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ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第49回)

by staff on 2017/4/10, 月曜日

大浦総合研究所 代表/大浦勇三

ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第49回)

遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん
遊ぶ子供の声きけば、我が身さえこそ動がるれ

- 梁塵秘抄 -

先日、あるご縁から “遺伝子検査” を受診。検査の流れや内容の説明はロボット。手元に説明資料があることから違和感はなく気を使う必要もなし。昨今、AI(人工知能)やロボットによる脅威が語られますが、要は人間の対応力の問題であることを実感。1900年代初頭のモータリゼーション黎明期、自動車は馬の代用品という発想から抜け出せず、車のボンネットに馬の首を飾って走ったとか。第一次産業革命では “ラッダイト(機械破壊)運動” が起きました。人間の仕事が奪われることを恐れたもの。確かに不要になった仕事もありますが、新たに生まれた事業や仕事もあったはず。当時、一部を除いて多くの人は下着を身に着けていなかったのが、機械化による大量生産で大多数が下着を身に着けることができるようになったとか。第四次産業革命でも、多くの仕事が消滅するとの報告がありますが、新たに生まれる仕事についてはまだ不透明。今後の産業革命において、身体の下着に相当する “頭脳の下着” とは何なのか。この精神的・文化的デザインがこれからのブレイクスルー。梁塵秘抄では “鈴はさや振る 籐太巫女 目より上にぞ鈴は振る ゆらゆらと振り上げて 目より下にて鈴振れば 懈怠なりとて 忌々し 神腹立ち給う” とあります。鈴は目より上で振るものなのに下では神さまが腹を立てるだけ。 “一回の本番の舞台は数百回のレッスンに匹敵する” とソプラノ歌手・東敦子。

“遊びをせんとや生れけん” 「遊」

業務プロセスの現状を分析 問題点を抽出するとさまざまな内容があがる
個々の業務プロセスによって抽出される問題点 山ほどあがって千差万別
かなりは多くの業務プロセスに共通のもの 改善・改革効果は各々異なる
どうやら上手に失った過去とは上手に得る未来のことらしい、と小林秀雄

小林秀雄は、私の学生時代はまだ現役で “無常といふ事” “ゴッホの手紙” “考へるヒント” などで人気がありました。近代日本の文芸評論の確立者で、晩年は保守文化人の代表格。ランボー・ドストエフスキー・アランなどの哲学思想に大きな影響を受けたといいます。その個性的な文体と詩的な表現は分野を超えて大きな影響を与えました。そんな大御所も、若き日には熱いご飯に生卵をかけて食べることに無上の喜びを感じたこともあるとか。学生時代は講義をよくさぼり、ひたすら乱読に明け暮れ学校はほとんど欠席。それでも、ランボーの論文を読んだ指導教官が “これほど優秀なら” と卒業を認可したとか。いまや “乱読” という語は死語になりましたが、これぞAI時代の肝であるリベラルアーツの原点。上手に失った過去(乱読への沈潜)とは上手に得る未来(AIからの享受)のこと。 “要約するだけで満足してはいけない” と映画監督・大島渚。

“仕事をせんとや生れけん” 「献」

改善/改革実績から頻度の高い問題点を抽出 改善/改革の効果を一覧の形で整理
業務プロセスの現状分析や設計を効率よく行なうこと 低付加価値業務・重複業務
多ステップ拡散処理業務・多階層拡散処理業務・ボトルネック業務・やり直し業務
池に臨んで書を学ぶ 水が墨で真っ黒になるほど一生懸命書いた、と書聖・王羲之

王義之といえば書の芸術性を確立した書聖。後世に及ぼした影響は絶大で、日本においても奈良時代からお手本とされてきました。王羲之の書の筆勢は、威勢がよく龍が天門を跳ねるが如くと形容されています。古書を見つめ続け、寝食を忘れて精進し、楷書・行書・草書の各書体を体得。蘭亭序(らんていじょ)は、王羲之が書いた書道史上最も有名な書作品といわれます。4世紀、名士41人を別荘である蘭亭に招いて曲水の宴が開かれ、その時に作られた詩集の序文の草稿が蘭亭序。ただ、王羲之の真跡は現存せず、唐代の能筆が臨摸したと伝えられる墨跡や模刻のみが伝えられています。蘭亭序に関わる絵画は、中国や日本で数多く描かれており、私も何度か国立博物館で鑑賞する機会がありました。江戸時代の作品では池大雅や与謝蕪村の蘭亭曲水図屏風が有名。 “ねばならないに固執しなければ大切なものが見えてくる” とシンガーソングライター・矢野顕子。

