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楽しい文字の世界(第1回) 筆順を楽しむ

by staff on 2016/9/10, 土曜日

第1回 筆順を楽しむ

決まり事を意味も分からず丸暗記することは、面白みがありませんが、何故そうなのかという疑問を持ち、その謎が解けた時に、胸にストンと落ちた喜びを感じたことは、誰しも一度や二度ではないはずです。これから、みなさまに漢字を含め、文字を体系的にお話しし、そういった楽しさを知る糸口をお伝えできればと思います。

今回は筆順についてお話をしてみましょう。
「左右」の文字を例にとってみます。「右」は左払いを書いてから横画。ところが「左」は横画を書いてから左払い。横画と左払いの長さも異なります。

それをただ丸暗記だと、書き順の決まりは面倒、どちらでも大差ない、挙句の果てにはそういうことをいうから漢字嫌いの原因になるのだという声も聞きます。しかしそこに疑問を持ち合点がいった場合、楽しさを覚え、それでは他の漢字はどうなのだろうという興味まで沸いてくるはずです。

「右」も「左」も、指を表す部分を先に書いて、腕にあたるところを後に書きます。

上のイラストの赤が指、黒が腕です。だから先に赤を短く書き、後に黒を長く書くのです。筆順がわからなくなったら、このことを思い出せばよいのです。これは数学の公式に通じるものがあります。ただ公式にあてはめるのではなく意味を理解していれば、例え忘れても大丈夫です。
また、筆順に従って書くと、バランスよく正確な字形で書けます。「必」を例に挙げてみましょう。

筆順が違うと自ずと字形も変わってしまいます。

筆順の原則はいくつかありますが、全般的に言える大原則は2点。
① 上から下へ
② 左から右へ
これが筆順の基本となりますので、押さえておかれるとよいでしょう。

ただし、筆順については、ある一定のルールを設けた方がよいということで、漢字が成り立ってからのちに決めたものであり、絶対的ではありません。
面白いことに同じ文字でも、中国と日本の規範的筆順が異なる場合があります。ちょうど冒頭にたとえで出した「左右」。中国では、「右」「左」の「ナ」の部分は「一 → ノ」という順序で統一しています。ところが日本では記載のように「右」と「左」が違ってきます。中国では「機能性」に、日本では「字源の意味」に重視したということです。他にどのような文字があるか調べてみるのも面白いでしょう。

また行書(簡単な続け書き)になると、楷書に比べ、かなり自由で流れのある筆使いになります。早く書くための文字なので、筆順が変わることもあります。「絵」を例にとってみましょう。

糸編の下部ですが、真ん中から左、右と書くより、左から右に書いた方が時間的に早く書けるので、行書としての役割をより果たしているでしょう。

さて話は「左右」に戻りますが、「右」の「口」と「左」の「エ」は何を表しているのかと疑問を持たれたら素晴らしいですね。
「口」」は神様への祝詞を入れる器(その解明は文字博士白川静さんの最大の偉業と言われています。)、「エ」は神様に呪いをかける道具を表しています。ここから先はまた別の機会にお話ししたいと思います。

筆者紹介

 
書家名 粟津 紅花 KOUKA AWAZU
本 名 粟津 絵里 ERI AWAZU
略 歴 愛知県生まれ。 横浜市在住。
3歳から筆を持ち、書を学ぶ。
銀行勤務を経て紅花書道塾を主宰して23年。
現在8か所の教室で門下生を指導。
また古典書道の作品制作に加え、店舗ロゴ、商品ロゴ、ポスター等のデザイン書道を手掛ける。
書道パフォーマンス、障害をお持ちの方への書のボランティア指導、セミナー講師などにも力を入れるなど、国内外で幅広く活動中。
読売書法会会員。
謙慎書道会会員。
横浜書人会審査員。
日本デザイン書道作家協会正会員。
カルチャーセンター講師。
著 作 法華経書写書き込み練習帳―釈尊の究極の教え
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