何度もぶつかった。やがて激しい音とともに山はくだけ、水は洪水のように流れ出し、海に注いでいった。龍は太郎の思いやりの涙でやさしいもとの母の姿に戻った。こうして出来た広々とした豊かな土地で太郎とあや、山の人々はみんなしあわせに暮らし始めるのだった。

日本昔ばなしの龍の上の子はだれ?
http://matome.naver.jp/odai/2133744206209413201

龍という実在しないものを物語の中に入れる、人間の智慧は素晴らしい。現実は不可能に思えても、理想や思いを求めていくことが生きるということ。生と死がどこで区切られるかというのではなく、生の中に死があり、死の中に生があるという考え方がある。命を伝承していくこと、繋いでいくことが希望につながっていく。かぐや姫はいつも心の中にいる。太郎の母は自分を犠牲にしても、太郎の思いを実現させていく。大事な事は母の思いを受け止められる太郎がいるということだ。いるかいないかを決めることではなく、いると信じている自分がいることだ。どんなことがあっても去っていかなければいけないかぐや姫がいた。どんなことも、そのままいつまでもあるのではない。受けた恩をすこしでもまわりに分けていくことだ。

私たちは今、次の世代に何を残そうとしているのだろうか。この文が出るときには参議院選挙の結果が出ているだろう。大伴の大納言のような、龍の子太郎のような子を育てたいと思っている。自分の心を磨き続けられる社会が続いてほしいと思っている。指導者は、「日本は思いやりの国だよ」と言い続けられるようであってほしいとおもっている。地球がいつかは滅ぶと思っている人が何人いるんだろう。そう思えば必ず滅んでいく。地球は守られていくと思う人はどれほどいるだろう。守られると思う人がいる限り守られていく。人間には水と酸素が必要だ。自然を大切にしていかなければいけない。それは大変なことだが、やり遂げていかなくてはいけない。

今どこでも移民が問題になっている。その国の中で自然を守る仕組みづくりに力を貸さなければいけない。自然をまもりきることがどんなに人の力を必要としているかを知ろう。EU離脱について、英国は国民投票した。離脱派が勝利するとは思わなかった多数の人がいる。現状に批判的な人がいることは当然である。その声をどのように吸い上げていくかが政治である。今走っている電車を反対方向に向きを変えるなんてことはできない。なぜ方向転換するかの説明と準備が莫大に求められる。離脱派の意見をどのように反映していくのかが政治だ。結果をそのまま実行するのでなく、検討の俎上にあげていくことだ。民主主義の一つの在り方が問われている。

どんな闇でも生きてるかぎりが夢である。夢があるのだ。
どんな思いも実現すると思わなければかなうことはない。
英国に限らず、それぞれの国がどんな夢をもっているかが問われる。
それに向かっての本当に地味な努力こそを注目していきたい。

 

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(文・写真:横須賀 健治)

 

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