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ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第60回)

by staff on 2018/3/10, 土曜日

大浦総合研究所 代表/大浦勇三

ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第60回)

遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん
遊ぶ子供の声きけば、我が身さえこそ動がるれ

- 梁塵秘抄 -

普通ではありえない非現実的な組合せ・表現が “シュール” 。シュールな光景といえば、ありえない理解不可解な光景。AI・IoT・ビッグデータは、今までありえないと思われてきた世界を現実化する状況を生み出しています。芸術が現実を模倣するという世界から、現実が芸術を模倣するという世界への革命的転換。画家・シャガールの絵画世界はよく非現実空間といわれます。本来あるべき場所や環境とは無関係な状況に物や人をおき、不条理で謎めいた空間。これを芸術の世界ではデペイズマン(配置転換)と呼ぶそうですが、シャガールの絵画は、一見無関係で意外なもの同士の組合せであり、従来の感覚からは多少違和感。AI・IoT・ビッグデータが生み出す世界は、このような無関係だと思われていたものをわかる形に可視化。まさに意外なもの同士の組合せに価値を生み出すこと。これを深掘りする武器が意思&好奇心。梁塵秘抄では “茨小木の下にこそ 鼬が笛吹き猿奏で かい奏で 稲子麿 賞で拍子つく さて螽斯は 鉦鼓の鉦鼓の好き上手” とあります。イタチが笛を吹き、猿が踊る。擬人化は鳥獣戯画などでもみられる人間の知恵。“マニュアルを求めるな”と ロボット工学者・石黒浩教授。

“遊びをせんとや生れけん” 「遊」

生き抜いて人生を全うするのは当たり前
なぜ生きるのか考えずただ命を永らえる
子を産み育てて命を守るため必死で働く
おたまじゃくしの裏側を唱え、と船村徹

栃木県出身の船村徹は、戦後の歌謡界を代表する作曲家の一人。手掛けた曲は5000曲以上にのぼるといわれ、歌謡曲の作曲家として初めて文化勲章を受章しました。代表作には、王将・矢切の渡し・風雪ながれ旅など数知れず。愛弟子の代表格は歌手・北島三郎。茨城県出身の親友で夭折した作詞家・高野公男からは “俺は茨城弁で歌詞を書くから、お前は栃木弁で作曲しろ” と言われたエピソードは有名です。欧州滞在中のロンドンではあるオーディションに立ち会い、その中にデビュー前のビートルズがおり、 “あの汚い4人組が一番面白い” とズバリその才能を見抜いたといいます。歌謡曲のプロは世界の音楽のプロ。 “バイオリンは弾くのでなく唄う” とバイオリニスト・黒沼ゆり子。

“仕事をせんとや生れけん” 「献」

精神論横行の営業職 無駄な訪問をやめるためのアドバイス
無駄があれば取り除くのは当たり前 極めてシンプルな提案
真っ先の反論 日本と外国は文化風土が違い成果よりは協調
過去に目を閉ざす者は現在にも盲目になる、とワイゼッカー

ワイゼッカーはドイツの政治家で、西ベルリン市長やドイツ連邦大統領を歴任。連邦大統領の就任演説は格調の高さでドイツ内外に感銘を与えました。目先の選挙の勝利に拘り過ぎる党派性を批判、 “過去に目を閉ざす者は現在にも盲目になる” との演説は、日本でも紹介されました。 “過去に対する姿勢” としての罪と “未来に対する構え” としての責任とを区別し、個人により罪が異なろうとも共同で責任を果たすことの大切さを主張。 “統一することとは分断を学ぶこと” と旧東ドイツ国民を歓迎しました。 “Three Wise Men” の一人としてEU統合の過程の一翼を担った功績も。 “人間の能力とは、大きな枠組みで様々な現象やモノに共通点を見つけ出す力である” と経済学者&哲学者ハイエク。

“学びをせんとや生れけん” 「学」

動ける能力を発揮し過ぎ 植物は真逆の進化
海外文化を取り込んでも世間はしぶとく残る
全体をすべて教える 全体を学ぶと辞めない
部分しか教えないから辞める 見えないから

“動物は動ける能力を発揮し過ぎ。植物は真逆の進化” 。どんな植物も自らの生存をかけてあらゆる戦略を駆使します。厳しい生存競争は人間を含む動物の世界だけではないこと。 “適応する力・踏まれながら育つ力・妥協し再生する力・多様性を展開する力” 。自然界では勝つものが生き延びていき、雑草は勝ち組。成功のためには “タイミングとスピード・変化できる・リスクに保険をかける・小さな成功を積み重ねる” というもの。成長のタイミングを読み、環境ストレスに適応し、小さな成功を蓄積すること。 “ネット社会ではどちらかを選べとの圧力がある。どちらにも長所と欠点があるから中間の落としどころを探ることが大切。選択しないという選択肢だってある” と文筆家・平川克美。

「遊びは仕事、仕事は遊び」
「仕事は学び、学びは仕事」
「学びは遊び、遊びは学び」

今回とりあげた「遊・献・学」それぞれの4行文は、拙書「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)及び「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(六)」(全10巻)から抽出したものです。次回以降も「遊・献・学」から各々4行文を一つずつ抽出してご紹介していきたいと思います。

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(第60回了)

 

大浦勇三(おおうら ゆうぞう) プロフィール

大浦勇三(おおうら ゆうぞう)  

大浦総合研究所 代表 (http://www.ne.jp/asahi/oura/ohura-research-institute/

石川県七尾市出身。
早稲田大学卒業、筑波大学大学院修了。
米国経営コンサルティング会社 アーサー・D・リトル 主席コンサルタントを経て現職。
主担当領域は、経営改革/企業再生、経営戦略/情報通信技術戦略策定、業務改革/組織改革、研究開発/商品開発マネジメント、マーケティングマネジメント、ナレッジマネジメント、イノベーションマネジメント、サプライチェーンマネジメント、人材マネジメント、コーチング/メンタリング、プロジェクト/プログラムマネジメント、ベンチャービジネス支援等のコンサルティング。

筑波大学大学院講師、城西国際大学客員教授、名城大学講師、産業能率大学講師、中小企業大学校講師などを歴任。

主な著作物:

  • 「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(六)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「イノベーション・ノート」(PHP研究所)
  • 「ITプロジェクトマネジャーのためのコーチング入門」(ソフトリサーチセンター)
  • 「図解 日本版LLP/LLCまるわかり」(PHP研究所)
  • 「IT技術者キャリアアップのためのメンタリング技法」(ソフトリサーチセンター)
  • 「よいコンサルタントの見分け方、かかり方」(清話会)
  • 「日本のモノづくり - 52の論点」<共著>(日本メンテナンス協会)
  • 「現場主導型の組織運営とスピード戦略」(日本監督士協会)
  • 「eコミュニティがビジネスを変える」<訳>(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメントが見る見るわかる」(サンマーク出版)
  • 「図解 ナレッジ・カンパニー」(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメント革命」(東洋経済新報社 )
  • 「図解 グローバル・スタンダード革命」(東洋経済新報社)
  • 「業務改革成功への情報技術活用」(東洋経済新報社)
  • 「情報化戦略と投資評価・システム運用管理の実際」<編著>(企業研究会)
  • 「会社改革実務辞典」<共著>(産業調査会)
  • 「プロジェクトマネジャー(PM)の育成・スキルアップのためのメンタリングの進め方と実践法」 (ソフトリサーチセンター:CD-ROM版)   など

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