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ゆるマナー講座(第61回) 阿吽の呼吸はむずかしい?

by staff on 2020/11/10, 火曜日

マナーアドバイザー/フレアLLP 柳田 圭恵子

以前サービス業に携わっていた時、上司が「やり過ぎて、“阿吽の呼吸”困難にならないようにね。」と、よく言っていました。限られた時間で多くのお客様にご満足いただけるサービスを提供するには、お客様の様子をよく観て察する感性や同僚同志お互いの仕事の進み具合を観ながら、かばい合うチームワークが何より大切でした。お客様が望まれていることを、お客様のちょっとした体の動きや視線から察するように指導されていたものです。その上で同僚と阿吽の呼吸で意思の疎通ができることが良いサービスには必要とされていました。五感をフル活用させる日本的な意思の疎通の仕方ですね。
今年はコロナ禍の影響で対面でのコミュニケーションが難しくなり、オンラインやメール、電話など文字や声だけのやりとりが多くなり、特に相手が見えないコミュニケーションでは、阿吽の呼吸とは言わないまでも、どのようにすれば内容や気持ちが伝わるのかを改めて考えるきっかけになりました。

文字のコミュニケーション

「文字は人なり」と言われるように手書きの手紙からは、その人の人柄や性格、気持ちがなんとなく伝わるものですが、タイプされた文字でこちらの意向や思いを伝えるには、正確に言葉に表わさないとなかなか届かないように感じます。
もちろん、日本人独特の謙虚な言い回しの根底には、相手への思いやりがあります。しかし、言わなくても察してくれるだろうという日本人特有の曖昧な表現から書き手の望んでいることを汲み取るのは疲れるものです。
特に文字だけのコミュニケーションは、誤解が生じることを前提に言葉のキャッチボールをする必要があります。投げたボールは相手が好きなように受け取るので、投げた側の意向や思いがストレートに伝わるかどうかはわからないのです。
それでも不思議なことに、書いた相手のことを知っていると、文章を読みながら日頃の相手の表情が浮かぶことがあります。すると、いつも無表情で話をする人の文章は何か素気なく感じることもあります。また、いつも穏やかな表情の人の文章は、はっきりした言い方であってもやんわりと受け止めることができることも。文字も大切ですが、日頃の表情や態度も大切だということですね。

時候の挨拶など不要なメールでも、「そちらは台風がひどかったようですが、大丈夫でしたか?」などと、ちょっとした気遣いの言葉を書いてくださる方がいます。お会いしたことがなくても相手との距離が一瞬で縮まるように感じます。
実際にお会いしてみるとメールの言葉から想像する通りの方で、言葉にも人柄が表れるものだと実感したことがあります。

思いやりの気持ちは言葉に表さないと相手に届かないということも意識するとよいですね。

声のコミュニケーション

電話のように声だけのやりとりでは、文章を推敲する時間もありませんから、さらに意思の疎通には気を遣う必要があります。声のトーンや話す速度、相づちの打ち方一つから想像力を働かせてお互いの状況や思いを汲み取らなければいけません。

会話のポイントは上手な聴き方、「傾聴力」です。
字のごとく「耳」と「十の目」と「心」で聴くこと。そうすれば、相手の話を途中で遮ることもなくなり、相づちにも気持ちがこもるはずです。

コミュニケーションは、話し上手を目指すより、聴き上手を意識する方がお互いの関係が深まります。人は自分の話を聴いてくれる人には、安心して話をすることができますし、信頼も生まれ好意を持つのです。
友人と電話で話をした後、すっきりした、楽しかったと思う時は、相手以上に一方的に話していることが多いものです。相手が同じように楽しかったと思っているとは限りませんが…。でも話したいことが一杯、今日は聴いてほしい、そんな時はお互い様。次は相手が話す番にすればいいのです。

言葉で表現する

文字だけのコミュニケーション、声だけのコミュニケーションで、スムーズに意思疎通するのは難しいと自覚して、プラスαの言葉で補足するのが誤解のないコミュニケーションに繋がります。そして思いは言葉に出して表現しましょう。
自分と相手の考えや思いは違うと思っていることも誤解を最小限にする方法かもしれません。

私の知りあいのご夫婦は、30年以上も一緒に暮らしてきたのに奥様はご主人の好みを知らないまま料理をしていたようです。つい最近発覚!単にパスタの茹で方ですが…。
些細な笑い話ですが、黙っていると案外お互いに気づかないことが多いのかもしれませんね。
いつも顔を見て話している相手でさえこのような誤解があるのですから、阿吽の呼吸で事が進んでいると思うのは、単に幻想かもしれません。

それにしても、早く目の前で思いきり話ができるようになるといいですね。

 

筆者プロフィール

柳田 圭恵子(やなぎだ けえこ)  

柳田 圭恵子(やなぎだ けえこ)
マナーアドバイザー/フレアLLP
日本航空株式会社国際客室乗務員を経て、2009年よりマナー講師に。企業や自治体、大学、専門学校で接遇研修や マナー・プロトコール講座を行っている。NPO法人日本マナー・プロトコール協会認定講師。

岡田 承子(おかだ しょうこ)  

岡田 承子(おかだ しょうこ)
マナーアドバイザー/フレアLLP
日本航空国際線客室乗務員を経て、国際交流協会での仕事、また社会福祉法人では障がい者国際スポーツ大会事務局の運営業務やマナー研修に携わる。現在は、自治体、企業での接遇研修や、NPO法人日本マナー・プロトコール協会認定講師として大学で指導をしている。

本の紹介です

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