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ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第45回)

by staff on 2016/12/10, 土曜日

大浦総合研究所 代表/大浦勇三

ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第45回)

遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん
遊ぶ子供の声きけば、我が身さえこそ動がるれ

- 梁塵秘抄 -

 踊りの極意は “形から入るのではなく気持ちから入る” ものだとか。AI(人工知能)が “人生という踊り” の形の一つと考えれば、最後は人間の気持ちが第一ということかもしれません。AIについての話題が沸騰中ですが、一方でエモーショナルインテリジェンス(EI:情動知能)の重要性も指摘されています。自分や他者の情動・感情を理解し、そこからの情報を自分の思考や行動に活用していく能力。優秀なビジネスパーソンは、知能指数だけでなくEIが高いことも指摘されています。ゴールマン博士の研究では、EIは対人的なものやソフトスキルだったりするので、訓練によって伸ばすことができるとのこと。ハーバード・ビジネス・レビューの “何がリーダーをつくるか?” の論文では、リーダーにおける感情の持ち方の大切さがとりあげられています。 “自分の感情を管理する・物事を楽観的に考える・相手の感情を理解する” 。具体的には “周囲への影響力をもとに明確な目標を提示できる” “コミュニケーションを通じて周囲を育てることができる” “新しい方向へ導きつつ課題を解決できる” 。梁塵秘抄では “御前に参りては 色も変らで帰れとや 峯に起き臥す鹿だにも 夏毛冬毛は変わるなり” とあります。神仏の御前までお参りに来ているのに遊びの一つもできないのでは、人生の脱皮もできないかも。 “人間の免疫だけではなく文明の免疫” と免疫学者・多田富雄。

“遊びをせんとや生れけん” 「遊」

効率化 コスト削減だけでなく安定した品質確保にも不可欠
高く明確な目標を持ち続ければ 最終的には成功が手に届く
エネルギーの放出をオブラートで包む サザエさんを二五年
スランプ峠・マンネリ坂・いきぎれ岬、と漫画家長谷川町子

 “紅楼夢” は18世紀に書かれた中国長篇小説。 “三国志演義” “水滸伝” “西遊記” と共に傑作古典小説に数えられています。内容は、上流階級の生活・交情の細部を描いており、毛沢東も愛読したといいます。現在も非常に人気があり、映画・演劇・テレビ化は数知れず。その中で、私には香港で制作された映画が忘れられません。三国志演義の “武” 、水滸伝の “侠” に対して紅楼夢は “情” の世界。中国の大いなる多様性を感じさせます。一方、日本の江戸時代も多様性という点では負けません。江戸時代は300余りの藩に分かれ、藩がそれぞれ独特の文化・風土を生み出してきました。個々の言語・文化・価値観を有し、多様な考え方を持つ人材が交流し、ぶつかり合い、競争し、化学反応を起こすことで、明治維新が起こり近代化への成功の流れができたといいます。 “絶対100点満点はとれない。徹底して原則に忠実に。最後は人間性” と文楽・竹本住太夫。

“仕事をせんとや生れけん” 「献」

言論の自由はあるが どこまで幸福が実現できているか
改革者は悲惨 触り・視て・聴いて最後にまとめていく
グローバル経済は 資本をもつ人と能力の高い人に有利
武蔵の野辺に朽ちても留め置く大和魂、吉田松陰の覚悟

 菊田一夫は、家庭の事情から印刷工として働きながらサトウハチロー・林芙美子らと出会い、その後は劇団の座付き作家に。戦後は “鐘の鳴る丘” “君の名は” などで高い評価を得ました。舞台では “がしんたれ” “放浪記” が有名です。一からのたたき上げであったため、ソニー創業者の一人・盛田昭夫社長が書いた “学歴無用論” に強く反発。学歴に縁のなかった菊田一夫は、無学歴のため人生の辛酸をなめてきたことから、学歴のある人はそう言うが、学歴はあった方がいいに決まっていると大きな話題になりました。66歳の死に対して、好敵手の北条秀司は “菊田ほど仕事の好きな男を私は知らない。その仕事好きが彼を大成させ、そして彼を殺した” と語りました。流転の時代に逆転の発想で傑作を生みだした反発力。すべてに完成形はなく人間集団の最後はケンカ、自力で徹底的に考え抜いて思いを貫いた人生。 “加工情報に流されない” と写真家・蜷川実花。

