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楽しい文字の世界(第6回) 時の言葉となった「忖度(そんたく)」

by staff on 2017/7/10, 月曜日

第6回 時の言葉となった「忖度(そんたく)」

今回は森友学園の報道から一躍時の言葉となった「忖度(そんたく)」という漢字について書きたいと思います。

「忖」には寸法などをはかるという意味があり、りっしん偏をつけることにより、他人の心をはかるという意味になります。
「度」にもものさしという意味があり、よって「忖度」は他人の気持ちを推しはかるという意味になります。

紐解くと「忖度」は中国の最も古い詩集「詩経」の中の「巧言」という詩にでてきます。
…他人有心、予忖度之… 
他人(たにん)心(こころ)有り、予(われ)之(これ)を忖度(そんたく)す。
他の人に良くない心があれば、私はそれを推し量る。

もともとの意味に上下関係はなく、「推し量る」だけですが、今回の報道から、そこに「そこから何かを配慮をする」という意味が加わり、言い換えれば「空気を読む」に近い言葉になったように思います。

「忖度」という言葉の用例を日本でもあげてみましょう。

1人目は福沢諭吉の「文明論之概略」にでてきます。

「他人の心を忖度す可(べか)らざるは固(もと)より論を俟(ま)たず
人の心をあれこれ推し量ることの困難さ、無意味さ、さらにそうすることの愚かしさを語っています。

2人目は夏目漱石の「明暗」です。

「二人は顔を見合せた。互いの胸を忖度しようとする試みが、同時にそこに現われた。
この1文以前の二人の心の探り合いの言葉のキャッチボールが面白いです。

筆者紹介

 
書家名 粟津 紅花 KOUKA AWAZU
本 名 粟津 絵里 ERI AWAZU
略 歴 愛知県生まれ。 横浜市在住。
3歳から筆を持ち、書を学ぶ。
銀行勤務を経て紅花書道塾を主宰して24年。
現在8か所の教室で門下生を指導。
また古典書道の作品制作に加え、店舗ロゴ、商品ロゴ、ポスター等のデザイン書道を手掛ける。
書道パフォーマンス、障害をお持ちの方への書のボランティア指導、セミナー講師などにも力を入れるなど、国内外で幅広く活動中。
読売書法会会員。
謙慎書道会会員。
横浜書人会審査員。
日本デザイン書道作家協会正会員。
カルチャーセンター講師。
著 作 法華経書写書き込み練習帳―釈尊の究極の教え
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