“学びをせんとや生れけん” 「学」

二つのアプローチ 一つはコミュニケーションと組織論的アプローチ
二つめは組織がナレッジをどう蓄え活用するかの技術論的アプローチ
KM戦略とはネットワークの性質・ストレージの役割・データの把握
魂が懐妊する形で何かを産みだす 詩・美・技術・教育、とプラトン

プラトンは古代ギリシアの哲学者でソクラテスの弟子、そしてアリストテレスの師匠。プラトンの思想は西洋哲学の主源流。ソクラテスから “問答法(弁証法)” で深耕する姿勢を学び、感覚を超えた真実在としての “イデア” 概念を醸成しました。プラトンの考えるところは “時が流れることで意見の多くが逆になることもありうること” “良い判断は数値ではなく知識にもとづくこと” “人間の振る舞いは主に欲求・感情・知識からくること” 。ラファエロが描いた “アテナイの学堂” はルネサンス期の最も有名な絵画の一つで、古典的精神を具現化したもの。絵の主な登場人物はソクラテス・プラトン・アリストテレス。プラトンは指を天に向け、アリストテレスは手のひらで地を示しています。プラトンは観念論的なイデア論、アリストテレスは現実的な様を象徴しているものとか。 “お金がお金を生む仕組みを持つこと及び職業・仕事の道楽化” と造園家・本多静六。

「遊びは仕事、仕事は遊び」
「仕事は学び、学びは仕事」
「学びは遊び、遊びは学び」

今回とりあげた「遊・献・学」それぞれの4行文は、拙書「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)及び「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(四)」(全10巻)から抽出したものです。次回以降も「遊・献・学」から各々4行文を一つずつ抽出してご紹介していきたいと思います。

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(第49回了)

 

大浦勇三(おおうら ゆうぞう) プロフィール

大浦勇三(おおうら ゆうぞう)  

大浦総合研究所 代表 (http://www.mmjp.or.jp/ooura/

石川県七尾市出身。
早稲田大学卒業、筑波大学大学院修了。
米国経営コンサルティング会社 アーサー・D・リトル 主席コンサルタントを経て現職。
主担当領域は、経営改革/企業再生、経営戦略/情報通信技術戦略策定、業務改革/組織改革、研究開発/商品開発マネジメント、マーケティングマネジメント、ナレッジマネジメント、イノベーションマネジメント、サプライチェーンマネジメント、人材マネジメント、コーチング/メンタリング、プロジェクト/プログラムマネジメント、ベンチャービジネス支援等のコンサルティング。

筑波大学大学院講師、城西国際大学客員教授、名城大学講師、産業能率大学講師、中小企業大学校講師などを歴任。

主な著作物:

  • 「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(四)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「イノベーション・ノート」(PHP研究所)
  • 「ITプロジェクトマネジャーのためのコーチング入門」(ソフトリサーチセンター)
  • 「図解 日本版LLP/LLCまるわかり」(PHP研究所)
  • 「IT技術者キャリアアップのためのメンタリング技法」(ソフトリサーチセンター)
  • 「よいコンサルタントの見分け方、かかり方」(清話会)
  • 「日本のモノづくり - 52の論点」<共著>(日本メンテナンス協会)
  • 「現場主導型の組織運営とスピード戦略」(日本監督士協会)
  • 「eコミュニティがビジネスを変える」<訳>(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメントが見る見るわかる」(サンマーク出版)
  • 「図解 ナレッジ・カンパニー」(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメント革命」(東洋経済新報社 )
  • 「図解 グローバル・スタンダード革命」(東洋経済新報社)
  • 「業務改革成功への情報技術活用」(東洋経済新報社)
  • 「情報化戦略と投資評価・システム運用管理の実際」<編著>(企業研究会)
  • 「会社改革実務辞典」<共著>(産業調査会)
  • 「プロジェクトマネジャー(PM)の育成・スキルアップのためのメンタリングの進め方と実践法」 (ソフトリサーチセンター:CD-ROM版)   など

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