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ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第78回)

by staff on 2019/9/10, 火曜日

大浦総合研究所 代表/大浦勇三

ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第78回)

遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん
遊ぶ子供の声きけば、我が身さえこそ動がるれ

- 梁塵秘抄 -

AIが “老い” を読み解く。結果は、経験値をもとに様々な角度から一番ふさわしいものに “置き換える力” 。肉体的な老化は、食物摂取の継続による消化できない細胞蓄積タンパク質によるダメージ。細胞を休ませて老化を防ぐには断食。精神的な老いへの断食にあたるのは情報の遮断かも。情報に振り回されず、嫌いなことはやらず、好きなことだけに打ち込む。典型が葛飾北斎。初期作品は素人が見てもうまいといえないレベル。それが90歳の生涯の後半に “富嶽三十六景” “富士越龍図” にまで到達したのはなぜか。死ぬまで毎朝3枚の獅子図を描いたといいますが “好きだけど単調” な作業が価値創造に繋がるといえるのか。高齢社会では、老いを創造性の爆発期と位置づける戦略が必要かも。組織の人材教育も同じ。再評価著しい “メンタリング” など、内弟子制度を組織の中でどうビルトインしていくか。梁塵秘抄では “媼が子どもは唯二人 一人の女子は二位中将殿の厨雑仕に召ししかば 奉てき 弟の男子は 宇佐の大宮司が早船舟子に請いしかば 奉いてき 神も仏もご覧ぜよ 何を祟りたまう若宮の御前ぞ” とあります。老女の一人暮しは神仏への祈り。 “貧しくとも満足なら豊か” とシェークスピア。

“遊びをせんとや生れけん” 「遊」

やっていることをとことん楽しむ あくまで人間を肯定する
遊びや楽しみの中で学んだことは 脳の奥にまで突き刺さる
プロになってもプロとして遊ぶ 残像との会話を十分楽しむ
進化をめざして考え抜く 頭を使いすぎても死ぬ訳ではない

東京・六本木のサントリー美術館では “遊びの流儀:遊楽図の系譜;浮世の憂さの晴らし方” 展が開催されました。花見・紅葉狩りから見世物・芝居小屋まで。更には双六・カルタ・三味線・舞踊・ファッションまで何でもあり。そこには “仕事・遊び・親子供” の境界がありません。古代中国では “琴棋書画(琴・囲碁・書・絵画)” が君子の嗜みとされましたが、日本も遊び・嗜みでは負けていません。狼の群れは真剣に遊び、遊びを通じて知恵を継承したとか。大量のデータ/情報が流通する21世紀で勝ち残る組織には “遊び心・荒ぶる魂” が必須条件かも。我を忘れて人生丸ごと遊び楽しみ戯れるしかなさそうです。“遊びとは自己の全体重をかけて遂行されるもの” と作家・森鴎外。

“仕事をせんとや生れけん” 「献」

一番見えにくいのが自分の心 高度成長を経験した世代の、無気力と衰退
二〇世紀はモノに必死だった時代 二一世紀は知性を制御し感性に向かう
技術/スキルを習得するのが先 深めた後に、持ち味や個性がにじみ出る
文学、歴史、思想、哲学に関心を持続する グローバル社会のパスポート

教育は最優先課題。世界の大学ではカリキュラムに様々な工夫。インド工科大学ではインドの伝統舞踊講座、カリフォルニア大学バークレー校では多種のリベラルアーツ講座。ギリシャ・ローマ時代では “教養なきものは奴隷” と檄を飛ばしてリベラルアーツ教育を施したとか。ギリシャ・ローマ時代は “自由七科” 、古代中国では “六芸”。ただ、21世紀のリベラルアーツは再定義が不可避。特に “直観・大局観・デザイン” の世界をどう織り込んでいくか。誰もが考えていないことを見抜き、新しいモノの見方を発見し、方向感と構想を可視化すること。手塚治虫が漫画家志望の若者に語ったのは漫画以外のことを勉強する大切さ。 “枠組みではなく場。緩やかに繋がる“ と評論家・山崎正和。

