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楽しい文字の世界(第13回) 欧陽詢(おうようじゅん)から学ぶ接筆

by staff on 2018/9/10, 月曜日

第13回 欧陽詢(おうようじゅん)から学ぶ接筆

画と画が接することを接筆、更に細かくいうときちんと接することを接筆閉、開くことを接筆開と言います。
文字を正しく書くことを学ぶ書写では、きちんとつけて書くように習います。
ところが、表現力を増し、より芸術性を求めて書道の域に入ってくると、必ずしもそうではなくなります。

例えば左が書写で習う「青」。接筆をきちんとつけて書きました。
それに比べて右はあえて開けて書きました。
「月」が縦長で幅が狭くても閉塞感を感じさせません。逆にスリムなモデル体型の文字ですね。

これを良く学ぶことができるのが、初唐の書家、欧陽詢(おうようじゅん)の九成宮禮泉銘。字形は引き締まっていますが、堅苦しくなく、ゆったりと伸びやかさを感じます。そのための手法の1つに接筆の開閉があります。いくつかピックアップしてみましょう。

「能」は右側が空いています。
「勝」は左側が空いています。
「則」の横画においては両側が空いています。
このように点画が緻密に構築され、線の末端にまで神経が行き届いているところが、「端正」な書と言われ、千年以上経った今でも「楷書の極則」としてお手本になっているゆえんです。

筆跡診断では、接筆閉は真面目、几帳面、接筆開はルーズなどと言われたりしますが、芸術性においては楽しんであえて取り入れたい手法です。

イベントのご案内

私が、美文字指導に伺っている障害福祉サービス事業所「鎌倉道工房」の展覧会が開催されます。



筆者紹介

 
書家名 粟津 紅花 KOUKA AWAZU
本 名 粟津 絵里 ERI AWAZU
略 歴 愛知県生まれ。 横浜市在住。
3歳から筆を持ち、書を学ぶ。
銀行勤務を経て紅花書道塾を主宰して25年。
現在8か所の教室で門下生を指導。
また古典書道の作品制作に加え、店舗ロゴ、商品ロゴ、ポスター等のデザイン書道を手掛ける。
書道パフォーマンス、障害をお持ちの方への書のボランティア指導、セミナー講師などにも力を入れるなど、国内外で幅広く活動中。
読売書法会会員。
謙慎書道会会員。
横浜書人会審査員。
日本デザイン書道作家協会正会員。
カルチャーセンター講師。
著 作 法華経書写書き込み練習帳―釈尊の究極の教え
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