横浜スケッチ(第17回) イギリス館
ペンネーム 成見 淳
現在、ウィキペディアには「イギリス館」という項はない。
「港の見える丘公園」の一施設として大佛次郎記念館、山手111番館、フランス山、アメリカ山などと共に載っているが、そもそも『自分が子供の頃にはそんな公園なかったなあ?』と思ったら1962年の開園だった。
イギリス館そのものは1937年から現在の地に英国総領事公邸として建っていたが、その公開は1969年に横浜市が買い取って以降となり、公園の公開よりも遅かった。そんなことから私には『庭の奥に何か建物があったような気がする。』程度の記憶しかなく、むしろ沢山の薔薇が咲き誇っていたローズガーデンの記憶の方が鮮明であった。
「イギリス館」として認識したのはスケッチを始めた頃で、私のスケッチブックの中で一番小さい、一番古いスケッチブックの一枚目にあるのがこの絵。今日の原点。
これを元に油絵にもしたはずだが見当たらなかった。
多分古キャンバスとして上塗りされたのだろう。
「イギリス館」
1991年 固形水彩 220×155mm
バス停に座っているのは息子(当時4歳)
たとえ短時間のスケッチでも当時の記憶は残っているもので、技量には全く関係なく時がたつほど懐かしい。
だから「イギリス館」と言うとこの光景、桜が満開で、神奈川近代文学館の四角い看板があって、前にバス停があって、当時よく息子を連れまわしていた事などを思い出す。
今年の5月、25年ぶりにイギリス館を描きに行った。自分では建物はさほど難しいとは思わなかったが、咲き乱れるたくさんの花をどうやって描くか、これには参った。長い間足が遠のいていたのもこれが原因だったのかもしれない。
ただ、昔は薔薇がほとんどだったのにいつからかすっかり変わって、色々な種類の花が植わっている。ローズガーデンからイギリス庭園にと姿を変えた。
スケッチしていると「あれ、バラがすっかり少なくなってしまって・・・。」と戸惑ったり、残念がったり、中には文句を言ったり、そして「でも、これも良いわね。」と自ら言い聞かせながら大勢の人が通り過ぎて行った。
これまた時の流れの変わり目なのだろう。
7月。イギリス園の植物が上手く描けなかったので2回ほど挑戦した。
相変わらず難しい。
「イギリス館2」
2016年7月水彩 F4
「イギリス庭園」
2016年 水彩 F4
イギリス館に向かう途中、元町中華街駅のエレベータに乗らずに、ふと目に止まった坂を上ることにした。
外人墓地とアメリカ山の間にある人通りがほとんどない、時の流れから忘れ去られたような「見尻坂」。
うっそうと茂った木々の葉の間から光が差して、その明暗に魅かれて描いた。
「見尻坂」
2016年 水彩 220×275mm
さて、イギリス繋がりという訳ではありませんが、この記事が発行される9月10日はゴルフの聖地として有名なスコットランドのセント・アンドリュースの友人宅に泊めてもらい、絵を描いていることと思います。
今回はゴルフも観光も無しのスケッチだけが目的の気ままな一人旅。
オランダの運河、スコットランドの首都エディンバラ市街やセント・アンドリュース、イギリスの田舎地帯コッツウオルズ、チューリッヒ市街や山岳などの風景を。何枚描けるか、どんな絵が描けるか。
現役時代からの永年の夢でした。
「St. Andrews Old Course No.18」
水彩F4 2016年1月
18番グリーンに上がって行くと、大勢の観光客や地元の方が拍手で声援を送ってくれます。
<参考資料>
- ウィキペディア:「港の見える丘公園」 https://ja.wikipedia.org/wiki/港の見える丘公園
筆者紹介
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新横浜公園ランニングパークの紹介動画 | ||
ランニングが大好きで、月に150kmほど走っているというヨコハマNOW編集長の辰巳隆昭が、お気に入りの新横浜公園のランニングコースを紹介します。 |
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横浜中華街は碁盤の目のように大小の路地がある。その中でも代表的な市場通りをビデオスナップ。中華街の雰囲気を味わって下さい。 |
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