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恨みわび ほさぬ袖だに あるものを 恋に朽ちなむ 名こそ惜しけれ

by staff on 2018/7/10, 火曜日

♪ 恨みわび ほさぬ袖だに あるものを 恋に朽ちなむ 名こそ惜しけれ ♪



絵・千絵崇石
 

読み人: 相模(さがみ)

現代語訳・・・悔しい! 袖が涙で朽ちてしまうほど 彼のつれなさを 嘆いて泣いて、その上 世間に噂が広まって 私の名前までもが 浮名で朽ちてしまうなんて。

読み手の女性は 夫が西暦1020年に相模(神奈川県)に赴任してそのまま “相模” と呼ばれるようになりました。残念ながら赴任中、地元の女性達と夫の関係に悩まされ数年後には離婚してしまいます。そのあとは女流歌人として着実に自分の地位を築いていきます。

この歌は 彼女が56歳の頃の歌会でテーマを与えられて詠んだものですが、思わず口走ってしまったような、臨場感のある言霊を感じます。

私自身この和歌を歌うと、昔 自分が味わった恋の苦しさが時空を超えて蘇ってきます。男性歌人の歌も美しいビジョンが浮かんできたり、その悲しみに触れたり。歌いながらの味わいが沢山ありますが、直情的なエッセンスの発露を自分自身の中に感じ取ることができるのはやはり女流歌人の歌です。

それも相模のこの歌には 痛みが伴うほどの感覚があってホントは無視したいくらい。正直に告白します。私には百人一首に収められている和泉式部の歌も 右近の歌も、女流歌人の恋の歌は押しなべて心地よくありません。自分が客観的にそれらの言葉を見つめることが出来ない。自分自身を吐露しているようなざわつきを感じる事が多いからです。

隠して取り繕っていたいのに、内側から綻びが現れてゆく困惑。紡いだ言葉と言葉の間に、彼女たちの傷口が開いたままハラハラと真っ赤な血が流れているのを感じ取って 記憶の底に沈めておいた古い傷跡が共鳴して疼くのが、わかるから。

一夫多妻と言う時代制度の中で、他の女性にも堂々と心を移してゆく自分の夫や恋人を受け入れてゆかなければならない。その不安定な虚ろさに、日常を支配されて。この時代の女性達は本当に大変だったと思います。

相模は いろんな諸説がありますが、10代の時に清少納言の息子 橘則長と結婚して離婚。その後に大江公資と結婚して相模に行きますが、やはりうまくゆかず離婚してしまいます。

その彼女が相模国に滞在中のお正月に 伊豆の走湯権現に和歌100首を奉納しました。
すると その年の4月に権現様から返歌が彼女のもとに100首届けられました。その返歌は誰が書いたのか不明ですが 彼女はその返歌にも又100首返歌を返したそうです。ネットで見つけた代表的なやり取りの和歌は やはり夫の他の女性に対する交際への和歌。

まず彼女が奉納した100首の中の一首
「若草をこめてしめたる春の野に われより他のスミレ摘ますな」
奥ゆかしいけど切実な心情が伝わってきます。
これに対し権現様からの返歌は、(作者不明 夫の大江公資 又は 藤原定頼が有力)
「なにか思ふ なにをかなげく春の野に きみより他にスミレ摘ませじ」
う~ん!なかなかです。
さらに相模の返し、は強烈です。
「燃えまさる 焼け野の野辺の つぼスミレ 摘む人絶えず 有りとこそ聞け」
22~23歳の 若き妻が夫の女性関係にどれだけ悩み苦しんでいたのか、京都の大富豪の娘として何不自由なく育った相模が故郷からはほど遠い夫の赴任地で直面した孤独な試練。でもそんな体験がその後 成熟した彼女の詠む和歌に煌めく様な磨きをかけたのでしょう。

(早苗ネネ♪)

 

ネネグースプロジェクト(Nene Goose Project)を立ち上げました

日本古来の大和ことばで綴られた和歌を現代の調べにのせて歌う「和歌うた」。私 早苗ネネはもう20年近くこの「和歌うた」を歌い続けています。お蔭様で、じゅん&ネネと共に「和歌うた」は私のアーティスト活動の中心軸となり、多くの方々からご支援を賜り各地で和歌うたライブを開かせて頂いております。

