Accoの踊るように生きていく(第3回) “ゆとり社長” 片石貴展さんが描く新しい時代
Prologue
“小学生のなりたい職業ランキング” の第3位がYouTuberという今の時代。
様々な仕事観、人生観が多様化され何が一番正しいかという判断がとても難しくなって来たように思えます。
“幸せのカタチや豊かさ”
その答えは一つでは無いし、答えを強要するものでも無いと私は感じています。
モノを消費する時代から
コトを体験し感動に対価を払う時代へ
“見えない何か” や
“カタチのないもの” に
世の中が動かされていく時代。
量より質を大切にし、
紡がれた物語や、思想や哲学に惹かれる時代。
人が人らしく生きざるを得ない時代。
企業も人間も、あらゆるものを作品として捉えた時に、
生き方や仕事というもの全てが
“社会に彫刻して行く作品”
であると言うことを全ての人が実感していくフェーズに来ていると思います。
やりたい事だけをやって生きていきたい。
自分のクリエイティブな部分を活かして仕事にしたい。
感性が刺激されるものを追求していきたい。
“でも、どうやって??”
この言葉が拭いきれないのも事実だと思います。
夢のような壮大な青写真を明日からの現実として味わって行くために
アート(感性、美的感覚)
クラフト(技術)
サイエンス(科学的根拠、データ理論)
この3つのバランスがとても重要になってきます。
今回はこの3つの力を見事なまでに最大限発揮しながらも、新しいビジネススタイルを確立し、新しい切り口で幅広い層から支持を得ている株式会社yutori 代表取締役社長 片石貴展氏の元へ取材に行って参りました。
驚異のファッションメディア “古着女子”
好きなことを
好きと言う、
たった
それだけのことが
僕らには足りない。
心が死ぬ前に、
好きの産声をあげよう。
フォロワー数20万人以上を抱えるインスタメディア「古着女子」を運用する企業「yutori」。
株式会社yutoriのホームページにアクセスすると事業目的の前にこのようなメッセージが心に飛び込んでくる。
「古着女子」は、おしゃれに古着を着こなす女性をピックアップして紹介する、Instagramアカウントであり、開設から広告費を一切かけずに僅か5ヶ月でフォロワー10万人を突破し、月間のいいね数は50万を超え、現在もフォロワー数は月1万人ずつ増え続け、物凄いスピード感で古着ファッション界の一大メディアになりつつある。
またyutoriでは、90年代をテーマにしたボーイッシュ古着の「9090」やミレニアル世代特化のスポーツブランド「dabbot.」を、古着ECショップ連動型のインスタグラムアカウントとして展開。
dabbot.はアカウント開設後2ヶ月でフォロワー数が1万人近くに到達。
第2回販売分のアイテムは、ほぼ全ての在庫が即日完売となる勢いだったという。
なぜ今、片石貴展氏率いるyutoriの紡ぐ世界観に、時代とオーディエンスがこんなにも惹かれているのか? その魅力について今回は迫りました。
ゆとり社長との対談
今ある現実を壊したい
片石 「実はネガティヴから始まっているものが多くてーーーーーーー 例えばスクールカースト(学校内での身分)って運の要素がとても強いじゃないですか。たまたま生まれた家庭がこうだから、とか容姿がこうだったから、友達からこんなあだ名付けられていじめられてとか、、、、 上から降ってきた自分ではどうしようもない事で自分の世界での立ち位置が決まるって言うのに物凄く違和感があって、、」
Acco 「本当にそうですよね。」
片石 「自分はネットが幼い時から使える環境だったので、共通の趣味や話題で集まることが出来るSNSは昔から当たり前のように活用していました。今ある現実に新しい価値観が生まれることによって、誰でも主役になれる。全ての人がコンプレックスから解放されて輝ける場所を作りたいと思って始めたのが古着女子です。」
言いたいことは「作品」で伝える
片石 「例えば、デモやストライキのように言いたいことを直接ただ言うのって、今の時代超ナンセンスだと思っていてーーーー 言いたい事をプロダクト(作品)に落とし込んでメッセージを伝えていく事が大切だと思っています。
--見ている人には
そんな思いでやってたのかって分からなくても良いんですよね---
