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もろともに あはれと思へ 山桜 花よりほかに 知る人もなし

by staff on 2018/4/10, 火曜日

♪ もろともに あはれと思へ 山桜 花よりほかに 知る人もなし ♪


絵・千絵崇石
 

読み人:大僧正行尊(だいそうじょうぎょうそん)

現代語訳・・・私がお前を懐かしく思うように。お前も私を懐かしいものと思っておくれ、山桜よ こんな山奥ではお前(花)以外に心を知る人もいないのだから。

今年の桜は開花が早くて例年よりも一週間ほど前倒し的に開花のニュースを聞きました。この横浜ナウが発刊される4月10日ごろに日本列島で咲いている桜はどのあたりなのかしら。桜前線は九州から北海道まで結構長く続いていてこの原稿を書いている頃の予想では山形県や岩手県 秋田県がちょうど満開になるとの話でしたが、奥深い吉野の山の桜はどうかしら、東吉野の山里では吉野の山よりも開花時期が約1週間から10日遅れて咲くので、きっと今頃が満開なのかもしれません。

この歌も、そんな吉野ではもうすでに咲き終わっているはずの桜が 奥深い山で修行をしていた行尊の目の前に現れた時の心境を歌っています。山桜と言うのはどちらかと言うとピンクではなくて白っぽい桜です。群生していると周りに霞を作ってゆくような幻想感が漂いますが、彼が出会ったのは単独に咲いていた一本の山桜です。

吉野の桜は修験道の開祖、役小角が桜の木に本尊を彫刻して奉ったことから、その弟子たちがご神木として桜を植えていったことで増えてゆきました。そんな信仰から始まった吉野の桜はやはり一度は訪れて、その霊験あらたかな咲きっぷりを拝見したいと思います。

大峰山は、2004年に世界遺産に登録されています。霊峰と言われ今でも一部のエリアは女性が入山する事を禁じている事でも有名です。この約1300年続く女性禁制の制度が一度破られたことがあります。男女平等を主張する女性グループの方々が、3名密かに登られたと。伝統の保持か性差別の撤退か、これからも色々と意見の分かれるところでしょうね。現代は性同一障害の方々もいて、これからますます男女の差別はなくなってゆくと思います。

私は「和歌うた」を歌うようになってだいぶ 物事の捉え方が変わってきました。

なん百年もの時の流れの中で培われてきた伝統は、壊すことは簡単だけど、よほどの理由がない限りは大切にしたいと思うようになりました。女性禁制の場所で修行する。そんな機会もあってもいいのでは、と。伝統と新しさが混在する、バラエティに富んだ文化には沢山の側面がありその多面性がこれからも国や文化が発展してゆく原動力なのだと思います。

さて作者の行尊さん、霊峰大峰山で修行をされただけあってその霊力は、当時の天皇家の加持祈祷を一挙に引き受け信頼の厚いお坊様になりました。白河・鳥羽・崇徳・と3代の天皇の護持僧として病気や物の怪などの障害を防いでいたそうです。そして最後には大僧正となりました。 彼は10歳で父親を亡くし、12歳で出家して17歳で修行の旅に出ました。幼いころはとても孤独で心がくじけるような時もあったと思います。そんなことを思ってこの歌をもう一度読んでみると、共感の涙があふれてきました。山奥で凛として咲いている山桜は、風に吹き折られて、それでもなお咲き誇っている桜だったといわれます。逆境の中で誰にも知られずに命を盛りに咲いている桜。自分の気持ちを分かち合える友達に出会ったような懐かしさを感じた彼の心がとても愛しく思えるのは、私一人ではないと思います。

(早苗ネネ♪)

 

三十六歌仙CDアルバムによせて

 

10代の頃、じゅん&ネネのネネとして歌っていた時、多くの方から「北の政所のねね様と同じ名前ですね」と言われ、歴史上に残る方と同じ名前を頂いた事で直ぐに覚えて頂き、良い事が沢山ありました。時が経ち、50歳を過ぎた頃にやっと自分のライフワークを見つけ、「和歌うた」を歌い続けて13年程に成りますが2014年の京都高台寺音楽祭に出演させて頂いた折に、三十六歌仙が高台寺様に遺されているのを知りました。その時にぜひ三十六歌仙にメロディーを付けて同じ名前のねね様に奉納したいとの思いを抱き、2015年9月6日、ねね様のご命日に発表させて頂く事に成りました。

和歌のアルバムとしては10年ぶりでやっと二枚目アルバムです。一枚目のアルバム「花のいろは」は蟠龍寺スタジオの仲間に助けられて生まれました。そして今回のアルバムも製作費は今まで私の和歌うたを聞いて応援して下さった方々のご支援で賄われています。暗中模索と無我夢中で今までよろよろと歩いてきましたが、そんな私を支えてくれる大きな愛情に気が付いて、なんて幸せ者なのかしらと思います。有難うございます。これからも自分の道を信じて歩いてゆきます。

早苗ネネ/京都・高台寺 北の政所・ねねさまに捧げる三十六歌仙 『和歌うた』CDアルバムは、 ヨコハマNOWオンラインショップ で販売しております。

 

早苗ネネさん 和歌うたLIVE

 

早苗ネネさん プロフィール

木々や鳥や魚や精霊…人間以外の存在達との交流が当り前に語れるくらい、いのちのひろがりに気づくと、共に生きている喜びや、苦しみや悲しみにもナイーブになる。

心と野生がひとつながりになると……こんな風に人は年を重ねられる。ひとりひとり、ユニークにもっと自分になれる。

早苗 Nene さんは、そういう人生の先駆者です。 感性を解放しながら、40代で高校生に仲間入り卒業後、マウイのカレッジに留学中、突然半生記が受賞しました。

そんな新たなシーズンを迎えて、今エッセンスを分かち合いたい。

<天性の歌い手>というだけでなく、その存在感、溢れる活性のバイブレーションは、光のシャワーのよう。彼女と語り歌い、魂の成長を旅している現在の、自分の位置を確かめてみませんか?

早苗ネネさんHP

 

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