ゆるマナー講座(第48回) 笑顔が伝わる電話応対
マナーアドバイザー/フレアLLP 岡田 承子
電話の向こうに笑顔が見える、そんな経験をなさった方はいませんか。反対に、ムスッとした顔が浮かぶことも。マナー講師という私たちの仕事の中には電話応対のチェックというものもあります。今回はそんな電話応対について取り上げました。
声のトーン
「おはようございます」「お電話ありがとうございます」第一声が爽やかに元気な声で聞こえてくるのはとても感じの良いものです。日本人は概ね電話の声のトーンがやや高めの方を好むといいます。
高いトーンといっても、キンキン響くようでは聴く側は疲れてしまいます。明るさと爽やかさを伝えるための見えない相手への配慮だということを忘れないようにしなくてはいけません。
これは我が家での話。
携帯電話の普及で最近は固定電話を置かない家が増えてきました。我が家にも電話機はありますが、それが鳴ることは稀で、ほぼ携帯電話を使っています。携帯電話は相手が誰かというこがすぐにわかりますので、家族や友人ならそのまま地声で出ています。
ところが少し前までは、電話がかかるのもこちらからかけるのもが固定電話が普通でした。子どもたちを叱っている最中に電話が鳴ると、今まで低い声で怒っていた怖いママが一転して明るく高い声のよそ行きの優しい女性に変わります。子どもたちにとっては長らくママの電話の出方は「我が家の七不思議」だったようです。
怒った状態の低い声でそのまま電話に出ていたら、かけた人はどんなに驚いたでしょうね。思わず、「間違えました!」と切っていたかもしれません。我が家の七不思議が相手への配慮だったということを彼らが理解したかどうか、いまだに「あの時の母は!」と言われることがありますが…。
家でもそうでしたから、お仕事となるとやはり少しかしこまって、特に第一声はやや高めの声で爽やかに聞こえるようにしています。「見えない相手への心遣い」です。
ここで大切なのが、実際に口角を上げて笑顔になることです。見えなくてもこちらの表情は想像以上に相手に伝っているものなのです。
一方で、欧米の方は低い声のトーンを好むと言われます。低い方が安心感や信頼感を持てるからだそうです。
話すスピードとあいづち
安心感や信頼感は、落ち着きのある低い声のトーンからも伝わりますが、話すスピードやあいづちの打ち方でも伝わります。
初めての見えない相手に対しては、お互いに緊張もします。電話は有料であると考えるともたもたしていてはいけないという気持ちもよぎります。しかし電話の目的は、相手に用件が正確に伝わることです。
そのためには、かける側も受ける側も早すぎず遅すぎないスピードでしっかりと話すことを心がけましょう。
受ける側はゆっくり話を聴き、途中あいづちを打ちながら、相手が焦らずに話を最後まで進められるように促します。あいづちは、相手の言葉にかぶせるように打ってしまうと、相手を焦らせてしまうので、話しの区切りまでゆっくり待ってから打つようにします。「そうですか」「・・・なのですね」というようなあいづちの仕方がありますが、相手の気持ちに寄り添うような言葉を選べると、相手が話しやすくなり話を深めることもできます。どんな言葉を使えるか、普段から考えておくと良いですね。相手が話し終えたら簡潔にまとめて復唱し、それについて答えたり説明をしたりします。
もちろんかける側は、かける前に話す内容をまとめておくことが大切です。そして、相手のあいづちを聴きながら話がちゃんと伝わっているかどうかを確認するように意識してみましょう。
やってはいけないこと
電話応対に慣れてくると、ついやってしまいがちなことがありますが、日ごろから気をつけるようにしましょうね。
- 忙しいからと、つい別の書類やパソコンの画面を見ながら電話する。
「ながら電話」は間違いの元です。相手に失礼です。 - 聞き取りにくい時に、「はっ?」「え、何ですか?」と聞き返す。
「お電話が少し遠いようですが」と言って丁寧に聞き返しましょう。 - 語尾を伸ばしたり、馴れ馴れしい言葉を使う。
「…でぇ」「…ですぅ」「ちょっとぉ…」などの言葉は相応しくありません。 - 取り次ぎの際、長い時間相手を待たせる。
時間がかかる場合は、改めてこちらからかけ直す配慮をしましょう。 - 取り次ぎの電話をいろんな部署に回す。
「たらい回し」はクレームの一番の元です。正確な部署に繋ぎましょう。 - 電話を受けた側が、先に受話器をおく。
先に電話を切るのは、かけた側です。気をつけましょう。
相手がお客様や目上の方の場合は、相手が切るのを待ちましょう。 - かけた電話が相手の不手際で切れたので相手から電話がかかるのを待つ。
相手の不手際でもかけた側からかけ直しましょう。
温かな電話応対を広げましょう
先日、計画している旅行の件で聞きたいことがあり電話した旅行会社の方の応対が素晴らしく、最後に「私、それに行きたいです。行きます!」と思わず言ってしまい、お互いに大笑いしてしまいました。旅行ですから、不安な点を取り除いてくれて、わくわく感を大きくさせてくれるのは大変うれしいことです。電話を切った後も温かな気持ちが続きました。
同じ会社にかけても人によって応対の仕方は様々ですが、雰囲気が似ていることに驚かされます。隣の席の先輩が話す口調を知らず知らずのうちに後輩は真似てしまうのでしょうか。
私が体験した旅行会社の方のように素晴らしい応対なら、彼女の周りの方も彼女と同じような応対をしてくだるのだろうと察しますが、ぞんざいな口調や暗いトーン、言葉遣いの悪い方の真似をされてしまってはとても残念です。そんな時は、ご自分だけでも相手が喜んでくださるような応対ができるよう気をつけてみてください。その日々の積み重ねがいずれはあなたの周りの人を巻き込んでいくのではないかと思います。
「声は人なり」…一本一本の電話を大切にしようと意識しているあなたの声は、きっとすてきな人として相手の印象に残りますよ。
筆者プロフィール
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岡田 承子(おかだ しょうこ) 携わる。現在は、自治体、企業での接遇研修や、NPO法人日本マナー・プロトコール協会認定講師として大学で指導をしている。 |
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柳田 圭恵子(やなぎだ けえこ) 座を行っている。NPO法人日本マナー・プロトコール協会認定講師。 |
本の紹介です |
「ゆるマナー 始めましょ」 |
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