“学びをせんとや生れけん” 「学」

メンタリング 浄瑠璃は魔と間の芸術という お手本には繰り返し聴く・聞く
簡単に教えない、反論は大いに歓迎 その中で、他人が嫌がることもやる覚悟
起こっている現実を冷静に凝視する メンター自身が学ぶ姿勢、好奇心を示す
重要なことは 将来への洞察を繰り返し語る、知的好奇心を徹底的に刺激する

最近、メンタリングに再評価の動き。その本質は自己実現。長期的に高い成熟度を期す全人格的なもの。昔は内弟子制度といわれましたが、最近は封建的との理由でお払い箱に。大量生産時代はOJTでカバーできましたが、固有の価値創造を実現するには力不足。今後は、技術面だけでなく精神面・文化面も支える基盤が不可欠。以前の将棋棋士の内弟子制度では、将棋そのものの指導を受けることはまれで、むしろそれ以外のものから色んなことを学び・吸収することが財産・武器に。一日の研究時間は、研究の方法は、研究の素材は。その総体が飯の食えるプロ棋士の全身像。AI時代では、そこをどうデザインするか。“まだないものを見つける”とカップヌードル開発者・安藤百福。

「遊びは仕事、仕事は遊び」
「仕事は学び、学びは仕事」
「学びは遊び、遊びは学び」

今回とりあげた「遊・献・学」それぞれの4行文は、拙書「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)及び「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(九)」(全10巻)から抽出したものです。次回以降も「遊・献・学」から各々4行文を一つずつ抽出してご紹介していきたいと思います。

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(第78回了)

 

大浦勇三(おおうら ゆうぞう) プロフィール

大浦勇三(おおうら ゆうぞう)  

大浦総合研究所 代表 (http://www.ne.jp/asahi/oura/ohura-research-institute/

石川県七尾市出身。
早稲田大学卒業、筑波大学大学院修了。
米国経営コンサルティング会社 アーサー・D・リトル 主席コンサルタントを経て現職。
主担当領域は、経営改革/企業再生、経営戦略/情報通信技術戦略策定、業務改革/組織改革、研究開発/商品開発マネジメント、マーケティングマネジメント、ナレッジマネジメント、イノベーションマネジメント、サプライチェーンマネジメント、人材マネジメント、コーチング/メンタリング、プロジェクト/プログラムマネジメント、ベンチャービジネス支援等のコンサルティング。

筑波大学大学院講師、城西国際大学客員教授、名城大学講師、産業能率大学講師、中小企業大学校講師などを歴任。

主な著作物:

  • 「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(九)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「イノベーション・ノート」(PHP研究所)
  • 「ITプロジェクトマネジャーのためのコーチング入門」(ソフトリサーチセンター)
  • 「図解 日本版LLP/LLCまるわかり」(PHP研究所)
  • 「IT技術者キャリアアップのためのメンタリング技法」(ソフトリサーチセンター)
  • 「よいコンサルタントの見分け方、かかり方」(清話会)
  • 「日本のモノづくり - 52の論点」<共著>(日本メンテナンス協会)
  • 「現場主導型の組織運営とスピード戦略」(日本監督士協会)
  • 「eコミュニティがビジネスを変える」<訳>(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメントが見る見るわかる」(サンマーク出版)
  • 「図解 ナレッジ・カンパニー」(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメント革命」(東洋経済新報社 )
  • 「図解 グローバル・スタンダード革命」(東洋経済新報社)
  • 「業務改革成功への情報技術活用」(東洋経済新報社)
  • 「情報化戦略と投資評価・システム運用管理の実際」<編著>(企業研究会)
  • 「会社改革実務辞典」<共著>(産業調査会)
  • 「プロジェクトマネジャー(PM)の育成・スキルアップのためのメンタリングの進め方と実践法」 (ソフトリサーチセンター:CD-ROM版)   など

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