この度立ち上げたネネグースプロジェクト(Nene Goose Project)は、「和歌うた」とHULAや太極拳などの異文化や全国に受け継がれている伝統文化とのコラボレーションをはかります。世界の民族が持つ固有の文化とその文化の根底にある言霊が「和歌うた」と融合することで生まれる新しい表現をみんなで共有する取り組みです。

「和歌うた」のライブは歌い手と聴き手という構図です。ライブ会場はみんなで一体になって盛り上がりますが、歌い手と聴き手という構図は否めないものがありました。ネネグースプロジェクト(Nene Goose Project)ではワークショップ形式で参加して下さったみなさんと一緒に作品を作り上げていきたいと考えております。みんなで作った作品にはみんなの愛情が込められています。出来上がった作品はみなさんの元気の源の一助になることでしょう。

ネネグースプロジェクト(Nene Goose Project)の第一弾イベントを来る9月24日(月・振替休日)に横浜で開催致します。HULAとのコラボです。オフィシャルウェブサイトをアップしましたので詳しくはそちらをご覧下さい。

ネネグースプロジェクト(Nene Goose Project)Official Website:
nenegoose.love

 

三十六歌仙CDアルバムによせて

 

10代の頃、じゅん&ネネのネネとして歌っていた時、多くの方から「北の政所のねね様と同じ名前ですね」と言われ、歴史上に残る方と同じ名前を頂いた事で直ぐに覚えて頂き、良い事が沢山ありました。時が経ち、50歳を過ぎた頃にやっと自分のライフワークを見つけ、「和歌うた」を歌い続けて13年程に成りますが2014年の京都高台寺音楽祭に出演させて頂いた折に、三十六歌仙が高台寺様に遺されているのを知りました。その時にぜひ三十六歌仙にメロディーを付けて同じ名前のねね様に奉納したいとの思いを抱き、2015年9月6日、ねね様のご命日に発表させて頂く事に成りました。

和歌のアルバムとしては10年ぶりでやっと二枚目アルバムです。一枚目のアルバム「花のいろは」は蟠龍寺スタジオの仲間に助けられて生まれました。そして今回のアルバムも製作費は今まで私の和歌うたを聞いて応援して下さった方々のご支援で賄われています。暗中模索と無我夢中で今までよろよろと歩いてきましたが、そんな私を支えてくれる大きな愛情に気が付いて、なんて幸せ者なのかしらと思います。有難うございます。これからも自分の道を信じて歩いてゆきます。

早苗ネネ/京都・高台寺 北の政所・ねねさまに捧げる三十六歌仙 『和歌うた』CDアルバムは、 ヨコハマNOWオンラインショップ で販売しております。

 

早苗ネネさん 和歌うたLIVE

 

早苗ネネさん プロフィール

木々や鳥や魚や精霊…人間以外の存在達との交流が当り前に語れるくらい、いのちのひろがりに気づくと、共に生きている喜びや、苦しみや悲しみにもナイーブになる。

心と野生がひとつながりになると……こんな風に人は年を重ねられる。ひとりひとり、ユニークにもっと自分になれる。

早苗 Nene さんは、そういう人生の先駆者です。 感性を解放しながら、40代で高校生に仲間入り卒業後、マウイのカレッジに留学中、突然半生記が受賞しました。

そんな新たなシーズンを迎えて、今エッセンスを分かち合いたい。

<天性の歌い手>というだけでなく、その存在感、溢れる活性のバイブレーションは、光のシャワーのよう。彼女と語り歌い、魂の成長を旅している現在の、自分の位置を確かめてみませんか?

早苗ネネさんHP

 

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ヨコハマNOW 動画

新横浜公園ランニングパークの紹介動画

 

ランニングが大好きで、月に150kmほど走っているというヨコハマNOW編集長の辰巳隆昭が、お気に入りの新横浜公園のランニングコースを紹介します。
(動画をみる)

横浜中華街 市場通りの夕景

 

横浜中華街は碁盤の目のように大小の路地がある。その中でも代表的な市場通りをビデオスナップ。中華街の雰囲気を味わって下さい。
(動画をみる)

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