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ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第84回)

by staff on 2020/3/10, 火曜日

大浦総合研究所 代表/大浦勇三

ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第84回)

遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん
遊ぶ子供の声きけば、我が身さえこそ動がるれ

- 梁塵秘抄 -

建築家ブルーノ・タウトは京都の “桂離宮” の簡潔な造形に驚嘆し “目は思惟する” と表現しました。 “日本文化を芸術化した自然” “日本的品質である古典芸術を特徴づける簡素性” 。自然との一体感・ありのままの日常。米アップルが考える次世代テクノロジーの中核技術は “AR(拡張現実):Augmented Reality” 。実在する風景にバーチャルの視覚情報を重ねることで、目の前の世界を仮想的に拡張するもの。テクノロジーとしてのインパクトは強力で、日常生活の超拡大・異次元の娯楽を生み出す技術。 “ポケモンGO” はほんの一例。タウトが “目は思惟する” と指摘した桂離宮の世界はARに繋がるもの。ARは日本人の風土に根づいた得意技であり同根。 “コミュニティ” も様変わり。場所・時間・仲間が常に同じとは限らず、求められる技やスキルも多種多様。個々では違和感があっても、全体では知の厚みと多様性が感じられる集合体。肝心なことは “将来展望&360度&肯定感” 。梁塵秘抄では “心凄きもの 夜道船道 旅の空 旅の宿 小暗き山寺の経の声 想うや仲らいの飽かで退く” とあります。心寂しいというより不気味。 “壁のある世界にあって、壁の無い世界を想像する” と作家・村上春樹。

“遊びをせんとや生れけん” 「遊」

見識 NYタイムズも一次情報より知見・解析が圧倒的に増加
知見で勝負する時代 若くて多様な人材の創造性をフルに活用
人事は土壇場に難、スピートが命 検査では品質は向上しない
創造性は制約の認識から始まる 不況期は資金・好況期は人材

NYタイムズは、インターネットの広がりから一時苦境に陥り、マンハッタンにある本社ビルの売却にまで追い込まれました。しかし、電子版の有料会員数を徐々に拡大し、昨年には初めて300万人の大台に乗せて復活。無料の一次情報より、コラム・分析・予測など、知見・解析へのニーズが読者層を有料版に導きました。新聞に限らず、あらゆる分野がリベラルアーツで勝負する時代へ突入。AI活用が一般化する時代における切り札になる能力とは “洞察力などの人間的資質” “企画発想力” “関係性能力” “課題解決などの業務遂行力” 。やるべきことは新聞を毎日読むこと。特にコラムと解析記事かな。 “自分は何に向いているか、何を職業にしたら貧乏暮らしでも満足か” と作家・水上勉

“仕事をせんとや生れけん” 「献」

虫の目からみれば、水溜りも湖、草むらもジャングル
生物の多様な種 偶然であり必然の産物 詩情は無限
情報化に伴って、モノよりコトを重視する傾向が強い
リアリティはモノだけにあるのではない すべて必然

虫の目からみれば、水溜りも湖であり草むらもジャングル。逆に、鳥の目から見れば、時代の流れや歴史は新しい局面にあるといえるのかも。時代の中でさまざまに編み込まれた “ルール&ツール” も、ICTパワーの前で統一フォーマットに編集される流れ。もはや仕事をしながら “学習” するのでなく “仕事” そのものが学習。どこに所属するかでなく何ができるか。 “不要なもの” として達成感・顕示欲・嫉妬心を戒めたのは老子。ぬかるみの中をとぼとぼと進み、高度な質を一生かけて磨いていくしかなさそう。 “歳をとるということは、自分の可能性を絞っていくこと。可能性を絞るというのは、可能性の限界を知るということではなく、集中すべき的を絞り込むこと” と作家・塩野七生。

“学びをせんとや生れけん” 「学」

楽器を鳴らす・楽器をこなす それだけでは必ずしも音楽とはいえない
動く道路 歩くと現状維持、ジョギングで少し前へ、全力で走って前進
起業家が挫折しても失敗を過度に罰しない文化 起業家は必ず失敗する
ジャズは知的創造環境とよく似ている 周りが良ければ自分も良くなる

ジャズは、アメリカ南部を中心に派生した音楽。NY出張の際は何度かブルー・ノートやヴィレッジ・ヴァンガードに足を運びました。帰還はいつも深夜。表現は変奏的で自由そのもの。何でもありでありながら、技術・理論・リズムのルースな融合。ジャズは知的創造環境とよく似ているのかも。周りが良ければ自分も良くなるという特徴。楽器を鳴らす・こなすでなく、楽器と遊ぶ・戯れる。整然でなく雑然であることが創造的な力を産み出す不思議。欠点を探すのでなく長所を認め合う呼吸。NYのような空気が乾いた街にピッタリの油絵。日本の湿潤な風土には墨のにじむ水墨画。 “終着点は重要じゃない。旅の途中でどれだけ楽しいことをやり遂げるかだ” とスティーブ・ジョブズ。

「遊びは仕事、仕事は遊び」
「仕事は学び、学びは仕事」
「学びは遊び、遊びは学び」

今回とりあげた「遊・献・学」それぞれの4行文は、拙書「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)及び「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(九)」(全10巻)から抽出したものです。次回以降も「遊・献・学」から各々4行文を一つずつ抽出してご紹介していきたいと思います。

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(第84回了)

 

大浦勇三(おおうら ゆうぞう) プロフィール

大浦勇三(おおうら ゆうぞう)  

大浦総合研究所 代表 (http://www.ne.jp/asahi/oura/ohura-research-institute/

石川県七尾市出身。
早稲田大学卒業、筑波大学大学院修了。
米国経営コンサルティング会社 アーサー・D・リトル 主席コンサルタントを経て現職。
主担当領域は、経営改革/企業再生、経営戦略/情報通信技術戦略策定、業務改革/組織改革、研究開発/商品開発マネジメント、マーケティングマネジメント、ナレッジマネジメント、イノベーションマネジメント、サプライチェーンマネジメント、人材マネジメント、コーチング/メンタリング、プロジェクト/プログラムマネジメント、ベンチャービジネス支援等のコンサルティング。

筑波大学大学院講師、城西国際大学客員教授、名城大学講師、産業能率大学講師、中小企業大学校講師などを歴任。

主な著作物:

  • 「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(九)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「イノベーション・ノート」(PHP研究所)
  • 「ITプロジェクトマネジャーのためのコーチング入門」(ソフトリサーチセンター)
  • 「図解 日本版LLP/LLCまるわかり」(PHP研究所)
  • 「IT技術者キャリアアップのためのメンタリング技法」(ソフトリサーチセンター)
  • 「よいコンサルタントの見分け方、かかり方」(清話会)
  • 「日本のモノづくり - 52の論点」<共著>(日本メンテナンス協会)
  • 「現場主導型の組織運営とスピード戦略」(日本監督士協会)
  • 「eコミュニティがビジネスを変える」<訳>(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメントが見る見るわかる」(サンマーク出版)
  • 「図解 ナレッジ・カンパニー」(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメント革命」(東洋経済新報社 )
  • 「図解 グローバル・スタンダード革命」(東洋経済新報社)
  • 「業務改革成功への情報技術活用」(東洋経済新報社)
  • 「情報化戦略と投資評価・システム運用管理の実際」<編著>(企業研究会)
  • 「会社改革実務辞典」<共著>(産業調査会)
  • 「プロジェクトマネジャー(PM)の育成・スキルアップのためのメンタリングの進め方と実践法」 (ソフトリサーチセンター:CD-ROM版)   など

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