ゆるマナー講座(第43回) 継承すること「三春滝桜」に学ぶ
マナーアドバイザー/フレアLLP 柳田 圭恵子
新緑が日々色濃くなり色とりどりの花が咲き誇る季節になりました。
東北の桜ももう葉桜のようですが、今回は桜から感じたことを書きたいと思います。
命を繋ぐ三春滝桜
4月下旬、福島の「三春滝桜」が1000年の刻を紡ぎながら見事に咲き誇る姿がテレビの映像に移し出されていました。ピンク色の花が流れる滝のように咲く様子から「滝桜」と呼ばれていますが、映像を通してもその美しくたおやかな姿に神々しささえ感じました。
「さくら」の語源は神さまに通じる言葉だそうですから、尚更そう思えるのかもしれません。
毎年桜の季節になると開花宣言が待ち遠しく、いくつかの蕾を見つけただけで巡ってきた春にちょっと幸せな気分になるのは日本人のDNAですね。
滝桜の美しさはさることながら、三春の人々がいかに桜を守り、滝桜の命を繋いでいるのかを知って、今更ですが「繋ぐ」ことの尊さを改めて感じました。
樹木医や町の人々の保存活動…草取り、腐葉土を作り根の周りに穴を掘って入れる作業、雪が積もれば雪下ろし。
また子ども達は実生で育てるために種を拾い、きれいに果肉をとり、一粒一粒を蒔いて育てているそうです。
滝桜の命を次の世代に繋ぐために、多くの人々が日々心を砕いている姿には心を動かされます。そして滝桜の小さな苗は日本だけでなく世界中に贈られているそうですから、次の100年、200年…1000年と、きっと命が受け継がれていくことでしょう。
アナウンサーの後何年くらい咲いてくれますか?の問いに、樹木医の方が「1000年」と当たり前のようにおっしゃった言葉が力強く響いていました。
時代を超えて受け継ぎたいもの
桜の命を繋いでいくのも、また文化や伝統を次の世代に継承していくのにも意志が必要です。私自身はマナーをお伝えしているのですが、家族でお正月や雛祭り、端午の節句といった年中行事を行うことも少なくなりました。その代わりハロウィンなどが若者の一大イベントになりつつあります。ただ元々日本の年中行事の多くは大陸から入ってきたものです。それが時を経て日本風に変化して今に伝わっているものですから、数十年後にはXmasのようにハロウィンなども私たちの暮らしに定着しているかもしれませんね。
文化やしきたりは一度途絶えると経験した人、引き継げる人が少なくなり、やがては文字でしか知ることができなくなります。何を子どもたちに残してあげたいか、少し考えてみることも大切です。
日が昇り、沈む。季節も巡る。この循環があるから日々の暮らしも繰り返されていきます。
四季を感じられる日本ならではの昔からの年中行事も子ども達に経験して欲しいと思います。幼稚園や保育園で先生方が子ども達と端午の節句に折紙で鯉のぼりや兜を作ったりするのも子ども達には楽しい経験ですね。その経験が次の世代に受け継がれていくのですから。
時代は平成から令和へと変わりました。即位に伴う様々な儀式が執り行われ、秋には「大嘗祭」が行われます。神武天皇以来、脈々と受け継がれてきた皇室の儀式を今年は私達も目にする機会が多いでしょう。時代に合わせて変化しつつも2600年もの長きにわたり継承されてきたことに自然と敬意の気持ちがわいてきます。
100年の桜
写真の桜は山口県防府市の向島小学校の蓬莱桜です。100年前に当時の卒業生が植えたという話ですが、今では樹高9メートルの大木となり3月中旬には淡紅紫色の見事な花をつけ、毎年卒業していく生徒達を祝福するかのように咲き誇ります。やはり100年の間には台風など困難なこともあったでしょうが、守って来た人たちがいたからこその100年の桜です。
三春滝桜のように1000年の刻を紡ぎながら生徒達が巣立つ姿を見送って欲しいものです。
「継続は力なり」…むしろ力をいただけますね。
山口県指定記念物 向島小学校蓬莱桜 約100年前に植樹
筆者プロフィール
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柳田 圭恵子(やなぎだ けえこ) |
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岡田 承子(おかだ しょうこ) |
本の紹介です |
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