楽しい文字の世界(第13回) 欧陽詢(おうようじゅん)から学ぶ接筆
第13回 欧陽詢(おうようじゅん)から学ぶ接筆
画と画が接することを接筆、更に細かくいうときちんと接することを接筆閉、開くことを接筆開と言います。
文字を正しく書くことを学ぶ書写では、きちんとつけて書くように習います。
ところが、表現力を増し、より芸術性を求めて書道の域に入ってくると、必ずしもそうではなくなります。
例えば左が書写で習う「青」。接筆をきちんとつけて書きました。
それに比べて右はあえて開けて書きました。
「月」が縦長で幅が狭くても閉塞感を感じさせません。逆にスリムなモデル体型の文字ですね。
これを良く学ぶことができるのが、初唐の書家、欧陽詢(おうようじゅん)の九成宮禮泉銘。字形は引き締まっていますが、堅苦しくなく、ゆったりと伸びやかさを感じます。そのための手法の1つに接筆の開閉があります。いくつかピックアップしてみましょう。
「能」は右側が空いています。
「勝」は左側が空いています。
「則」の横画においては両側が空いています。
このように点画が緻密に構築され、線の末端にまで神経が行き届いているところが、「端正」な書と言われ、千年以上経った今でも「楷書の極則」としてお手本になっているゆえんです。
筆跡診断では、接筆閉は真面目、几帳面、接筆開はルーズなどと言われたりしますが、芸術性においては楽しんであえて取り入れたい手法です。
イベントのご案内
私が、美文字指導に伺っている障害福祉サービス事業所「鎌倉道工房」の展覧会が開催されます。
- 期間: 9月11日(火)~17日(月)
- 場所: 鎌倉生涯学習センター ギャラリーC・D
住所:〒248-0006 鎌倉市小町1-10-5
電話: 0467-25-2030
JR鎌倉駅東口徒歩3分
HP: https://www.city.kamakura.kanagawa.jp/… - 鎌倉道工房HP: http://kamakura-michi.com/
筆者紹介
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