田中健介の麺食力-それから- 第1回 「それから」
第1回 それから
はじめまして。
横浜に本拠地を置いて活動している日本ナポリタン学会会長の田中健介と申します。
横浜発祥と言われているスパゲッティ・ナポリタンを横浜のソウルフードとして盛り上げようと、横浜開港150周年の2009年9月に任意団体として設立し、ゆるい雰囲気のまま今日まで、ついに10年目に突入致しました。
私を知る方はこのナポリタン学会のイメージが強いのかと思いますが、このナポリタン学会が立ち上がった経緯のひとつに、横浜の地域SNS「ハマっち!」というところで「ハマの麺食い男」というブログを書いていたことがあげられます。
地域SNS「ハマっち」の「ハマの麺食い男」
記念すべき第1回目は2007年4月でした。
横浜は麺文化の深い街だと思っています。サンマーメンやタンメンの発祥の地と言われ、中華街もある。横浜家系という独自のラーメン文化、巷の蕎麦屋なんか創業100年なんてお店もざらにある。そして「洋麺」のスパゲッティはナポリタンの発祥地でもあるという。。。
そんな麺文化の豊富な横浜の町並みを、開港150周年に合わせて150か所以上巡ってみようと綴ったのが「ハマの麺食い男」でした。最終的に165か所ほど巡ってレポートしました。
2010年3月に刊行された著書「麺食力(めんくいりょく)」。
赤レンガの海辺で撮影されたのに結局中華街がバックになってしまうあたりに悲しさが・・・
そしてこれらの記録はお店側から断られたり残念ながら閉店したりなどで147店舗ほどに絞られ、「麺食力(めんくいりょく)」という題名で書籍化されます。たまたま私のブログを見ていた編集関係の方が、「人生で最後の紙媒体を手掛ける」と2010年の1月にオファーを下さったのです。この方の後輩にあたる方がある専門書の出版会社に勤めていて、社内で一般書を出していこうという流れになったからということで、あれよあれよという2か月のうちに、2010年3月に全国販売されます。
さあこれから販促に取り組もう!という矢先、担当の出版社の方が販売からたった1か月で辞められてしまいます。それから後任の担当がついたものの、どうやら辞められた担当の方がほぼ独断に近い形で一般書の企画を通したようで、社内のその他の人たちは一般書にまるで興味がないのかあまり協力的ではなく、著者である私も出版業界に全くの無知だった故に、どうしようもないままに二年後の2012年3月に廃版となってしまいました。
自著を出版する。これは自分の人生の中で大きな実績のひとつなのかも知れませんが、私はこの「麺食力」という題名がまず好きではないことや、内容も妙にハイテンションな感じであったこと、刊行後の出版社との微妙な関係などもあって一度も読み返すことはありませんでした。どちらかというと恥ずかしい思い出にしてしまった感があります。その後ブログを書くということも辞めてしまいました。
一時期有隣堂伊勢佐木町本店で平積みされたのは良き思い出のひとつです。
ただ、このブログを始めて10年以上が経ち、「麺食力」も来年で刊行10年目に入ります。商業的には売れない本でしたが、著者としての思いはそれよりも文化的に遺すことです。
開港150周年当時の横浜の風景を記録することで、開港200周年あたりでこの本が発掘されれば本望だと。そういう意味では、どんな形であれ出版できたことは良かったと思っています。
幸いなことに横浜市内の3か所の図書館に収められ、いまだにAmazonでは細々と流通し、私が2017年から連載している「はま太郎」の星羊社さんでもイベントで売っていただいたりしていることでごくたまにレビューしてくれる方がいたりするのはやっぱり嬉しく思います。
ひとまずは開港160周年が間近に迫っているタイミングで、この「麺食力」と向き合ってみようと、この度創刊100回を超えたヨコハマNOWにて連載させていただくことになりました。
次回以降は、掲載されたお店達の「今」を中心に綴っていきたいと思います。
筆者紹介
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ヨコハマNOW 動画
新横浜公園ランニングパークの紹介動画 | ||
ランニングが大好きで、月に150kmほど走っているというヨコハマNOW編集長の辰巳隆昭が、お気に入りの新横浜公園のランニングコースを紹介します。 |
横浜中華街 市場通りの夕景 | ||
横浜中華街は碁盤の目のように大小の路地がある。その中でも代表的な市場通りをビデオスナップ。中華街の雰囲気を味わって下さい。 |
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