Skip to content

ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第66回)

by staff on 2018/9/10, 月曜日

大浦総合研究所 代表/大浦勇三

ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第66回)

遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん
遊ぶ子供の声きけば、我が身さえこそ動がるれ

- 梁塵秘抄 -

“AI時代のメンタリング” という言葉を聞くことが増えました。しかし、一時の “コーチング” のような広がりにはなっていません。コーチングはあくまで学習・成長する上での側面支援。メンタリングは、エクスパティーズ(高度専門性)が大前提で、コーチング・カウンセリングを包含するもの。メンタリング国際大会では、ワークショップにコーチングなども設営されます。2020年の東京五輪・パラリンピックの開閉会式演出の総合統括に狂言師の野村萬斎さんが就任。萬斎さんの父は人間国宝の狂言師・野村万作、祖父は名人といわれた人間国宝の六世野村万蔵。万作にとって万蔵はこれ以上ないメンター。常に身近で学ぶことができる存在。しかし、万蔵は万作に向かって “俺を真似ても何も新しいものは生まれないよ” と突き放したといいます。これぞメンター。メンターとは真似する存在でなく乗り越えるべき存在。肝は、己が選んで考えた価値がど真ん中にあること。梁塵秘抄では “海老漉舎人はいづくへぞ 小魚漉舎人がり行くぞかし この江に海老なし下りられよ あの江に雑魚の散らぬ間に” とあります。所作は所作として面白くともその先は。 “毎日、発展・進歩を感じて生きたい” と羽生善治棋士。

“遊びをせんとや生れけん” 「遊」

複雑性 何が起きているのか、誰にも分からない もともと、世界は無駄のかたまり
手堅いやり方は一見安全にみえるが、実は一番危険 手堅さは過去を踏襲した生き方
自分の役割を再定義する 〇を一にする生き方もあれば、一を一〇にする役割もある
何れも厳しく、逃げ道はどこにも用意されていない 新たな二一世紀型の方法を探る

これだけ変化が激しく複雑性が増すと、単純に “年齢の定年” で区切りをつけるだけではコトが収まりそうにありません。むしろ、 “能力(あるいはインテリジェンス)の定年” のほうを心配すべきなのかもしれません。更に踏み込むと、 “定年” という考え方そのものが意味をなさないのかも。この世は、あらゆることがいつでも起こりうるもの。特に、日本人は不安には敏感。それでも “人生悪くない” と受け止められれば御の字。根っこに芸術的しなやかさ。古代ローマ人は動物のように雄々しいイメージが強いですが、むしろ植物のように、根を張り・葉を広げ・花を咲かせる弾力性が身上とか。 “人も社会も雑種化していく。世界に希望があるとするなら、その点だ” と政治学者・入江昭。

“仕事をせんとや生れけん” 「献」

イノベーションの阻害要因 イノベーション展開が一部のメンバーに限定される
組織文化風土と一体化できていない さまざまな分野・部門からの参画が不十分
科学・技術の細かな分類や領域に拘る 組織の不安定や危機こそが、進化を加速
分類はあくまで便宜上のもの 問題を深掘りし、視点を変え、離れて、また戻る

イノベーションの世界的展開の中で、市場主義(カジノ化)のスピードに民主主義のルールが追い付けない様相。イノベーションの中核をなす知的労働では、論理的に判断する左脳と、人間を尊重する右脳の両方のバランスが問われることに。そこでは時間のロスは致命傷。時間の有効活用と時間の浪費との差は、成果・実績で判断するしかないのかも。グローバル化とデジタル化の世界では、どこでも寝られる・何でも食べられる・誰とでも話せることが不可欠。その中で、日本人の不安が勝るのか、アメリカ人の不満のエネルギーが勝つのか。もはや、 “サボる” という言葉は死語に。 “若いもんに上手にやれと言うたことはない。言うのは基本に忠実・素直にとだけ” と義太夫・竹本住大夫。

“学びをせんとや生れけん” 「学」

学校 生きていく上での準備体操 基本は、健康・知的好奇心・寛恕
米国では、学校へ行かないで家庭での学習環境で学ぶ子供たちが増加
インターネットの普及と教育の再定義 身に馴染む学び方を修得する
大事なこと 世間のいう人生の成功でなく、自分が納得できる生き方

