ゆるマナー講座(第59回) おばあちゃんの知恵袋
マナーアドバイザー/フレアLLP 柳田 圭恵子
今回は9月9日の「重陽の節供」にちなんで、おじいちゃん、おばあちゃんの知恵の話です。
「重陽の節供」は、今はあまり馴染みがないのですが、陰陽道で最大の奇数「9」が重なるので、おめでたい日として長寿を願うしきたりです。別名「菊の節句」とも言います。旧暦ではこの時期菊が美しく、菊の花びらを浮かべたお酒を飲むと長生きするとされています。
「人生七十古来稀ナリ」の杜甫の詩から70歳は「古稀」のお祝い、77歳は「喜寿」、80歳は「傘寿」、88歳は「米寿」、90歳は「卒寿」、99歳は「白寿」、100歳は「百寿」としてお祝いをしますが、医学が発達していなかった昔は、この年まで生きるのはさぞ大変なことだったでしょう。今は人生100歳を考える時代です。年を重ねるごとにチャーミングな知恵者になりたいと高齢者の方を見て思います。
善意のチャレンジ
エリザベス女王からナイトの爵位を授与されたイギリス人の退役軍人トム・ムーア氏(100歳)のニュースを皆さまもご覧になったのではないでしょうか。
ムーア氏は、100歳の誕生日を前に、歩行器で自宅の庭を100周歩くチャレンジをすることを宣言し、コロナ禍で治療に当たられている医療従事者を支援するために、インターネットで寄付を募りました。そして、見事挑戦を成功させ、寄付金は当初の目標額の約13万円をはるかに超え、40億円以上を集めることができたのです。
100歳の方が、誰かのために、何かに挑戦する姿に心を打たれた人達がどれほど多かったかの証ではないでしょうか。
このチャレンジはムーア氏の娘さんのアイデアだそうですが、それを実行に移され、成功させるのはきっと大変なことだったのではないかと想像します。これほど多くの人から共感を得られたのは、「誰かのために」という善意の行動への感動…そして年長者への敬意ではないでしょうか。ムーア氏の挑戦は誰にでもできそうで、なかなかできないものです。
こんなにも多くの人達がムーア氏の善意ある行動に心を動かされたことにも心温まるものがありました。更に感動したのは、氏の100歳の誕生日にイギリス中から14万通ものバースデーカードが届いたことです。お孫さんの通う学校に展示されている映像が流れていましたが、広い部屋がカードで溢れていました。
善意の人には善意ある人が集まる…好循環が生まれるのですね。こんなニュースを観るとなんだかほっとするものがあります。
女王からナイトの爵位を授与されインタビューで、「女王とどんな話をされたのですか?」と記者から質問されたムーア氏は、「それは女王と私の秘密です。」と答えたとか…。どこまでもチャーミングで品格のある方ですね。
おばあちゃんの知恵袋
かなり前ですが、「おばあちゃんの知恵袋」という本を読んだことがあります。掃除や料理など日本人の生活の知恵をまとめた本でしたが、まだ若かった私には大変勉強になることばかりでした。今は核家族化が進み高齢の家族と同居することも少なくなりましたから、日々の暮らしのちょっとした工夫や昔ながらの知恵を教わる機会が減って来ています。本で読む知識も大切ですが、身近なおばあ様やおじい様から伝授される生きた生活の知恵はより身につくものです。
年を重ねる度に経験で身につけた知恵袋を膨らませて、若い人に伝えられたらと思います。
そして、思ったことを行動に移すチャレンジ精神を持ち合わせた元気な高齢者でありたいですね。2024年、日本では3人に1人が65歳以上になるようですから、高齢者が生き生きと輝いていたいものです。
筆者プロフィール
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柳田 圭恵子(やなぎだ けえこ) |
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岡田 承子(おかだ しょうこ) |
本の紹介です |
「ゆるマナー 始めましょ」 |
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ランニングが大好きで、月に150kmほど走っているというヨコハマNOW編集長の辰巳隆昭が、お気に入りの新横浜公園のランニングコースを紹介します。 |
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