新しい世界観を作ってあげることで現実が現実じゃなくなる。どっちが現実か分からなくなる。そうなることでいい意味で現実から解放されるような場を作りたくて、、、 そんな事を今後一番やって行きたいですね。」
Acco 「私から見て片石さんはクリエイターとしてのアート的感覚と経営者や事業家としてのビジネス的考え方のバランスが非常に良いというか、、、 アートとビジネスの両面における課題をクリアするために、何かこの2つのバランスにおいて日々気をつけてる事はありますか??」
片石 「そうですね、クリエイターとビジネスという区切りで考えるといよりは、、、 人間をより深く理解するというところですかね。人の内側を見つめていくと本質的な輪郭が浮き彫りになっていくというか、、、 その人の生きてきた時間軸をなぞって、どんな景色を見てどんな言葉にどんな反応を示すのか、、、 そこを潜って見に行くことによって人の潜在的な欲だったり、こんなポイントに反応するのか、というのを探っていくのは昔から好きですね。疲れますけど(笑)」
自分で納得した選択をしているという実感
Acco 「片石さんは元々古着ファッションのどんなところが好きなんですか??」
片石 「そうですね、、、 古着って、いい意味で流行りとは関係ないものだったり、誰かや何かからのレコメンドがなくても自分で探して、 “あっコレがいい” って深く納得の行くものを着る楽しみがあります。探す苦労も多少はあるので、ファストファッションのような味気なさもないしわかる人にはわかるようなオシャレ感も好きですね。あとは、ユーズド感のあるものだったり肩の力がいい意味で抜けてる世界観も好きです。」
Acco 「子供の頃からファッションは好きだったんですか? 片石さんの子供時代はどんな子だったのか教えてください。」
片石 「あーっ、それでいうと音楽がすごい好きでしたね。家のコンポでよく好きな曲聴いてました。あとは、、、 インターネットかな。小学校3年生の頃から携帯は持ち始めていたので、当時のモバゲーって言うSNSにハマったり、2ちゃんねるを覗いてみたり、、、 当時は学校と家庭だけのかなり閉じたコミュニティの往復で、すごい窮屈さを感じることもあったんですけど、、、 SNSは共通の趣味っていう切り口で新しいコミュニティがあったから、そこに一番影響は受けましたね。だから今でもSNSは大好きですね。」
Acco 「情報収集もSNSで行なってますか?」
片石 「んー、そうですね。TwitterとInstagramが今主に使ってるSNSになるんですけど、Twitterのようにテキストで記事化されてる情報って当事者からするとかなり遅れてる情報なんですよね。それに比べてInstagramの情報はテキスト化される前の情報-----誰々がこんな着こなしをし始めたっていう様なリアルタイムでの情報をより早く拾う事が出来るのかなって思いますね。」
ぼくらは感情にお金を払っている
Acco 「資金調達も “この指止まれ作戦” の仲間を増やして行くというスタンスでやっている、という過去の対談記事が印象的で本当に素敵だなと思って。 凄いのは、本当に片石さん率いるyutoriの紡いでいるストーリーや世界観に惚れ込んでいないと実現できない事なので、、改めてyutoriの魅力に驚いています。」
片石 「ありがとうございます。」
Acco 「既に多くの人や企業がyutoriの仲間になりたい! と思って居ますし、たくさんアプローチを受けていると思うのですが、片石さんから見て
仲間に迎え入れても良いと思う基準って何かありますか? 一番重きを置いている事があれば教えてください。」
片石 「そこはすごくありますね。まず、褒められたいって思っている人とは絶対一緒に仕事しないって決めてますね。それは何でかって言うと、、、 yutoriの市場のイメージってすごい優しい世界観なんですが、中身は実際スタートアップ企業なのでそこにギャップがあるのが現実で。
まず自分でプロダクトを作って、作ったものが正解かも分からない、作っていく過程のアドバイスもそんなに貰えない、完成品を出して成功するかも分からない、、、本当分からない事だらけなんですよ。