“学びをせんとや生れけん” 「学」

サーカスの象 幼い時期から鎖、大きくなっても鎖は外せないと思い込む
情報にならないものを情報化 事実の選択を集大成して多面的なデザイン
簡単なことを一生懸命続けていくことは想像以上に大変だから価値がある
一丈の堀を越えんと思わん人は一丈五尺を超えんと励むべし、と法然上人

 福沢諭吉は中津藩の下級藩士の家に生まれました。諭吉の父は有為の人材でしたが、門閥制度に阻まれ活躍する機会に恵まれませんでした。が、研鑽は生涯続けたといいます。諭吉には机に向かう父の後姿が脳裏を離れなかったようです。傑作といわれる福翁自伝で “私のために門閥制度は親の敵(かたき)でござる” と言い放ちました。緒方洪庵の適塾での猛烈な勉学の原動力。その後、咸臨丸で渡米、更に欧州使節団に同行、植民地主義を目の当たりに。慶應義塾で教育活動に専念する一方、北里柴三郎の伝染病研究所の創設に尽力。北里はその恩に報いて、慶応に医学部ができた時は無報酬で医学部長を引き受けました。以前、サンフランシスコの “ベルリッツ” で研修の折、その場所が諭吉と米国娘の2ショットを撮った写真館跡だと知り驚愕。21世紀も “変化や波は天から見る。精神革命が肝要” を示唆。 “時務ヲ識ルハ俊傑ナリ” と政治家・宇都宮徳馬。

「遊びは仕事、仕事は遊び」
「仕事は学び、学びは仕事」
「学びは遊び、遊びは学び」

 今回とりあげた「遊・献・学」それぞれの4行文は、拙書「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)及び「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(三)」(全10巻)から抽出したものです。次回以降も「遊・献・学」から各々4行文を一つずつ抽出してご紹介していきたいと思います。

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(第45回了)

 

大浦勇三(おおうら ゆうぞう) プロフィール

大浦勇三(おおうら ゆうぞう)  

大浦総合研究所 代表 (http://www.mmjp.or.jp/ooura/

石川県七尾市出身。
早稲田大学卒業、筑波大学大学院修了。
米国経営コンサルティング会社 アーサー・D・リトル 主席コンサルタントを経て現職。
主担当領域は、経営改革/企業再生、経営戦略/情報通信技術戦略策定、業務改革/組織改革、研究開発/商品開発マネジメント、マーケティングマネジメント、ナレッジマネジメント、イノベーションマネジメント、サプライチェーンマネジメント、人材マネジメント、コーチング/メンタリング、プロジェクト/プログラムマネジメント、ベンチャービジネス支援等のコンサルティング。

筑波大学大学院講師、城西国際大学客員教授、名城大学講師、産業能率大学講師、中小企業大学校講師などを歴任。

主な著作物:

  • 「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(三)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「イノベーション・ノート」(PHP研究所)
  • 「ITプロジェクトマネジャーのためのコーチング入門」(ソフトリサーチセンター)
  • 「図解 日本版LLP/LLCまるわかり」(PHP研究所)
  • 「IT技術者キャリアアップのためのメンタリング技法」(ソフトリサーチセンター)
  • 「よいコンサルタントの見分け方、かかり方」(清話会)
  • 「日本のモノづくり - 52の論点」<共著>(日本メンテナンス協会)
  • 「現場主導型の組織運営とスピード戦略」(日本監督士協会)
  • 「eコミュニティがビジネスを変える」<訳>(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメントが見る見るわかる」(サンマーク出版)
  • 「図解 ナレッジ・カンパニー」(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメント革命」(東洋経済新報社 )
  • 「図解 グローバル・スタンダード革命」(東洋経済新報社)
  • 「業務改革成功への情報技術活用」(東洋経済新報社)
  • 「情報化戦略と投資評価・システム運用管理の実際」<編著>(企業研究会)
  • 「会社改革実務辞典」<共著>(産業調査会)
  • 「プロジェクトマネジャー(PM)の育成・スキルアップのためのメンタリングの進め方と実践法」 (ソフトリサーチセンター:CD-ROM版)   など

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