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75回目の夏

by staff on 2020/9/10, 木曜日

 

今年は第二次世界大戦の終戦から75年の節目にあたるせいか、様々なメディアで戦争をテーマにした取組みが多く目につきました。

私の母方の祖父は、1938年(昭和13年)の満州事変で亡くなりました。90歳まで存命だった祖母は、「村で一番早く召集令状が来て、一番早く亡くなった」と言っていました。亡くなった後に届けられた箱の中には祖父のものだと言われている「髪の毛」しか入っていなかったそうです。祖母は5歳になった母と父親の顔を見ることなく生まれた叔父を連れて実家に戻り、そこの六畳一間を借りて小学校の用務員として働きながら二人を育てました。このような話は、当時の日本ではどこにでもあったことなのです。

生きていれば・・・まだ何とか頑張れたでしょうが、ある日突然「ピカドン」と呼ばれる爆弾によって大勢の人々の人生が変わってしまったのが「原爆」です。

2020年の夏、私はこれまでになく「原爆」の悲劇に触れる機会がありました。そのうち印象的だった3つを紹介いたします。

1.戦争体験者の上映と対話(2020年8月1日 みどりアートパークホールで開催)

友人の須摩修一さんは、自分史を本人のナレーションと写真で映像化し、共有する活動「デジタルストーリーテリング」(DST)に取り組んでいます。

彼は戦争体験者の話をcの直接小中学生に聞いてもらいたいという想いから、一年がかりで準備を進めてきました。今回のコロナ禍で断念しようと考えたそうですが、三密を避ける工夫をしてなんとか開催にこぎつけました。

服部道子さん(91歳)は、16歳のとき、見習い看護婦として勤務していた軍司令部で被爆したそうです。被爆地点から3.5kmにあったその場所には、焼けただれた人々が大勢押しかけ、それは地獄絵図さながらだったそうです。おぶっている子供を助けてくださいと懇願してきた母親の背中を見たときに、その子には頭がなく、それを知った母親はその場で倒れ絶命したいうくだりでは涙が止まりませんでした。

当日は、服部さんご本人は体調に配慮して会場には来られませんでしたが、彼女が静かに当時の様子を語る音声と紙芝居を拝見して改めて原爆のむごさを痛感しました。

1人1人と向き合いたい」デジタル・ストーリーテリング研究所 須摩修一さん
https://note.com/tanakanae123/n/n785f34d28adb

服部道子さん 近況の写真

2.NHK広島 被爆75年 キャンペーン

「Reality? 知っているつもり 知らないヒロシマ」

NHK広島放送局では、今年は被爆75年ということで、「原爆」をテーマにした多くの特集番組を制作、放送しています。

その中で、私が聞いたのは、8月10日の夜にラジオ第1で放送された、「手紙(レター)、キミに伝えよう」でした。被爆者の方々が、あの日のことやその後の暮らしについて書かれた「手紙」を、広島と長崎の高校生たちが朗読する番組です。

普通の生活が、あの一瞬ですべて変わってしまった理不尽さを、高校生たちが想いを込めて真剣に読み上げていました。どの手紙からも今の私たちには計り知れない壮絶な人生が感じられます。

手紙に出会った高校生たちは、戦争の悲惨さを目の当たりにしたことだと思います。
このような番組を企画したNHKの方々に敬意を表したいと思います。

高校生たちの朗読はインターネット上で公開されています。聞いてみてください。
https://www.nhk.or.jp/hiroshima/prog/P3459/letter/

3.愛と死の記録(日活映画 1966年 監督 蔵原惟繕)

8月10日に渡哲也さんが逝去されました。渡さんの俳優人生を語るときに出てくるのが、1966年に吉永小百合さんと初共演した「愛と死の記録」という映画です。この映画は原爆症の青年と彼に恋した乙女の恋愛映画です。

監督が蔵原惟繕さんだと知って、早速DVDを借りて拝見しました。
「盆栽カフェ」が開催される「此のみち」は、蔵原監督のご自宅だったところで、オーナーの梅澤文子さんは蔵原監督のお嬢様(養女)になります。

題名の通り、原爆症の青年は原爆病院で亡くなってしまいます。そしてその後も悲劇が・・・。「違うラストにしてほしかった」という意見もあるようですが、これは実話に基づいたストーリーとのことで、原爆が被爆者はもとより、広島・長崎の人々をどれだけ苦しめたのかが描かれています。

この映画では、史上初となった原爆ドームでの撮影や、広島市原爆死没者慰霊式など、当時の広島の様子が映し出されています。

恋愛映画というだけでなく、「原爆がどういうものだったのか」を伝える映画として後世に残っていってほしいです。

愛と死の記録(日活のWebサイトより)
https://www.nikkatsu.com/movie/20949.html

※蔵原監督は、原爆投下までの4か月を日米双方の視点で描いた『HIROSHIMA』(1996年8月NHKで放映)という日本・アメリカ・カナダ三国の合同制作によるテレビドラマの監督も務められています。このドラマは第48回プライムタイム・エミー賞を受賞しています。(日本ではあまり知られていないことが残念です)

蔵原監督の肖像
北大路欣也氏 作

 

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ヨコハマNOW 動画

新横浜公園ランニングパークの紹介動画

 

ランニングが大好きで、月に150kmほど走っているというヨコハマNOW編集長の辰巳隆昭が、お気に入りの新横浜公園のランニングコースを紹介します。
(動画をみる)

横浜中華街 市場通りの夕景

 

横浜中華街は碁盤の目のように大小の路地がある。その中でも代表的な市場通りをビデオスナップ。中華街の雰囲気を味わって下さい。
(動画をみる)

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