そんな中でもしっかりやって行ける人ってやっぱり “好きなこと” が明確にあって、それがyutoriの世界観と合致していて、好きなことをyutoriの場を借りてやってる、くらいの人がいいですよね。
好きなものを貫く強さと、他人を否定しない優しさの両方を併せ持っている人じゃないと厳しいですね。それでいて良い意味で世の中を斜めに見れる事も大切だと思ってます。客観的に今の世の中がこうなってて、人の流れがこうで、、っていう流れを把握できる人でありながら、そこに自分のアイデンティティを持って否定出来る人。 その否定からプロダクトを作れたら最高ですね。否定や批判って誰でもできるんですけど、そこから新しいものを作れる人って本当に少ないんですよね。」
再解釈がテーマ
片石 「もう既に世に出てるやり方やプロダクトをゆとりの世界観で再解釈していくのがテーマとしてあって。
時代の流れを把握して、そこをフォローするより、その次の一手を読んだ上で、じゃあ絶対にこうしていった方が良いよねっていう “再解釈” がyutoriのやる事だと思っていて。
競争したくないんですよね。ゆとりっぽい見た目で、新しい価値観で、社名もyutoriで、そこに新しいプロダクトがいくつかあって、、オンリーワンの存在としてポジションが取れる上にオセロの四隅を抑えられる。そんな世界観が好きですね。
テクノロジーと違って言葉やプロダクトが生む世界観はライバルがいないんですよね。敵がい居ない、、、、居ないというか、そもそも勝ち負けや敵味方の次元じゃないんですよね。 競争するのはダルいですね、単純に。笑」
ありのままを表現しているアーティスト
Acco 「片石さんにとって生き様アーティストとはどんな方ですか??」
片石 「Suchmos(サチモス)ですね。
Suchmos は単純に曲もカッコイイんですけど、リアルな葛藤をありのままに表現してるんですよね。等身大の姿をぶつけているような作品を見ると惹かれるし応援したくなりますよね。本当、いつか会いたいです。笑」
yutoriという社会彫刻
Acco 「片石さんはこれからの社会にどんな爪痕をのこして行きたいですか?」
片石 「僕らの世代なりの社会との向き合い方だったり生き方をもっと心地良いものにして行きたいです。世間一般的なモデルでの良い働き方や良い暮らし方が果たして実際にそうなのか? って聞かれたら頷けない事も多くて。
仕事やプライベートが完全に切り離されてるような暮らしは別に求めてないし、誰だって本当はもっと融けあっている世界を求めていると思うんですよね。
他者への否定ではなく “ピュアな自己主張” でありのままで居られる範囲を拡張して行くというか、、yutoriの世界観で紡ぐユートピアのような世界を作っていきたいです。」
新しい時代の生き方
誰かに認められる為に評価される為に生きるのをやめた時
本当に自分自身が納得のいく生き方を選ぶことができるのかもしれません。
2018年12月にオフィスを下北沢に構え
POOLと名付けられた空間には
サメもクジラも来ない、安全なプールで
思いっきり自分の好きな事を叫ぼう
そんなメッセージも込められているそうです。
自分らしく生きるために
自分らしく在れる場所を
優しさの中にある強さを
脆さの中に潜む強い光を
臆病な秀才のための
愛に溢れた優しいデモ
こんな時代で
自分らしく生きるために
たくさんの自己決定と
“好き” というガソリンさえあれば
人は走り続けられるのかもしれません。
片石さん、お忙しい中本当にありがとうございました。
“古着女子” がムック本 として書籍化されているそうなので、そちらも要チェックです!
<プロフィール>
株式会社yutori CEO|片石貴展
2016年4月株式会社アカツキ入社。新規事業であるLX事業部の立ち上げ従事(コンテンツ制作ユニットのPM、インフルエンサーエジェント立ち上げのPMを担当する。)
現在株式会社yutori では
古着女子 インスタメディア運営、
古着男子 インスタメディア運営、
9090 レディース古着ECサイト、
“ひとくち” 古着ECサイト、上記に纏わるイベント運営等を展開している。
株式会社 yutori HP:http://yutori.tokyo
筆者紹介
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