都田舎の津久井便り 13日目 エスプレッソコーヒーの思い出
エスプレッソコーヒーの思い出
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ローマから12時発のミラノ行の特急列車に乗り込んだ。 時間がなく駅弁も(サンドイッチですがあるんですよ。ワインの小瓶が付いてます!)ドリンクも買えずに飛び乗った。 イタリア(一般的にヨーロッパでは出発の合図がまったくない!)は出発のベルもなく、ましてや各駅専用のベル曲なんて考えられない! 時間になると静かに列車が出て行ってしまう。
ちょうど昼なので食事の時間! 僕の前には農家の老夫婦。
出発して一段落したころ、おばあさんが使い込んだバックから新聞紙にくるんだ物を取り出した。そしておじいさんに渡し、自分の分も取り出し新聞紙を開きだした。中から硬いそうな丸パンが出てきた。 大きさはマックよりやや大きめだったか。 そして食べ始める。 さらにバックから小さな魔法瓶が出てきて、カップに注ぐとコンパートメントの中に、コーヒーの良い香りが充満した。
こちとらは、ミラノまでの6時間は何もなし! 車内販売が来れば良いのだが!
すると僕が物欲しげだったのだろう、おばあさんが自分の分を半分に割り僕に差し出してくれた! ええええ! 甘えちゃって良いのかな?
図々しさは日本一の僕だから、思わず手が出ていた! グラチェと言いながら、もうかぶりつく! 恥ずかし!!!
うんんん? 何がサンドされてるんだろう? ちょっと酸味の利いた野菜のサンドイッチ! 良く見ると「酢漬けのアーティーチョーク」だ! 勿論、自家製だ!
実に素朴だけど、固いパンに沁み込んだ酢がパンを適度な軟らかさにし、アーティーチョークが小麦の味を引き出している。
こんなに美味しいサンドイッチは初めてだった! そしてエスプレッソも飲ませてくれる。 イタリア人が大好きなアニスリキュールの香りがする! これも美味しい!
こんな旅なら何度でもしたい。 いつもは仕事で時間に追われ車内でもゆっくりとした心持になれなかったが、この旅は別格だった。 こんなにも幸せな出会いを神様は組み込んでくださったのか! ドゥオーモで感謝しなければ!
食べ終わり、パンを包んでいた新聞紙の皺を伸ばし、適当な正方形に切る。 そして紙を折り始めた。コンパートメントの乗客の視線を集めて少し恥ずかしいが鶴を折りあげた。 羽の動くタイプでおばあさんにプレゼント。 いつも何かのお礼用に穴の開いたコインは珍しがられるので新品の五円玉を持っているのだが、それと使っていた扇子も合せて差し上げた。 とても喜んでくださった。
そのコンパートメントには小学校低学年の男の子もいたので、急遽折り紙教室の開催です。新聞紙を6人分カットして皆に配る。 まず半分に折ってっと日本語で授業! 口八丁手八丁で説明をする。 確かに手先は不器用だ。
時間はたっぷりあるから、和気あいあいとセミナーは進む。
まさに民間外交! こういうのが愉しいんだよね! 言葉を全く解さなくても十分に、お互いの気持ちの交換は出来ますよ! 銃はいらないよね!
コンパートメントは乗客6人が座るので一人旅だと何かと気後れするのだが、このように自分から積極的にきっかけを作ると愉しくなると知った一コマだった!
以来、五円玉、折り紙は僕の旅の必須アイテムとなってます。
(文:髭親爺)
筆者紹介
梅澤 勉 |
相模湖・津久井の本格薪窯ピッツェリア | ピザレストラン「童人夢農場 | ドリームファーム」オーナーオーナーシェフ 梅澤勉さんのインタビュー動画。
緑あふれる津久井の魅力、童人夢農場(ドリームファーム)のこだわり、デザートピザへの想い
についてオーナーシェフの梅澤勉さんが語ります。ご覧ください。
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