商店街の活性化(第3回) 歴史と伝統のある街に子育て交流サロン 相模原市 上溝商店街振興組合
商店街の中にある小さな百貨店の店主は画伯?
相模原市の上溝商店街に、看板に「清水屋百貨店」と書いてある店があります。「ん? これってデパート?」。いいえ、百貨店と言ってもデパートではありません。昔ながらの「よろず屋」なのです。フォーマルウエアから下着までの衣料品、笠に帽子、靴にサンダル、殺虫剤、線香、糸、玩具など、食料品以外は何でもあります。
清水屋百貨店の店頭
店主の清水ふささんは大正10年生まれなので、今年は96歳になります。昭和22年に嫁いで来てから70年間、ずっとこの店をやっています。戦後間もない時期は、まわりは桑の栽培などの農家ばかり。だから農家が使う蓑や笠などをはじめ、生活に必要なものがすべて、揃った「よろず屋」が必要だったのです。
店主の清水ふささん
店の壁には何枚もの油絵が掛かっています。これも売り物ですが、なんとこれを描いたのはふささん自身。70歳近くになって油絵を始めました。今でも定期的に先生から教えてもらっているそうですが、その筆遣いは若々しく、明るい色彩が印象的です。100歳になったら個展を開くと言って、今日も絵筆を握っています。
店の壁には何枚もの油絵が掛かっています
かつてはここが相模原の中心地!
清水屋百貨店がある上溝商店街、1時間に3~4本しか電車が通らないJR相模線の上溝駅に連なる商店街で、かつてはここが相模原の中心であり、市役所もありました。競馬場もあったという話も聞きました。かつての賑わいを感じさせるのが江戸末期から行われている上溝夏祭り、20基の御輿と8台の山車が各町内から繰り出され、数十万人もの人で賑わいます。
しかし、普段の商店街は人通りが少なく賑わっているとは言えない状況です。店が少なくなり学習塾が多くなってきています。店がなくなりそこが更地になっている所も目に付きます。商店街の会員も多いときは130店くらいありましたが、現在では100店を切っています。こんな商店街が第5回かながわ商店街大賞を受賞しました。
子育てサロンが評価されて商店街大賞を受賞!
商店街では、上溝夏祭りの他にも、「溝の朝市」 「溝の骨董市」 「だるま市」 「サンマ祭り」 「酉の市」など多彩なイベントが行われています、しかし、このようなイベントは大なり小なりどこの商店街でも行われており、商店街大賞を受賞するような特別な活動とは言えません。
しかし、ここ独自の活動が行われており、これが評価された結果が受賞につながったと思われます。若い世代の商店街離れを防ごうと、酒販店だった空き店舗を利用して平成22年に子育てサロン&交流広場「かみみぞ ひだまり」を開所しました。3歳までのお子さんとその親が自由に交流できる広場です。
子育てサロン&交流広場「かみみぞ ひだまり」
ボランティアのベテランママさんたちが、サロンを訪れた親子を見守り、一緒に遊んだり、子育ての相談に乗ったりしています。市と協働し利用料は無料、商店街内の保育園とも連携して保育士が常駐する体制も作っています。人形劇やリトミック、お誕生会などの催事も行われており、多くの親子連れが集っています。
少子高齢化に伴い、日々の生活の中で感じる子育ての不安や戸惑い、希薄になってしまった地域コミュニティなどの課題解決に取り組んでいます。サロン内には、地域の人たちが趣味や特技を活かした手づくり作品が並ぶ「ボックスショップ」も併設されています。また、サロンの前では野菜の販売なども行われています。
実は、私自身もサロンの開設に関わりました。当初は利用者も少なく、いつまで続くかと心配していましたが、もう7年以上も続いています。利用者も増えており、すっかり地域に定着しています。しかし、若い世代の商店街離れを防ぐという目的が必ずしも果たされているとは言えず、今後の課題として取組んでいく必要があると思われます。
筆者紹介
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ヨコハマNOW 動画
新横浜公園ランニングパークの紹介動画 | ||
ランニングが大好きで、月に150kmほど走っているというヨコハマNOW編集長の辰巳隆昭が、お気に入りの新横浜公園のランニングコースを紹介します。 |
横浜中華街 市場通りの夕景 | ||
横浜中華街は碁盤の目のように大小の路地がある。その中でも代表的な市場通りをビデオスナップ。中華街の雰囲気を味わって下さい。 |
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