“教養” という言葉を聞くようになりました。ここで言われる教養とは、強い好奇心にもとづく人間の深化プロセスを指すようです。これまでは、日常は凪の状態であり、時々は嵐が来るというのが世の中の受け止め方でしたが、これからは日々嵐の中で生きることを覚悟することになりそう。 “生きていることを楽しむ” という心構えが必須になるのかも。 “洛中洛外図” も “江戸遊興図” も生きる楽しみで満開。昔の人は何が起こるかわからない世の中への知恵を本能的に身に着けていたのかな。何が人生の成功かは不確か。本能からの知恵は、何が本物か・何が本質かを見極めること。 “真理とは方向感覚。そのためにも、間違いの記憶をぎゅっと握りしめていなければ” と哲学者・鶴見俊輔。

「遊びは仕事、仕事は遊び」
「仕事は学び、学びは仕事」
「学びは遊び、遊びは学び」

今回とりあげた「遊・献・学」それぞれの4行文は、拙書「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)及び「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(七)」(全10巻)から抽出したものです。次回以降も「遊・献・学」から各々4行文を一つずつ抽出してご紹介していきたいと思います。

「ビジネス梁塵秘抄」購入ご希望の方はこちらからどうぞ!
http://www.syplus.jp/ooura/

(第66回了)

 

大浦勇三(おおうら ゆうぞう) プロフィール

大浦勇三(おおうら ゆうぞう)  

大浦総合研究所 代表 (http://www.ne.jp/asahi/oura/ohura-research-institute/

石川県七尾市出身。
早稲田大学卒業、筑波大学大学院修了。
米国経営コンサルティング会社 アーサー・D・リトル 主席コンサルタントを経て現職。
主担当領域は、経営改革/企業再生、経営戦略/情報通信技術戦略策定、業務改革/組織改革、研究開発/商品開発マネジメント、マーケティングマネジメント、ナレッジマネジメント、イノベーションマネジメント、サプライチェーンマネジメント、人材マネジメント、コーチング/メンタリング、プロジェクト/プログラムマネジメント、ベンチャービジネス支援等のコンサルティング。

筑波大学大学院講師、城西国際大学客員教授、名城大学講師、産業能率大学講師、中小企業大学校講師などを歴任。

主な著作物:

  • 「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(七)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「イノベーション・ノート」(PHP研究所)
  • 「ITプロジェクトマネジャーのためのコーチング入門」(ソフトリサーチセンター)
  • 「図解 日本版LLP/LLCまるわかり」(PHP研究所)
  • 「IT技術者キャリアアップのためのメンタリング技法」(ソフトリサーチセンター)
  • 「よいコンサルタントの見分け方、かかり方」(清話会)
  • 「日本のモノづくり - 52の論点」<共著>(日本メンテナンス協会)
  • 「現場主導型の組織運営とスピード戦略」(日本監督士協会)
  • 「eコミュニティがビジネスを変える」<訳>(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメントが見る見るわかる」(サンマーク出版)
  • 「図解 ナレッジ・カンパニー」(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメント革命」(東洋経済新報社 )
  • 「図解 グローバル・スタンダード革命」(東洋経済新報社)
  • 「業務改革成功への情報技術活用」(東洋経済新報社)
  • 「情報化戦略と投資評価・システム運用管理の実際」<編著>(企業研究会)
  • 「会社改革実務辞典」<共著>(産業調査会)
  • 「プロジェクトマネジャー(PM)の育成・スキルアップのためのメンタリングの進め方と実践法」 (ソフトリサーチセンター:CD-ROM版)   など

Comments are closed.

ヨコハマNOW 動画

新横浜公園ランニングパークの紹介動画

 

ランニングが大好きで、月に150kmほど走っているというヨコハマNOW編集長の辰巳隆昭が、お気に入りの新横浜公園のランニングコースを紹介します。
(動画をみる)

横浜中華街 市場通りの夕景

 

横浜中華街は碁盤の目のように大小の路地がある。その中でも代表的な市場通りをビデオスナップ。中華街の雰囲気を味わって下さい。
(動画をみる)

Page Top